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【米国株_テンバガーの原石:2】NIU(ニウ)は、中国発のEV二輪車メーカー【 $NIU 】後編


本分析まとめnoteは、最後まで無料でお読みいただけます。
(購入していただいた方に何もないのは申し訳ないので、雑記を有料ゾーンに載せることはあるかもしれませんが、無価値です。)

今後も、同様の銘柄発掘・分析まとめを予定しております。
もし良ければ、投げ銭やnote購入等などしてくださると幸いです。


前編はこちら↓


サマリー目次

前編

✓Niuとは?
✓製品の特長
✓ざっくり業績 
✓過去決算 
✓株価/財務諸表 
✓年32%育つEV二輪の世界市場
✓注目市場ピックアップ分析

 ①中国
 ②インド
 ③欧州
後編✓EV二輪:レポートから見る世界的プレイヤー✓競合他社動向
  ①Yadea
  ②Hero
  ③GenZe
  ④Gogoro
  ⑤Vmoto
 ✓Niu vs Yadea 個人的比較
✓強み弱み分析~Niuの「潜在価値」に迫る~
  ①スクーターの性能を超えた価値
  ②データ収集と国際展開
  ③自動運転にも参入!?
  ④デザイン、ブランディング、スマートさ、に注力する戦略の意図を思考
  ⑤弱みは販売台数の規模が小さいことか

 ✓雑記:自分の妄想が描くNiuの未来



0. はじめに


免責事項

本noteは、投資判断においてあくまで参考となり得る情報提供のみを目的とし、作成しました。
投資の最終決定は、投資家ご自身の判断と責任の元で行ってください。
本資料に基づき損害を被ったとしても、当方及び情報発信元は、一切その責任を負いません。
各種引用物の著作権は、引用元の著者に帰属します。
本noteおよびnote内の文章は、著作権によって保護されており、
無断転用、複製、または販売等の転用行為は禁止です。


では本編。




1. EV二輪:レポートから見る世界的プレイヤー


market insighter reportsより、
下記がEVバイクの主要プレイヤー、
と述べられている。


上場企業、ほか注目企業は太字にし、
後にピックアップする。

中国メーカーtop10

AIMA(1631983D:CH 現在チャート見れない)
Yadea(1585:HK)
Sunra
BYVIN
TAILG
Lvyuan
Incalcu
Lvjia
Lima
Supaq

他国

Hero Electric(インド BSE: 500182; ;NSE: HEROMOTOCO)
Accell(EU; AMS: ACCEL)
テラモーターズ(日本、未上場)
ヤマハ発動機 (日本:7272)
ZEV(米国、未上場?)
Giant(台湾)


また、pironさんが引用して挙げていたレポートによると、
下記メーカーも挙げられている。

Mahindra GenZe(インド)
BMW Motorrad International(ドイツ)
Vmoto Limited(オーストラリア)
Gogoro Inc.(台湾)
Jiangsu Xinri Electric Vehicle Co. Ltd.(中国)




2. 競合他社動向


①Yadea(中国)

Yadea Group Holdings Ltd は、
e-スクーター、バイクの開発製造販売を行う中国の会社。

売上の90%が中国内で、
販売台数もNiuの6,7倍。

中国国内売上が多いNiuにとって、
最大のライバルか?


2001年会社設立
2016年に香港上場(1585:HK)


2011年時点で、
EV二輪に関する日本語記事が出てくるなど、
世界に先駆けてEVバイクを製造してきた
「先駆者」と思われる。



ブルームバーグの記事に基づいて、
情報をピックアップ。

強み:グラフェンバッテリーを開発
→1時間で80%充電できる(!)
→あと、おそらく軽い


おそらく実装はまだ。テスト段階にある
と思われる。2年のテスト?(公式HPより)

補足
グラフェン…炭素の同素体。

グラフェンバッテリーの参考記事


現在は、リチウムイオンバッテリーを積んでいる。
豊富なラインナップを有する。

162モデルの電動スクーターとバイクを製造
ローコスト路線?

