JINHO 1stEP「CHO:RD」感想(日本版5曲+Bad Criminal)
リリース:2024年8月27日(韓国版は9月19日)
投稿日 :2024年12月31日
遅…………………………………………
4ヶ月て
もはや遅刻どころでない時間の空きっぷり
一人で好きに書いて騒いでるだけですし、であれば締切があるわけでもないのでどうということはないんですが、とはいえだいぶ時期を逃しており流石に反省しました(そうですか)
だいぶ長い前置き
この言葉に当時、ささやかに気持ちを掬い上げられたような気がします
つらいもの全部帳消しにするとか、人生の全部を肯定して救ってくれるとかでなく、ほんの少し肩の荷を軽くしてもらったくらいの、ちょうどいいささやかさ
ちなみにそのインタビューの動画はこちら↓
曲ごとの制作ビハインドなどもあってかなり見応えがありました
チョ・ジノという人はいつもこの、「ちょうどいい」を捉えるのが上手い人だと思っています
正確さへのセンスがずば抜けているとも言うのか
足しすぎず引きすぎず この味付け この色合い このシルエットこの音色 ならまず間違いない みたいな いつでもスタンダード
現実的な物、即物的な物に対する感覚が秀でているんだと思っています
(余談)
勝手にジンホピースと呼んでいる例のアレ
↓コレ
「この角度でこの表情でこのポーズで撮っておけばまず間違いない」という、常に80点以上はキープできる映り方をとりあえず1パターンは会得し、それ以上のリソースはあまり割かない
という潔さがめちゃくちゃ好きです
いわゆるアイドル的な映えがどちらかと言えばあまり得意ではないけど、職業柄SNSにはある程度順応しておかないと…という処世術感
得意とするところはどこまでも伸ばし、そうでないものはまあそれなりに、という割り切りができるところ 強い
でもMZぽいことには憧れがあるのと、かわいいへの貪欲が果てしないところも好きです(何?)
話は戻りまして
フイさんの「WHU IS ME:Complex」は一曲ごとにガラッと空気を変え、全体を通して一本のストーリーを感じさせるような構成で、没入感と臨場感に溢れた感じだとしたら、ジノさんの今回のアルバムは雨宿りの軒下みたいだなと思いました
いっときの休憩場所というか
一息つける場所があるとわかっていれば、荷物を背負い続けられることもある
そういう優しいエネルギーをくれるような感じです わかって
例のインタビュー動画では「気分のいい軽さの材料としてファンタジーを選択した」という、今回のアルバムコンセプト決定に至る経緯にも軽く触れていたのですが
ここで言うファンタジーはエンターテイメントに言い換えられるとも思います
それらがもたらす影響を、ジノさんもまた信じている人の一人なんだと分かって嬉しかったです
曲の感想とか
1.Goodbye With You
イントロのギター、
テーレレーレ
テーレレーレ
テーレレーレ
テーレレレレ
↑この半拍空くの良くないですか?(伝わって)
一瞬のここの「溜め」にこの曲の豊かさが詰まっていると言っても過言ではない(大過言)
まずはチョ・ジノという人がどういったボーカリストなのかを説明するのにすごく分かりやすい曲ではないでしょうか
先行公開されたのを聞いた時に改めて驚いたのが、ソフトで温かみのある、The・チョジノといった感じのボーカルはそのままに、日本語の発音が1音1音しっかり粒立っていたところ
呼吸の技術がしっかりしている証左だと思うのですが、それをジノさんにとって異国の言語でやってのけている まじですごいです
曲は別れと思い出を懐古するロックバラード
例のインタビュー動画内で、誰かと関係性を築く時の“自分はこうしたから相手にこうしてほしいという期待“と、“それが返ってこなかった時の失望“を「一歩近づいたら一歩遠くなる」と説明しているところに、この曲の琴線に触れるポイントがあるのかなと感じました
