台湾のバンドが懐かしいサブカル心をくすぐってくる。ずっとブックオフにいるような気持ちになる。
最近、台湾のバンドにハマっています。ナンバーガール、銀杏BOYS、アジカンあたりを好んで聴いていた私に、台湾のバンドはピッタリハマりました。80年代~90年代くらいの、ちょっとだけ懐かしい香りがする邦ロックのバンドの雰囲気。
特に透明雑誌は、バンド名からしてももしかしたらナンバーガールの「透明少女」にインスピレーションを得ていたりするのでしょうか。
クリープハイプの尾崎世界観さんのコラム「東京湾のそこから」(月イチ更新と書かれていますが、二回で連載は止まっています。オンライン連載のあるあるです)でも台湾のバンド「非人物種」が紹介されています。彼も言っているように、非人物種の曲はライブハウスを思い出させます。小さなライブハウスのステージの上から耳が壊れてしまうくらい大きな音が聴こえて、感情が昂って訳も分からず涙が出そうになるような、真っ暗な中でステージだけが光り輝いていて、音楽が与えてくれる熱に浮かされてしまうような、あの感覚。
台北にある「Waiting room」という透明雑誌のメンバーの方々が運営しているショップには台湾のバンドのCDやレコードがたくさん取り扱われていました。「非人物種」の音楽もそこで私は視聴して、生まれて初めて「レコードが欲しい!!」という感情を抱きました。レコード特有のビビッとしたあの音で非人物種の曲を聴いてみたい。レコードプレイヤーをそもそも持っていないので断念したのですが。
Waiting roomは路地裏にある小さなお店で、周辺にはおじいちゃんおばあちゃんがやっているようなクリーニング屋さん?とか普通の民家が並んでいました。中にはレコードやCD以外にもTシャツやステッカーのようなグッズも並んでいて、とてもいい場所でした。次に行ったときはレコードを買えますように……。
そして私が近ごろよく聴いているのは「宇宙人(COSMOS PEOPLE)」。音楽の雰囲気はNever young beach、くるり、浪漫革命あたりと近い感じです。優しくて懐かしくて、少しだけ切なくなるような美しい音楽。特に私が好きなのは「藍色的你」。
夏の、たぶん終わりに近づいているくらいの時。眠たくて微睡んでいるときの、現実と夢の境が曖昧になるあの瞬間にあの人の顔が思い浮かぶ。気だるさ、寂しさと入り混じって、あの人との恋の記憶が浮かんでくる……概ねこのような歌詞です。ここで出てくる「鵝卵石」というのは、花蓮の海岸にある、波で削られて卵のように丸くなった石のことを指すのだと友人に教えてもらいました。花蓮の波打ち際で揺らめくあの人のスカート、砂浜に書いた言葉、鵝卵石の間を通っていく波。すごく綺麗な情景ですよね。しかもこの「藍色的你」の歌詞、AメロBメロは終わりのピンインが「ian」で統一されているんです。漢詩でもよくある押韻!
私はこれらの音楽を勝手に「ブックオフ音楽」と呼んでいます。ブックオフにいる時のような懐かしくて、切なくて、ぬくぬくとした気持ちになれる音楽。ぜひ皆さんも聴いてみてください。