2019年度
Yadeaのバイク平均価格1,964元
Niuのバイク平均価格4,900元
→ハイエンド需要も満たすべくG5モデル発売(8,000元)

収益の90%は中国内
約80カ国(米国、ドイツなど)へ輸出


販売台数。
2020.09.20のYadea中間報告より、

電動スクーター
2018.12.30~2019.6.30
→1,086,900台
2019.12.30~2020.6.30
→2,253,500台(YoY +107.3%)

電動自転車
2018.12.30~2019.6.30
→946,100台
2019.12.30~2020.6.30
→1,805,300台(YoY +90.8%)


そんなわけで、ざっくり通年で考えると…
Yadeaは電動スクーターを400万台/年 売りそう。

これに対しNiuは2020年度、60万台

ということで、Yadeaの規模はNiuの数倍大きい


しかも、キッチリと、
販売台数を前年比で+100%と、
大きく伸ばしている

そのためか、株価はここ1年でテンバガー
と、すこぶる調子が良い。

画像1



アプリも出している模様。
(apple のapp storeでも確認できる。)

アプリを紹介している記事を見つけた。
google翻訳ベースで読んでみた。


画像2

機能

バッテリー残量
車両位置
盗難防止(電子ロック機能)
使用履歴、走行データなど


ということで、
必要最低限の機能が備わっているように思う。

メンテ機能が付いていなさそうなので、
ここでNiuに分がありそうだ。





②Hero electric(Heromotor)(インド)


Niuがインドという世界最大のマーケットに突っ込むにあたって、やはり現地プレーヤーを確認しておきたい。


2020年、インドで最もeスクーターを売り上げたのが、
Hero electricである。


素晴らしい記事を見つけた。

なんと、
インド販売を手掛けるe-スクーター製造16社が、
2020年にインドで販売した台数
が示されている。

上位3つを示すと、

1位:HeroElectric
8,111台(前年比-28.17%)

2位:沖縄オートテック
5,564台(前年比-50.46%)

3位:アンペアエレクトリック
4,422台(前年比269%)

上位3社で、市場全体の約71%を占める

市場全体で、せいぜい3万台弱といったところか。

(残り各社の台数が気になる方は、該当記事を見てください)


【おさらい】

インドのEV二輪マーケットに関して。
前編にも記載した情報を再掲する。

販売台数、伸び
2019年、152,000台の電動バイクとスクーターがインド内で販売
され、

2014年から毎年20.6%の成長を記録

小売売上高予測
2020年から2025年までCAGR 63.9%
2025年には10億ドルの収益へ

市場成長の重要因子
政府によるEV化へのインセンティブ、助成金
EV自動車、二輪車促進のために免税

で、下図のように、インドでは、スクーターの総数が少なそう。

画像3

引用:Nikkei Asia

しかしバイクよりスクーターのほうが、台数の成長が著しい。





③GenZe(インド)


こちらもインドでe-スクーターとe-bikeを出している。


本記事ではe-スクーターに着目。
まだ2種しかリリースしてない?

画像4



同時に、

スクーターの状況を確認するアプリも出している。


画像5

機能

バッテリー残量
経路提案と渋滞回避
診断機能
盗難防止
使用履歴、走行データなど

Niuに近い機能が備わっている。

インド国内で既にトラッキングデータなどを収集している、と考えると、
グングン販売台数を伸ばされるとNiuの付け入る隙が減ってしまうかも。


よって、Niuにとっては素直に脅威だと感じた。


まだ販売台数を伸ばせていないと思うが、
動向を注視したい。





④Gogoro(台湾)


こちらも脅威となる、
台湾発のe-スクーター企業。

Gogoroのウリは、バッテリーステーションである。


画像6


Gogoroのバッテリー交換ステーション
「GoStation」は、
台湾ではすでに1,000か所以上に設置されている。
台北市内ではおよそ1キロ間隔で設置されていて、
バッテリー切れを起こしても15分程度「Gogoro」を引いて歩けば、
バッテリーを交換して走行できるようになっている。