信じていた相手を諦めてしまった切なさ・哀しさ・やるせなさみたいなものを素朴に描き上げている
印象的なのは歌の中で「赤信号」「傘」「アニメキーリング」「古時計」とやたらに物の名前が出てくるんですが、そのいずれも
と物たちの状態を視覚的に説明する表現が必ずついているんですよね(しかも全部ネガティブ…)
歌詞は全て「僕」視点なので、これらは全て今僕の手元に、あるいは近くにあるということだと思うのですが、こういった描写によって「共有していた物や景色はそのままに、君だけがいなくなり、僕は物たちと一緒に停止したまま」という景色が見えてくる
今の「僕」に見えている景色を素直に描き、それをジノさんのソフトで温かなボーカルで語ることによって切なさが直に伝わってくる 良い
あと個人的にすごく刺さったのが
「ここ 今 僕のGoodbye with you」
「その時こそ Goodbye with you」
の対比
特に 「その時こそ Goodbye with you 」がいい
思い出を懐古しながら傷が塞がるのを待っているこの時間ではなく
「笑い合える日 また来れば」と完全に思い出となり、折り合いをつけられたその時こそが「僕」にとっては本当の別れ
それが「その時こそ」の一言に集約されているのが本当に好きです
終盤に最高のエモポイントを仕込んでくるところ、日本バラードの良いところ
自分が一番よく理解できる言語で歌われているからというのもあり、つい言葉のあれこれを突っついてしまったけど、ジノさんの歌の技術とも相まってとても美しい一曲だと思います
こういう曲を歌ってくれてありがとうチョジノ いい薬です……
2.Teddy Bear
聞き返して気づいたんですが、この曲だけ他と比べると明らかにベースの音がカットされていて、全体的にとても「音が軽い」仕上がりになっているんですね
歌詞もCINDERELLA、ガラスの靴、カボチャの馬車、魔法使いetc…とあるようにシンデレラモチーフなのも踏まえると、アルバムコンセプトである「気分のいい軽さを感じられるようなファンタジー」の最たる部分を担う曲なのかなと思いました
メロディが先に生まれ、ガイド収録中に語感優先で当てはめたTeddy Bearという単語が良くて、そこから歌詞を書いたとのこと
「いい感じの仲の相手にもう少し踏み込みたい」という思いをメルヘンな世界観に掛け合わせた曲
デートが終わったら(=時間になったら)お別れというその子を「カボチャの馬車に乗ったシンデレラ」に見立て、もっと長い時間一緒にいたいから、魔法使いに頼んで自分をテディベアに変えてもらい、彼女が眠るときにそばに居られるようにしたというストーリー
Teddy Bearという言葉が先に生まれたのもあってなかなか色んな要素がごちゃ混ぜになっているのが良い
Goodbye With Youが(ある意味自分勝手な)期待と失望から他人との関係性を諦めてしまった内容なのに対して、Teddy Bearは期待と不安をエネルギーにもう一歩踏み出してみたいという対比が光る構図になっているの面白くないですか(もっと一緒にいたいという気持ちの結果テディベアになって彼女の枕元に寄り添うというややストーカーめいた発想なのは置いといて)
MVもかわいくて好きなのですが、個人的には音盤リリース後の日本公演で披露されたライブバージョンが本当にいいので見てほしいです
「悪魔」の表現が🤟なのかわいい
3.僕の君へ 〜僕たちの瞬間〜
たぶん韓国語で付けられたタイトルをそのまま訳したんだろう感
あんまり日本産にはなさそうな語感が面白いです
爽やかなバンドサウンド曲
邦アニソン青春ロックテイスト、なんぼあってもいいです 助かる
ハイキューとスラダンからインスパイアを受けているとな!
H×H好きといい、どこまでも少年ジャンプ育ちなのがわかるラインナップですね
それも相まってか徹頭徹尾、土曜夕方17時放送のアニメエンディング主題歌感がすごい やりましょう
4.OVER
初めて聴いた時、
うわ〜〜〜好き〜〜〜!!!!!!
