コピー本を作ろう!
こんにちは。しがない物書きの九曜でございます。
実は結構甲羅を経たオタクでありながら、つい最近印刷所さんで本を出すという経験をしたため、オタクのたしなみ「コピー本」を通過してきてしまいました。
イベント合わせの新刊も書けた、でもまだ時間はある……
そうだ。コピー本、出そう。
原稿さえあれば、近くのコンビニで作れる気軽さがコピー本の強み!
特に我々字書きは絵描きの方ほど画質にこだわらなくていいので、コンビニのコピー機でも十分に読むに値するものができてしまいます。
でも、データ入稿・オンデマンド印刷全盛のこのご時世、コピー本の方が面倒な作業になってしまうかも知れません。
それでは、ちょっとこだわったコピー本の世界へ旅立ちましょう!
其の壱 原稿を書く
当たり前ですが、出すものがなければ本は出ません。まず原稿を書きましょう!
原稿のサイズはA5とかB5くらいがメジャーどころでしょうか。
注意点としては、コンビニでコピー本を出そうとするとき、ページ数は4の倍数でなければならないということです。
それから、忘れちゃいけない奥付!
奥付に1ページ取るとすると、書かなければならないページ数は3,7,11、15……という具合になります。
もし半端なページで終わったら?
あとがきとか制作秘話で埋めるのです……
できたらPDFファイルに変換しましょう。(フォントの埋め込みの確認も忘れずに!)
其の弐 紙を用意する
こだわりのない方なら、コンビニのコピー用紙で十分でしょう。
でも、私はそれではさみしかったので、紙屋さんで表紙用の紙を取り寄せました。
今回使用いたしましたのはここ!
同人誌用の紙も扱っておられます!
サンプルもありますので、実物を手に取りたい方は送ってもらうのもいいでしょう。(ただし、ハガキほどのサイズですので、あくまで見本ですね)
ちょっとインチキ和テイストが欲しかったので、「和柄もよう紙 A4/色:花 ローズ」という紙にしました。(ヘッダーのコピー本の表紙です)
そうそう、気をつけなければいけないのは、本文とは違って、表紙は本文の倍の大きさを発注してくださいね。
本文A5→表紙A4 本文B5→表紙B4 って感じで。
後述しますが、本文もできあがりは倍の大きさの用紙で印刷されるので。
其の参 本文をコンビニのコピー機で印刷する
コンビニのコピー機で本文を印刷します。
私の使用したのはセブンイレブンのマルチコピー機(新型)です。
<持っていくもの>
・USBメモリに入れた本文データ(PDFに変換しておいてください)
・印刷代分の小銭、もしくはnanacoなどの電子マネー
・刷り上がった原稿を入れる袋(できれば一部ずつ分けて収納できるようになっていると心強いです)
筆者はチャージ済みのnanacoとクリアファイルを冊数分準備しました。
セブンイレブンのマルチコピー機はお札を受けつけてくれないようですので、nanacoはとても役に立ちました。
まずは一部試しに刷りましょう。
メニューの「プリント」→「普通紙でプリント」を選びます。データに関する規約(だと思います……)を確認して、印刷するメディアを選択する画面になりますので、「USBメモリ」を選択。静電気除去マットに触れて、USBメモリを差し込みましょう。
コピー本用のPDFデータを選んで、「すべて印刷」を選択。原稿は「白黒」→「(本文A5の方は)A4・(本文B5の方は)B4」→「小冊子」を選択。
本文横書きの方は「左とじ」・縦書きの方は「右とじ」を選択。
これで準備は整ったので、一部試しに刷って、ページの順番がおかしくなければ、大量生産のお時間です。
面付けなどの面倒な作業は、マルチコピー機が自動的にやってくれます。
印刷中はUSBメモリを抜かないでくださいね。
後は忘れ物に注意して、撤収です。
余談ですが、筆者の持っていったクリアファイルは役に立ちました。ただ、後ろで待っていらっしゃった方に気付かず……すみませんでした!
それから、一部ごとに分かれて出るわけでないので、結構分別に時間を取られます。
原稿の内容にかかわらず、空いている時間帯の作業推奨でございます!
其の肆 製本する
さて、ここからが山場。
製本のお時間です。
コピーするだけでは本はできません。
と言われても何をどうして良いのやらわかりませんよね。
そんなあなたに「ナカトジータ」!
簡単に言えば、中綴じ本を作るのに非常に役立つツールです。
ただ、結構お値段張ります……
A3まで対応+中綴じ用ステープラー2つつきで5,658円です。
参考までに載せておきます。
筆者はA5で本を作りたかったので、姉妹品のナカトジータ・パーソナルを購入しました。
さて、この緑色の板をどう使うのかが問題ですよね。
まず、広げたサイズに合うように付属のストッパーを付けます。(白い樹脂製のブロックです。A5で完成させたいので、A4のガイドに合わせます)
次に、付属のステープラーを中央の溝に差し込みます。
中綴じ用ステープラーのマガジンをひねるように引っ張り出します。
ガイドに合わせて端をそろえた表紙+本文をセット。
そのまま、一部をガチャリと綴じましょう。
あとはこの地道な作業を部数分繰り返してください。
製本はこれでほぼ終わりです。
其の伍 整形する
さて、まだただ綴じられた紙の束という感じですね。
このまま二つ折りにしてもいいのですが、ちょっと見逃せない問題があります。
其の肆で綴じた紙の束をひっくり返すと、こんな感じになっています。
ステープラーの針が眼鏡のように丸く浮いています。
気になる人には気になる、その名も「めがねクリンチ」。
カッティングマット(なければ電話帳や雑誌など)を下敷きにして、これを叩きます。
筆者はカッティングマットの上に原稿を置き、「めがねクリンチ」の上にアルミの定規を置き、大きめのカッターナイフのお尻で叩きました。
あまりきれいに処理できなかったのですが、とりあえず良しとしました。
「めがねクリンチ」を潰したら、二つ折りにします。
もう一度ナカトジータ・パーソナルに原稿をセットします。
ガイドを頼りに二つ折りにします。
大分本の形になってきましたね。
ですが、背中の折りが甘く、綴じ部分が膨らんでいます。
これもまたカッティングマットの上で、定規をあてて叩きます。
大分平らになってきたところで、またも問題発生です。
コピー本の構造上仕方ないのですが、内側の紙がはみ出してかっこ悪いことになってしまいました。
これも処理してしまいましょう。
定規を表紙のきわにあてて、カッターナイフで白くはみ出た部分を切り落とします。
これを「化粧断ち」といいます。
しかし、不器用な筆者は化粧断ちのつもりが、余計に悲惨なことに……
諸々不手際もありましたが、なんとか完成!
印刷所はまだ気後れして……予算が足りなくて……という方はコピー本を検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、この本はA5で24P、二段組みで一万五千字弱収録できました。
ナカトジータ高い!という方には、百均の発泡スチロールで同じようなものを作っていらっしゃる方がおられますので、ご参考までに。
それでは、皆様の同人ライフが良きものであることを願って、拙文の締めくくりとしたいと思います!