引用:えん乗り


つまり利用者は、「充電時間を待たなくてよい」。

また、例えばインドなど、

EV車を普及させたくても、その
インフラ整備がネックで進んでいない国
にとっては、
インフラ整備ハードルを下げることにもなるかも。


もう、日本にも来ている。

Gogoroは2017年には日本の住友商事と戦略的パートナーシップを締結し、沖縄県石垣島に「GoStation」を設置した。

2018年にはヤマハとの協業に向けた検討を開始し、2019年6月には電動スクーター「EC-05」を世に出している。


この記事のように、ヤマハのスクーターも中身がGogoroだということで、
だいぶ身近まで浸食されている。



ちなみにGogoroもAppを出している。

画像7


たぶん、バッテリー残量、電子ロックなど標準的なものと思われる。





⑤Vmoto(オーストラリア)

前編で出したように、
Niuと並んでヨーロッパで人気と述べられていた、
Vmotoに関しても少し調べた。

Vmotoは、
オーストラリアの電動バイクメーカー。


特にアプリ等は見当たらなかった。


まずは販売台数を見てみる。

Vmotoの販売台数
12月四半期の販売台数:6,000台強
20年通期:約23,500台(YoY +18%)
引用:themarketherald販売国比率の参考情報
20Fy 1Q:4,121台(YoY +8%)
うち、3,741台(90%程度)がオーストラリア国外
引用:SmallCaps

とのことで、海外販売が主力のメーカーとわかる。

その販売台数を見た限りでは、
Niuの
20Fy他国販売 28,738台
も良い数字なのでは?と思える。





2-EX. Niu vs Yadea比較

e-scooter事業に即して、
簡便なバリュエーション分析をした。結果、
Niuにとって、
Yadeaが下記観点から強敵と考えている。

共に中国がメインマーケット、
かつ世界的に販売網を展開


Yadeaのほうが販売台数が数倍大きいうえに、
直近YoYも高い。


Niuのハイエンドモデルの売れ行き好調を確認し、ハイエンドモデルを展開し対抗してきた

(後述:Niuはハイエンドモデルをウリにした戦略を展開のため、ダメージ大きいと予想)


結果的に、e-scooterだけにベットするなら、Yadeaのほうが低リスクに思えた。


私が、ざっと確認した範囲で、分析結果を所感とともに紹介する。
※執筆時点


時価総額。
YadeaはNiuの2.5倍。

なんと、フォワードPERは両者52で一致。

画像8


売上高。
Niuはスタートアップゆえに伸びが大きい。

画像9


バランスシート。
両社資産を増やしているが、Niuのほうが負債比率が小さい。

画像10


グロスマージン。

直近、通期のグロスマージンはNiuのほうが高いことから、
ハイエンドモデルのビジネスモデルの有効性がうかがえる。

(しかし廉価なG0シリーズにより直近粗利益が悪化しており、ここの強みが消えないかは懸念。)

画像11


オペレーティングインカム。
Yadeaは横ばい気味だが、ここ数年はプラス圏。

画像12


ネットインカム。
Niuはオペレーティングインカムと直感的に同じような推移だが、
Yadeaはちょっと違う。

画像13


shareホルダー内訳。

Niuのほうが、個人/インサイダー以外の保有者が多い。

画像14


もう少し詳しく見てみる。

Niu。
みんなお馴染みARKが買っている。

画像15


Yadea。
なんと、ヤディアグループ会長が半数近く(49%)も持っている!

