「俺の前立腺、癌やったわ」 ①
「血、見ても大丈夫ですか?」
医師に聞かれた。目の前にはステンレス製であろうか銀色の箱。中には、
全摘出された前立腺が入っている。
そこにそれがあるということを想像するだけで辛いのに、直視など出来るはずがない。
わたしは少し離れたところで術後の医師に説明をきいた。
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夫が職場の検診による腫瘍マーカーでPSAが基準値を超え、2020年10月末、生検のために1日入院をした。その時のわたしは、「検査入院」か、くらいの軽い気持ちだった。
結果は2〜3週間ほどかかるのだが、
その間、悪い方の結果など微塵も想像していなかった。
診断結果の日、結果を聞いて帰った夫は普段通りだった。
表情から察するに、「やっぱり、
なんでもなかったんや」と勝手に
思い込んだ。
カバンをおろし、手洗いのために洗面所へ向かう途中で、夫がつぶやく。
いつもみたく、世間話でもするかのように
「俺の前立腺、」
「癌やったわ。」
と言った。
「はぁ?!」
理解するのに3秒かかった。
To be continued
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