
旅先で出会う「知らない文化」について
旅行の面白いことのひとつに「旅行ガイドにも載っていないような知らない文化に出会える」というものがある。
外からあまり注目されておらず、しかもごく限られた範囲でのみでしか伝わっていないような文化は、面白さを感じると同時に、やがて跡形もなく消えてしまうのではないかという不安感の入り混じったはかなさを感じる。
ここは熊本県・人吉。
青井阿蘇神社や、
人吉城跡、
醸造場など、素朴な見どころの多い町だ。
ついでにいうと、新温泉も雰囲気がすごく良かったし、
ふらっと入ったラーメン屋も小学生の女の子が手伝ったり、店の餃子を食べだしたりしていたのでなごんだ。
そんな人吉にある鍛冶屋町。雰囲気はあるが、入れる店は少なく目立つ見どころはそれほど多くない印象。
そんな鍛冶屋町に、「ウンスンカルタの家」というものが建っていたので入ってみた。
中にはウンスンカルタの現物が飾られ、説明展示があった。
ウンスンカルタとは、およそ450年前にポルトガル人が持ちこんだ南蛮カルタを改良したものだそうだ。
日本中で流行したものの、寛政の改革にともない禁止されて、日本から姿を消したという。だが、なぜか人吉のみに残っていたそうだ。
歴史の闇に消えていきそうだった娯楽を、かろうじて人吉だけが覚えていたのだ。
少し検索してもらえば分かるが、ウンスンカルタは購入可能でありルールもはっきりと残っている。
知名度こそ高くはないが、地元の方の活動や、現代の印刷技術やインターネットの力により消滅を免れた文化だ。いい時代になったと思う。
ただ、消滅を免れたとはいえ、ウンスンカルタにはまだ人吉の名物といえるほどの知名度はない。
何も知らずにきた観光客が「へえ、こんなものがあるのか」とその場で初めて存在を知ることの方が多いだろう。
文頭でも述べたが、そういった、地方にひっそりと残っている文化を発見できるのが旅行の面白いところのひとつだ。
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