画像16



アナリストレーティング。
Yadeaはそもそも会社数が少ない。が、
どちらもbuy判断と見える。

画像17



アナリスト目標株価。

Niuは、現在株価よりも低い。
Yadeaは、現在株価から最大でツーバガーが目標値のMAXだ。

画像18


ヤディアとNiuは、フォワードPERの考えからは、
バリュエーションは同じくらいなのかもしれない。

Yadeaのほうが大きくて、
たくさん売っていて、
事業は安定してきている。


Niuは伸びしろを大きく感じるものの、

高価格路線に反する廉価モデルを販売
→粗利を悪化

という、
ハイエンドモデル主体のビジネスにとって、
悪いシナリオを描いた
うえで、
直近販売台数の年間成長はYadeaに劣っている。



また、seeking alphaの記事によると、

研究開発費用でみると、
YadeaはNiuの5倍
だそうな。

実際、Yadeaはグラフェンバッテリー
を実装する可能性があり、
高速充電モデルを発表できそうなほか、

リチウムイオンバッテリーに対する不信感が広がった場合にも、強みを発揮できそうだ。



前編で述べたように、
EV二輪の市場は成長著しく、
投資対象として魅力である。

ゆえにEV二輪という観点だけでベットするなら、

既に世界的地位を確立し、
販売台数の推移も堅調なYadeaのほうが、

リスクを低減し、
順調にマーケット拡大の恩恵を享受できる、
そのように思える。


seeking alphaから、 eスクーター企業としてのNiuのバリュエーションに対する疑問を呈した記事を示す。

Niu Technologies:Good Fundamental Story、Heady ValuationsNiu: Declining Margin And Unsustainable Growth At 100x TTM P/E


しかし私は、「Niuが描きうる未来」を考え、
中長期で大きめのポジションを取る予定である。
(現在は、資金が許す限り買い増している。)






3. 強み弱み分析~Niuの「潜在価値」に迫る~


このパートは、私の主観がどんどん強まるので、
後ろに行くほど定性的になる。


端的に述べると…

私は、
Niuは電動スクーター「だけ」の会社ではない
、と思う。
2018年、FORM-F1を見ても、
スクーターを超えたソリューション
という記述がある。

画像19



①スペックにはさほど興味なし


先の競合他社リサーチを通して、
スクーターのスペックに触れてこなかったのには理由がある。


端的に言うと、私は、
スクーターのスペック自体には、
あまり投資妙味を見出せていない


先に示したように、
上場済、未上場含め、
e-スクーターを手掛ける会社は多数ある。
二輪主要国では、現地で強いメーカーも既にいる。
それぞれ、しっかり強みもある。

バッテリーにイノベーションを起こしそうな上に、
そもそも世界市場のトッププレーヤーであるYadea。
正直、EV二輪順張りなら、この会社の株も買いたいと私は思う。

交換式バッテリーのインフラ化成立を証明した台湾の覇者gogoro。

関税で守られた自国の中で、世界最大のマーケットを守るインドのスクーターメーカー、Hero motorと GenZe。

ほか多数。



先に紹介できなかった小さいメーカーも多数あり、
さらにその他では既に潰れ始めているという。

こちらのレポートでも述べられているように、
e-スクーターは、EV車より早くコモディティー化が進んでしまっている。

Wikiより

コモディティ化は、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、
消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差のない状態のことである。



まだコモデティー化なんて流れと無縁(?)なEV車と違い、
結構な数が、世に溢れかえってしまっているのだ。



また、seeking alphaの記事による指摘では、

電動二輪の需要に対し大手供給サイド(Yadeaなど)が製造能力を増強している
→Niuの売り代が減るのでは?

また、過剰な増強となってしまえば、価格競争を招く恐れがある

、と。



総じてe-scooterに関する所感は…

性能での差別化は結構難しいと思う。
価格競争も激しいと予想される。

市場の伸びも、EV車のほうがこれから伸びる。




【発想の転換】

裏を返せば、

そのメーカーにしか出せない
【スクーターの性能以外の強み】
をキッチリ持っていれば、
車体自体の性能は、他社に追随できる
とも考えている。

性能の差別化が難しいということは、
追いかけられる側にとっては苦しいが、
追う側にとっては、苦労が小さくて済むのでは?

(個人的所感)


