そろそろ蒸気機関車時代の旅行スタイルから脱却しよう
現在の旅行鞄(トランク・スーツケース)は、約170年前の1854年にルイ・ヴィトンが開発したもので、元々は蒸気機関車や蒸気船向けに設計されました。この当時、蓋が丸いドーム型のトランクが一般的でしたが、ルイ・ヴィトンは雨に濡れない平らなトランクを開発し、革素材を軽量なキャンバス地に変えました。これにより、旅行がより手軽になりました。
しかし、その後の旅行鞄の進化は目立たず、車輪がついて自分で運ぶことがしやすくなったくらいです。旅の移動手段が蒸気機関車から電車、そして飛行機へと進化しているにも関わらず、旅行鞄はその進化に追いついていません。
この状況は、気候変動問題やトラベル・ディバイド(旅行の機会格差)にも影響を及ぼしています。同じ重量の荷物を運搬する際、鉄道と飛行機では二酸化炭素排出量に27倍の差があり、飛行機の利用による気候変動への影響は非常に大きいためです。
そこで提案したいのは、「旅行鞄を運ぶ」という従来のスタイルから、「現地で必要なものをレンタルする」という新しい旅行スタイルへのシフトです。これにより、気候変動問題への貢献はもちろん、トラベル・ディバイドの解消にも繋がります。
日本と海外の飛行機往復時に20kgの荷物を搭載しなければ、一人当たりの二酸化炭素排出量11日分、生活分野における排出量179日分を削減できます。これは、186本の植林による年間の二酸化炭素削減効果に匹敵する大きな影響です。荷物を削減することは、サステナブル・トラベルへの重要な一歩となるでしょう。