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オープン記念って看板に書いちゃう可愛さに酔いしれる。

・ワンワン、ク〜〜ン。

電車に乗っていたら、どこからか「クゥ〜〜ン」という小さい鳴き声が聞こえてきた。甘えるような声。振り向いていけない声。けど人が出している音とはどこか違う。パッとあたりを見ると吊り革を掴んでいた隣の女が犬を連れていた。バック兼犬小屋みたいなカバンの取手を持って立っていた。その持ち運び犬小屋の中には犬がいて(小型犬でミニチュアダックス的なやつだった)、クンクン鳴いていた。ただ自分が電車内にいる自覚はあるらしく控えめに音量を落として鳴いていた。おそらくお腹が減っていたんだろう。それを察した飼い主がドッグフードのジャーキーを犬小屋バックとはまた別のウエストポーチからおもむろに取り出した。全長20センチくらいあるジャーキーで棒状のもの。先端部分を手でパリッとちぎって、穴から犬に直接渡して、食べさせた。餌をもらうと犬はすっかりおとなしくなり、むしゃむしゃジャーキーを食べていた。すると、手に残っていた残りのジャーキーを彼女もボリボリ食べ始めた。犬には先っぽしかあげなかったが、自分では8割くらいを食べるなんて。そんなことより犬用ジャーキーあんま食べんな。しかも電車内で。しかも唐突に。たくましすぎだろ。まさにワイルドだろ〜。そんな彼女を犬が見て、く〜〜んと一鳴きした。電車内にいた全人間の想いを代弁してくれた。ほんとにワイルドな女だ。俺もパッと彼女の足元を見たら、やっぱりごっついごっついロングブーツを履いていた。やはりな。にやり。

・いつも組織。

マックでは燃えるゴミ(紙類)と燃えないゴミ(プラスチック)を分別してゴミを回収している。この時代当たり前。ゴミ袋がいっぱいになったので、店員さんがゴミ袋を替えていた。そのタイミングでごみを捨てに行ったら、分別もクソも関係なく、俺が手渡した燃える燃えないゴミ混合のそれをノールックで燃えるゴミの方へ流し込んだ。まだ中身を捨てていないコーラもあるのにノールックで燃えるゴミへダイブ。過去の我々(マック利用者)が積み上げたもの(分別)を一瞬で台無しにするあいつ。目深く被ったキャップの奥であいつは開放的な眼差しをしていた。いつも最後に裏切るのは組織だ。これまでの個人の努力をすべて台無しにする力を持つ。

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