そんなわけでNiu固有の強みと弱みを考えてみる。



② 強み1:データ収集と国際展開


Niuのスクーターは、最安値モデルでも走行データや車体のメンテナンス情報など、各種情報を収集していることを述べた。


クラウドECU、各スマート電動スクーター最大32個のセンサーを搭載
湿度、照明、温度などの72項目をカバーする462種類のデータポイントを収集

2019年12月31日時点、NIUアプリは約88万台のスマート電動スクーターに接続→約42億キロメートルの走行距離のデータ蓄積

引用:FORM 20-F


やはり、データが重要資産だと考える。

販売台数を伸ばしているので、
2019.12.31→2021.02.20 の約14ヶ月で、
走行距離にして
42億km→約77億km

と、データ量はほぼダブルバガーである。

画像20

引用:Niu ホームページ



端的に言って…
現代において「質の良いデータ」は、
私のような素人がビジネスの案をポコポコ思いつくほど、
利用価値が高い!と考えている。


勝手に考えたNiuの資産として、

世界各国の気候や生活様式における
・スクーターの使われ方
・スクーターの走行ログ
パーツ劣化スピードの国別差異

ほか

アプリでの車体診断機能
(ユーザーのクレームなどで判明するかも)
・自前のチップ搭載

などがある。

これは、データ収集と国際展開のシナジーがなければ生み出されない情報と言える。

これも妄想だが、一部を示す。


①スクーター性能や、パーツ強度を、各国に最適化する
(あるいは、そういった情報を、スクーターを手掛ける会社へ販売してマージンを得る)

※例えばリチウムイオンバッテリー
 …使用環境によって性能が結構変わってくる
→実装時のログデータは、電池開発や新車体への実装に需要アリ?



②スクーターの状態をモニタリングするデバイスを販売する

これなら、自社バイクに限らず搭載できるため膨大な販売数が見込める


③走行ログ解析結果に基づき、e-スクーターシェアリングの最適プランを提案

Niuのスクーターをシェアリングに採用してもらいやすい



といった活用法を思案している。


また、Niuはわざわざ車載チップモジュールを自前で用意しており、
EV二輪のスマート化でリードするという、
従来通りでの戦略でも分があると見た。

自前チップは、ここ最近流行ってきている。
私の考える利点は下記。

自社サービス向けに最適化できる
他社チップとは一線を画す独自の強みを持ったチップ開発
それに伴い、競合に対する技術的参入障壁の強化

eスクーターとはいえ、
ここは「コモデティー化」しにくい場所だと思う。

自前で育てているチップ、いわば「Niuの頭脳」は、競合を出し抜くための明確な強みと言えそう。

画像21

引用:FORM F-1



そして私は、

Niuはただのe-スクーター販売会社というよりも、

少なくともスマート二輪の世界的リーダー
行く行くは、
スクーターを使って集めたデータを生かしたハイテク企業
になりうるのではないか?

とみている。


というか、
ソリューション提案に関しては、
既に
Niu fleetとして事業展開している。

画像22

画像23

画像24


その甲斐もあってか、e-スクーターシェアなどの採用もどんどん進んでいる。

直近、LimeがNiuを採用した記事もある






例えば下記記事も、Niuのビッグデータ活用に着目している。


この記事で述べられているが、Niuは2020.12にAurora Mobileとスマートモビリティエクスペリエンスを提供する契約を締結した。

Aurora Mobileは、業界をリードするAI主導のプッシュ技術機能と機械学習ベースのインテリジェントな運用データ分析を活用して、NIUがユーザーのニーズに対するより包括的な洞察を得て、ユーザーエクスペリエンスを正確に調整できるようにするターゲットプッシュサービスをNIUに提供します。
彼らの特定の関心、そしてそのユーザーへの価値創造を最大化します。

引用:seeking alpha


先の記事は、「株価は少なくとも2倍になるかも」と述べているが、
現在株価は上記記事が執筆された時点からほぼ2倍である。

では織り込まれてしまったのか?

私はそう考えていない。

株価上昇は、販売台数の発表に反応したと考えている。


ゆえに、まだ現在価格から2倍のポテンシャルがあると考える。




② 強み2:自動運転の思惑


Niuは、自動運転も発表している。

画像25

実現すれば、世界初となる。

(しかし、先のデータ収集では自動運転には対して役立たない気もしており、
どうするつもりなのかは注視している


ここで再掲するが、
ここでも自前チップが強力な効果を発揮する可能性も見えてきた。

TESLAを彷彿とさせる。

画像26

引用:FORM F-1


ここでのTesla等に代表される自動運転との差別化として、

私の中では「先進都市」

高齢者
サクッとした買い物
学生
ビジネスマン

に対して強いのではないかとみている。


勝手なイメージだが、

・先進都市のこまごました区画分けのなかで、
小回りが利く車体と、Niuがデータログで育てた頭脳
を活用して、
渋滞を避けながら快適な経路を通ってくれるのでは?


