HUI 1stEP「WHU IS ME:Complex」アルバム感想

※初出:2024年1月20日
リリース当時にふせったーに上げていたのに一部加筆・修正して移植してきたものです


PENTAGONにおいてボーカル・ダンスポジションの両方を担っているフイさんとキノちゃん、共に万能で天才な二人ですが、アーティスト性は異なると思っていて
「あなたはありのまま美しく」が主題のFashion Styleをキノちゃん、コンプレックスに基づく「僕は誰?」と自問するWHU IS ME:Complexをフイさんが、ほぼ同じタイミングでリリースしたところからも、その違いが見て取れて面白いです

曲の感想

1.HmmBOP

アルバムの一曲目という意味でも、ソロキャリアの幕開けという意味でもド派手な一発
THE・ファンク!
音の層(トラック数)がめちゃ多く作りが細かくて最高だし、イ・フェテク大暴れこと終盤のハイトーン、人間やめててわらった これからもどんどんやめていってほしい(?)

常々フイさんはボーカル・ダンス・表情管理etc引っくるめて「身体全てを使った表現」にすごく長けていて、"フイ"という楽器で自在に遊んでいるという印象を持っているんですが、それが最もよく表れている曲の一つではないかと思います
聴いて楽しい見て楽しい、完成度の高さに痺れる
個人的には4曲中これが群を抜いて一番好き

여기로 집합 the 집 to 합 the 집집합
We don't stop
のところ現場で一体になって歌いたすぎる

25.01.01追記
2024年に2回あったジノフイのファンコン、Spiring Picnic(3月)とHOME STAY(11月)どちらもソロステージコーナーでHmm Bopやってくれたんですが、期待通り本当にめちゃめちゃいいステージでした
HOMESTAYの方は生バンドだったのもあって、なおのこと「音に身を委ね歌い踊る、"フイ"という楽器で遊ぶイ・フェテク」がそこにいるのを感じられました まじでよかった

2.MELO

HmmBOPでの音の多さから一転、シンセ中心のシンプルなオシャレサウンド(全て台無しにするダサ言い回し)と、ハスキーで繊細なフイさんのハイトーンで作られる、パステルピンクの夢の中を渡るような浮遊感が心地いい
かと思えばサビで急に音域が下がり、力強さと温度を伴った声で突然こちらに目線を合わせてくる ギャップで風邪引く

そして曲のオシャレさとは裏腹に、歌がなかなかの難易度を極めていてすごい
・「휘핑크림 오렌지 스트로베리」と「I want you」の連続した三連符
・サビ直前の「Let's go」のgoでの細かすぎる音階調整
・「West Coast Santa Monica 너와 나」のmidC♯からスタートしてhiF#までの脅威の11音上がり
を推定BPM130前後でやっている だいぶ鬼

高すぎるボーカルスキルを細かく駆使して構築された、宝石のような一曲だと思います

25.01.01 追記
24年7月のサウンドベリーフェスタでMELOを披露していた動画が流れてきたのですが、生バンドアレンジがオシャレすぎていつか現場で浴びたい体になっています 今

3.Cold Killer

これまたMELOから急旋回して、今度はエレキサウンドが効いたロックチューン
おそらく元々の華奢な骨格に由来していると思うのですが、フイさんの声質はまず繊細さがベースにあり、そこに力強さが加わると切れ味の鋭いナイフのような声になると思っているんだけど、それがまたこういうロックとよく合う
ロックはカウンターカルチャーから生まれたジャンルだけど、Cold Killerはまさにこの「反旗を翻す」感があって最高

ラスサビ前の超ハイトーン、最初シンセかと思ってたら普通にフイさんの声で腰抜かしました
パーン!と一発でその音域に持っていけるの、まじで喉どうなってるんですかね
現場で生で聞いたら歓声上げちゃうよね

4.A Song Fron A Dream

夢の中でこのタイトルだけ出てきて、そこから作った曲とのこと
韓国語での原題は「봄이 오면 겨울은 지나가」(春が来たら冬は過ぎ去る)
アルバムの起承転結の「結」を担う位置にあり、映画のエンディング曲のようだと思いました
そしてオーディオスニペットでサビだけ聴いた時と、音源配信されてから全体で聴いた時とで一番印象が変わった曲でもある
思ったより暗くて好きです(暗い曲好き)

冬の曇り空の陰鬱さ、冷たさ、肌を刺すような痛み、そういうものを音にするとこれになる

フイさんの声が表現する、今にも折れてしまいそうな剥き出しの弱さにウソクの声が温かく寄り添いつつ、そして力強く支えてくれるので、いつかこの冬は明けてきっと春も来る、希望を持つことができる
そう信じて今はこの寒さに耐えよう、みたいな音に聴こえました

とにかくこの曲ではウソクの声がとても重要な役割を果たしているし、「コンプレックスを主題にイ・フェテクという一人の人間を見せる」というアルバムにメンバーがいてくれることの意味を噛み締めたいです


4曲とも音楽性が全く異なるので、ミニアルバムではあるけど非常にカロリーが高い
だけど曲ごとに起承転結の役割がはっきりしていて非常にバランスが良く、ループ再生していても聴き減りしない 
特に4曲目のA Song From A Dreamから再び1曲目のHmm BOPに戻ってきた時の「また始まる!」みたいなワクワク感ったらない

完全栄養食みたいなアルバムですね(???)
アーティスト・フイが全開で大変美味しかったです!
星、三つです!(CV.堺正章)

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