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マーケティングのプロが、予約困難!「おまかせ寿司」に行ってみた。どうしてこんなに高コスパで高級寿司を提供できるのか?

予約の取れない人気のおまかせ寿司とは?

新橋駅西口といえばSL広場が思い浮かぶが、もう一つ忘れてならないランドマークが烏森口に佇む築52年のニュー新橋ビルである。紳士服やドラッグストアの大手チェーンも入居しているが、テナントの大半は小規模で低価格の居酒屋・金券ショップとマッサージ屋がまさに雑居している。このカオスのような状態を昭和レトロと思うのか、令和のカオスと感じるのかは、人によって様々であろう。
今回のテーマである予約の取れない人気店「おまかせ寿司すしのすけ」は、このニュー新橋ビルの地下1階に入居している。なんともマニアックな立地である。
(※メイン画像はイメージです。)

高効率な店舗オペレーションがコスパの高さの秘訣

客席数はカウンター7席のみ。店員も寿司職人とドリンク担当の2名のみ。メニューもおまかせ寿司8,800円(税込)の一択である。コースの開始時刻は17時・19時・21時の3部制であり、時間通りにスタートする。コースの内容は、寿司と酒肴の約20品のみでありその他を追加オーダーすることが出来ないがよほどの大食漢でない限りは十分に満足出来る量である。この店のスペシャリティーは、いくら・うにとカニなどが、カクテルグラスのような小さな皿に盛られた「すしのすけ丼」である。大半が常連客で占められているため2時間単位での入れ替えもスムーズで混乱もない。
2024年11月の段階で次に確実に予約ができるのは2026年2月〜3月でそれ以外はキャンセル待ちをするしかないという盛況ぶりである。

名物すしのすけ丼はいくら・雲丹ともう一品。今回は蟹と蟹味噌が盛られていた。

食材廃棄率を限りなく0%へ近づける

信じられない高コスパでおまかせコースが提供される仕組みはこの店舗オペレーションに他ならない。外食産業のコスト構造で最もリスクが高いのが食材の仕入れである。見込まれる来店客数の上限を基準に食材の仕入れを日々行う必要があり当然ながら廃棄食材の量がコストに対して直接的なダメージを与えてくる。
「すしのすけ」の最大のサクセスポイントはカウンター7席を常に満席の状態にして3回転させていることである。毎日21人分の食材を扱うことが決定的であるため仕入れする量に余分がなく、端材を除けば食材廃棄率は限りなく近づく。結果として低価格で顧客満足度の高いコース料理を提供することが可能となっている。

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キャッシュレス化が更なる低コストにつながる


「すしのすけ」のお支払いはキャッシュレスオンリーで現金は使用できない。高コスパの飲食店では現金オンリーのイメージもあるがこちらは全く逆である。
釣銭の準備・売上金の管理・レジ締め作業・売上金の預け入れなどの現金決済に関わる従業員の作業負荷を一切排除してオペレーションコストの削減が徹底されている。
こうした店舗オペレーション削減へのチャレンジにより高コスパなおまかせ寿司が成立しており、事実として予約困難な人気店が運営されている。
このオペレーションコスト削減への取り組みは「おまかせコースのみ」という寿司屋に限定された取り組みとも思えない。焼肉店や割烹料理店なども可能性があるのではと感じられる。
他の飲食業態でも同様な取り組みがされることで外食産業の活性化がされることに期待したい。

画像はイメージです

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