・高齢者が使っている、シニアカーにとって代わるのでは?

・日々のサクッとした買い物に、安いロボタクシーが需要アリなのでは?

・学生はさすがに、Teslaとかに手が出ないだろう。
けど、自動運転で通学したい!カッコいい!
そんなニーズをロボタクシーより安く叶えるのでは?

・都市部では、安価な社用車の代わりになるのでは?

EV車より小回りの効く、安価で少人数向けの自動運転タクシーになるのでは?



など。

とにかく、
自動運転が庶民的になり得る試みだと思える


総じて、EV三輪の自動運転は、

テスラのような「ラグジュアリー」を纏った自動運転のコンセプトではなく、
「必要最低限」で、「安い」というニーズに対して訴えかけるコンセプトだと思える。




③ デザイン、ブランディング、スマートさ、に注力する戦略の意図とは

Niuが

デザイン
ブランディング
スマートさ

拘っている理由は、
学生、若者ウケ」にあるじゃないかと思う。


愛らしいデザインで、
スマートで、
インスタに投稿したくなる。
通学で見せびらかしたくなる。

そしてスマートなので、
メンテナンスの仕方がよくわからなくても、
アプリで診断してくれる。
というかアプリで色々見れるのカッコいい。

そんなEVスクーターを、
割とお手頃に提供する。

また売れる、インスタでどんどん投稿される。
そしてまた広まる。
Niuユーザーのコミュニティも広がる。



後述のインスタの投稿数からも、
若者人気、すごいのでは?と感じた。
他社よりも圧倒的に投稿されているように見える
(別のNiuも紛れてるかもだが)


Niuは「都市部」というテーマをしきりに強調するが、これともよく噛み合っていると思う。


都市部は、若者や学生がどんどん入ってくる。
特に学生は年単位でどんどん入れ替わっていく。
需要は割と恒久的。

そして、若者は経済的余力が小さく、
車を買うよりもスクーターのほうが買いやすい。

Niuからすると、都市部は、

毎年安定して優良顧客候補がなだれ込んでくる場所

、という見方ができそうだ。



画像27


定期的に、
若者が入れ替わりながらNiuのスクーターを買い、
データログをNiuに提供する。

Niuはデータをもとに都市交通をデザインする、
ソリューション展開するとともに、
アプリの車体診断能力を高めるなどして、
更なる信頼を得る。

そしてブランドイメージを高める
またNiuの人気が増す。

そんな妄想をしている。


Niuは、
デザイン・ブランディング戦略の重要性
を掲げている。

画像28


前編でも紹介したが、
各国向けにカスタマイズされたインスタアカウント
も保有
していた。

そこで、インスタグラムの投稿数による競合比較を行ったのが先のまとめ画像である。


#niu  の投稿数が群を抜いて多く、
次点のgogoroにダブルスコア。

(※niu はバイク以外も拾っている可能性あるかも。ラグビー写ってるし。
あとgogoroも随分投稿されている)

画像29


ブランディング戦略は堅調であるように見える。




⑤ 弱み:販売台数の規模感


競合分析に示したように、
既にYadeaという大物がいる。

Niuは、
売上は当然として、研究開発費だって劣位である。
そして販売台数も数倍差をつけられている。
販売台数YoY成長でも劣位だ。

ゆえに、
Yadeaが本気を出してイノベーションを起こすと、
その規模感と研究開発余力により、
Niuが霞んでしまう可能性がある。


何とか早いうちに、
データを活用した圧倒的強みを見せてほしい。






雑記: すごく妄想に近いビジョン


以下は、未来の価値を推し量る試み。

FANGMAN丸さんが仰っていて、
一度やってみたかった
「ジェダイ投資」の第二歩の試行。



個人的には、
Niuはそもそも製造業では無いと思う。

会社が仕切りに強調しているのは

「urban mobility」

というキーワードであり、
そういう肩書きで語られているように思う。

(※普通にスクーター製造会社、と書いている証券会社や基本情報もあるので、バイアスがかかっているかも)