という声が思わず漏れました
テディベアを抱っこした32歳成人男性のかわいさ溢れるジャケットからは想像もつかない、重たくてダークなサウンド
個人的には韓国のサスペンスドラマのOSTで流れてそうだなと思いました
収録曲順を見ても明らかにギャップを持たせる意図がありますね
見事に落っこちましたし、これは落ちる気持ちよさがある
Goodbye with youがコインの表ならOVERは裏
Teddy bearがふんわりとした軽さなら、OVERは地の深くまで響き渡る重さ
青空へ一歩大きくジャンプするような疾走感溢れる「僕の君へ」と、烈火のような激しい感情が極まったOVER
といった具合に、OVERはこのアルバムの他曲が持つあらゆる要素の反対側を担う曲だと思います
舐め腐っている意図は一ミリもないのですが、Goodbye with you(温かさ)・Teddy Bear(可愛さ)・僕の君へ(爽やかさ)と来て、ここにOVERが放り込まれた時の「人畜無害そうに見えていたこの人こそが真のボスなんだ」と気付かされた感があります
そしてそれはチョ・ジノ本人に対して抱く印象そのままでもある……………
5.Marry-Go-Round
日本版では唯一の提供曲!
全体的にアニソンとかボカロっぽい感じだなと思ってたら、作曲された方(千葉"naotyu-"直樹さん)がガッツリそちらの方面での作曲・編曲をメインに活動されている方でした
Teddy Bearに似た空気感のある、軽やかでメルヘンチックな曲
OVERを経た後だと、こんなかわいい曲を歌ってくれてありがとうの気持ちもひとしお
5.Bad Criminal ※韓国版のみ
韓国版リリースの報せがあった数日後、先にタイトルだけ公開された時からこれは絶対に(良い意味で)ヤバい曲だ!と思っていたところ、オーディオスニペットを聞いて大勝利の確信を得たのは私だけではないと思います
そこから早くフルバージョンを聴きたくて9月19日を待ち侘びてたのが懐かしい
Apple musicによると、自分が2024年で最も再生した曲がこのBad Criminalでした
それでBad Criminalの何がやばいって全てですよね
このメロディ、このアレンジ、この歌詞、そしてBad Criminalというタイトル
あまつさえ本人は「Fifty shades of grayを見て書いた」とサラッと言うので私はもう何もわからなくなりました チョジノ怖い
説明を放棄していますが本当に全てがやばいということを分かってほしい
チョジノ作曲の良いところが全て出ている
ジノさんの作る曲ってTALK、Mr.Wolf、Billie Jean等がそうであるように「派手ではないがまとまりが良く、音盤全体を引き締めてくれるオシャレさ」というイメージを個人的に抱いていて、それってまさにチョジノなんですが
特にBad Criminalは誰が聞いても「かっこいい」と思うであろう、冒頭にも書いた「ちょうどよさ」のツボのど真ん中を突いてくる仕上がりになっていて感服しました
不確かなものが多い現代ですが、それでも信じていいものの一つに「チョジノ作曲」は確実に挙げられます 全人類ジノ曲を信じろ
どうでもよいおわり
8月リリースの音盤の感想を年末に上げるという信じられない筆の遅さに自分でも衝撃を受けていますが、何やかんや形に残せたのは良かったと思います(自己満足でしかないけど)
2024年、いちユニボスとしては「PENTAGONはどうなっていくんだろう」という、きっと本人たちも抱いているであろう不安を胸にしながらも、目の前の自分の生活を一日一日やっていたらいつの間にか一年が終わっていたという感じでした
そしてその不安は今もうっすらと残ったままですが、一方で各々が各々の活動を着実にこなしていく姿を、ただシンプルに信じようとも思えた一年でもあったと思います
2025年もたくさんPENTAGONたちの音楽が聴けたら嬉しいですね!
良いお年を!