マイナーな偉人を求めて2
これは岐阜駅にある織田信長の黄金像。
織田信長ほどの偉人になると、地元で像が作られるだけでなく、その名が国中に知れ渡ることになる。
彼はもはや岐阜の英雄というより、日本の英雄というにふさわしいだろう。
もちろん、名が国中に知れ渡ったり日本史に名を刻んでいる英雄だけが、すばらしいというわけではない。
地方へ行くと、全国的な知名度自体はないものの、その才能や個性で地元に名を残している偉人と出会えることがある。
今回は、そんな偉人たちを紹介したい。
なお、以前に同じテーマで記事を書いているので、そちらも読んでほしい。
①リョウメンスクナ
日本三名泉のひとつである下呂温泉から列車で30分ほどのところにある飛騨金山駅。
そこから10分ほど歩いたところに鎮守山がある。
鎮守山の頂上にはリョウメンスクナの石碑がある。
彼を「マイナー」というのは少し語弊があるかもしれない。なぜなら、彼は日本史には表立って登場しないものの、『日本書紀』に名を残しているのだ。
あと、ネット上の怖い話でも名前が登場するので、完全に無名というわけではない。
彼は、仁徳天皇の時代に飛騨に現れ、武振熊命に討伐された謎の人だ。
2つの顔と4本の腕を持ち、鎮守山の石碑によると飛行能力も持つという。もはや人間かどうかも疑わしい。
『日本初期』では天皇に従わずに略奪を繰り返す逆賊として描かれているが、飛騨では祭祀を行なって民衆を救い導く話が残っている。
なお、石碑が作られるだけでなく、「宿儺(すくな)かぼちゃ」という品種のかぼちゃが作られたりもしている。
天皇に逆らったため残虐な化け物として描かれてしまっただけで、本当は心優しい英雄的人物だったのかもしれない。
②木下徳子
鳥取の米子城近くにある出現地蔵。賀茂川の底の井戸の中から発見されたという逸話を持つ。
これを発見したのが木下徳子という人物だ。
木下徳子は霊感の強い体質であり、1929年にテレパシーを受信したという。テレパシーに従った結果、川の中の井戸から地蔵を発見したとされる。
これが例えば戦国時代であれば単なる伝承ですむが、昭和にもなってこのような逸話を残すあたり、ただ者ではない。
私が確認した限り木下徳子の話はこれだけだが、彼女がどのような人生を送ったのか非常に気になるところだ。
③磯内膳
リョウメンスクナや木下徳子といった人智を超えた人物を紹介したあとは、人間臭い人物も紹介しよう。
磯内膳は小田原出身の侍である。
だが、精神病の酒乱持ちだったため初島に島流しにされてしまう。
彼はそこで、誤って堆肥をかけてしまった島民に激怒し果たし合いをせまる。
島民が覚悟を決めて斧を研ぎだしたため、おどろいて許したという。
磯内膳はその後も問題を起こしたため、切腹させられて島内の小田原が見える場所に葬られた。
偉いことをひとつもしていないのに歴史に名を残した稀有な人物だ。
彼のことは結構気に入ってるので、実は以前にも彼について書いたことがあるのだが、また取り上げてしまった。
あなたも旅行の時にはマイナー偉人を探してみてほしい。