下記に、Niuの肩書の例を示す。

そこに「scooter」の文字はない。
代わりに solution が入っている。

Niu Technologies (“NIU”, or “the Company”) (NASDAQ: NIU), the world’s leading provider of smart urban mobility solutions,

引用: CRWEWORLD


そもそも、
「scooter」や「motor」といった単語が、
企業名に入ってないよなー

とか、思ったり。

CEOも、情報通信の出身。

というわけで、
あくまでNiuが狙っているのは、

都市部の移動をスマートにするテクノロジー

であって、

これを実現するために都合が良かったのが
e-scooterだった、

それだけじゃないかと思うところも。


2018年の、FORM F-1 を示す。

ミッションとビジョンには、
scooterなど書かれていない。

アーバンモビリティーにより、生活をより良くする

としか書かれていない。

画像30


これもまた、
EVスクーターの性能自体に目を向けなかった理由。

「どんなスクーターを作っているか」

ではなく、

スクーターを遊ばせて
どんなデータをとって
どう使って、ソリューションを提案するか?

に、私は関心がある。



まとめると、Niuは

ラグジュアリー感
洗練されたデザイン
スマート機能

という、

都会ウケするテーマ
若者ウケするテーマ
かつ
e-scooterにしては目新しいスマートさ

という路線を上手く使って、
都市部の若者の心をくすぐり、
コモデティー化した市場のシェアを切り開いた。


そして、「都市部走行型データロガー」を、
世界の都市圏にばら蒔いている。

画像31

今や走行距離は77億km

テスラは地球60万周の自動運転データを持っていると言われているが、
ニウも地球20万周弱の走行ログデータを持っている
(自動運転ではない。)

ここで興味深いのは、
Niuのデータは
ほぼ全部「都市部」の走行データである、
と思われる点。

スクーターは航続距離が短いから、
都市圏から抜ける力が弱い。
そもそも遠距離移動の手段としては不向きだ。

これは逆に、
都市部の車道走行データを集めたい場合には、
大きなメリットになる。

航続距離の制約が、
勝手にログ取得範囲をスクリーニングしてくれる。

テスラ グーグル バイドゥなど、
大型テックがひしめく「走行ログ収集」の世界で
競争するにあたって、


Niuは
都市部のラストマイルをデザインするためのデータに特化した抽出をしているのではないだろうか。

集めた情報で、
高付加価値なアーバンモビリティーのソリューション
を提供することが主体の、
ハイテク企業に変身するのでは?

というのが私の見方と言える。


もしかすると、
これから都市部が形成される新興国で、
快適な交通を実現するための都市デザインを担う、
そんなことすらあるかもしれない。


ゆえにどうしても「売上高」というよりは
販売台数(データロガー数)」を増やして欲しい。

ついでにまだ赤字でも良く、
研究開発にお金を費やしてほしい!
という気持ちも若干。



IPOのタイミングと題材も面白いと思う。

なんと言ったって昨今、
「EV」は先進イメージが強い。
EVを手掛けている、
それだけで、投資家が注目する相場にある。
さぞ資金が集まりやすかったのでは?


ついでに、
e-scooterは参入障壁がEV車以上に低く、
その割に市場の成長率は良い部類だと思っている。

スタートアップした中国も、
世界的に販売台数の多いマーケットであり、
開始地点として適格と思う。

とにかく、

①【都市部モビリティのソリューション
②【eスクーターという題材】
③【大量のデータ点収集
④【洗練された車体デザイン
⑤【スマートな機能
⑥【インスタ等活用のブランディング戦略

というのは、
それぞれが互いにポジティブな効果をもたらしていると考えられる。

その相乗効果が顕在化したとき、
株価上昇にもたらす影響は絶大だと考えている。

そのバリュエーションはパッと測れるものではなく、現時点での私には計り知れない。
(今後、時間をかけてやる予定。)

この、私が勝手に考える「利益の蕾」が最大限開花したとき、Niuはテンバガーでは済まないと思っている。

ゆえに私はNiuに中長期的に強気であり、
このシナリオをビートしてくれるかに着目したい。



以上となります。
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