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【惰話】バイエルンを逃し、色々考える(た)

ジブファラーも新品になり、そりゃあ軽くなりました。
今まで重いなんて感じた事はありませんでしたが、今はカラカラと空回りしてるようなイメージの軽さ。
ファーリングラインのロックを外してジブシートをちょっと引くと、カラカラとジブセイルが全て展開されてしまうくらい軽いです。
イメージ的には…

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そう、Dr.モスク・ハン(あの人、THE ORIGIN版とアニメ版で別人よね)によって関節にマグネット・コーティングを施し、摩擦が究極的にゼロに近づいたガンダム並みですわ(わかりにくいと言う方はスルーで)。

そんなわけで、マリーナに来まして久しぶりの出船予定でした。
今日は20年ぶりに、ドイツ連邦海軍の艦が日本に寄港する日なんですよね。

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ブランデンブルク級フリゲートの3番艦「バイエルン」が東京湾に向かっています。
実はこのバイエルン、22〜3年前にドイツのヴィルヘルムスハーフェンと言う港で仕事の関係で見学させてもらった事がありまして、その時にお土産で貰ったドイツ海軍軍艦旗が手元にあったものですから、航路ギリギリで私的ホストシップをウチのヨットが務めて(ちなみに本物のホストシップは「さみだれ」です)、そのドイツ海軍軍艦旗でも振って歓待しようと言うハラなんですわ。

と言うわけで、久しぶりの出船ですから一度船台の上でエンジンをクランクしてみます。
ピー、カチッ
あれ?電圧不足?
いやいや、ソーラーで維持充電程度には保持されてるはず。
実際電圧計を見ても12ボルト台はキープしています。
まだ時間もあるし、念のため…

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急速充電モードにして、無理矢理バッテリーに電気を突っ込んでみます。

しかし、電圧は14V近くになりましたがセルモーターはカチッと言うだけ。
これは… エンゲージマグネティックスイッチか、モーターの中のブラシがダメ?(どちらも思い当たるフシがあります)

前のヨットでは2GMをコンパニオンウェイの中に余裕を持って置かれていたので…

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あぁ懐かしき、前のヨットの2GM。25年物なのに今のエンジンよりずっと綺麗だわ。
ジェネレーターを外した状態ですが、このエンゲージマグネティックスイッチの端子にドライバーとかを突っ込んで短絡させてやれば、火こそ出ますが電気は直接セルモーターになだれ込んで、マグネティックスイッチが壊れててもエンジンはクランクされました。

今の狭いスペースに突っ込まれた2YMはねぇ、ちょっとそう言う荒技を行える余裕(スペース)がありませんわ。端的にいうと手がセルモーターまで届かない。

結局、ふんだんな電力の下で何度スターターを回そうとするも、耳に入るのはリレーのカチカチ音だけ。
時にバイエルンは…

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もう見えるところまで来てるじゃん!
この時点でヨットは放置して

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浦賀水道に入ろうかと言うところで写真を撮り…

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浦賀水道に入り真前に来ても、指を咥えるとはこの事。
なす術も無く、ただただ見ただけですわ。

Willkommen in Japan! Tokio!

この後は夕刻に用事もあったので失意のうちに家に帰ったのですが、バイエルンの係留場所はお台場の東京国際クルーズターミナル。 家から近い事もあって、

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現地で配られていた旗を振ったり…

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ゴミリレー(ゴミ出し)見たり、

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仕事で少し関わった艦載機のSea Lynx Mk.88を懐かしんだりしました。
しかし、日独親善はいいんですが、それよりヨットのエンジン問題。

実は今回予定していた出船は、私的ホストシップと言う側面以上に(というか、そんな側面ないわ!)、来週には17マイル先(つまり4時間強くらい?)の木更津マリーナに回航する予定でして、その直前の機関テスト的な意味合いがありました。ベルトが切れて掛け替えた直後ですからね。

なぜ回航するのかと言うと、今積んでるエンジンの信頼性が低くて安心出来ない、大きな整備をしてやって、多少は信頼性を上げようという計画でした。

前のオーナーはこのヨットを購入したきり家の事情でマストを起こすことも無く、ずっとマリーナの船台の上に於いていただけ。
しかし更にその前のオーナーの時にウォーターロックを越えてエンジン内部に海水が入り、シリンダーヘッド内部やピストン(おそらくコンロッド等も)が錆だらけになり、結局シリンダーを0.2mm程ボーリングするも、傷を取ることは出来ず、スリーブをインサートして焼き直しをしたという記録があります。
この部分については、まぁそれなりに直っているんでしょう。
ただね、異常に錆が出るんですよ、鉄の部分やエンジンの塗装された部分に。
ちょっと年式に不釣り合いな錆の出かたなので、工場のある木更津マリーナに持っていって、そこでエンジンを下ろして大掛かりな整備(錆取りは当然、ボルトとかスクリューの全交換とか、再塗装とか、錆びついたエンジンマウント交換とか)をしようと目論んでいました。
なので事前に木更津マリーナに行き、担当のメカニックさんと打ち合わせをしたり、

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杭とかあってややこしそうなので、入港のレクチャーを受けたりしていました。

電装系で言えば各コネクタ類も錆が怪しいですし、そもそも今回ジェネレーターのベルトが切れたのも、ベルトを掛ける時にわかったのですが、ジェネレーターの回りが相当に渋い。

切れた原因はやはりジェネレーターの回転部の摺動面にあるのでは?
それならセルモーターの内部やエンゲージマグネティックスイッチも近々に怪しくなるぞ?と思っていた矢先の不動です。

こんな感じで、モグラ叩きのように不具合→修理→不具合→修理の繰り返しをしていくなら、今後ヨットの稼働率はどんどん落ちるばかり。

大がかりな整備をしても、新品のエンジンとはやはり違います。

狭い機関室に押し込まれた2YMのエンジンは、前のヨットの達のように、エンジンのどこにでも手を伸ばせばアクセスできるような状況ではなく、セルモーターにアクセスするのも相当な苦労です。

家で何の気なしに新品のエンジンの値段を調べてみましたら…

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80万円くらいで売ってましたわ。
ん-ー、今回の重整備はまだ全容がわからないので費用が出ていませんが、仮に30万円かかるとしますよ?
新品のエンジンとの差額は50万円。
今のエンジンを、もし30万円(←相当高い見積)で売れたとしたら、(仮定の)実質整備費用+20万円で新品のエンジンになるって事だよね?

ん-ーー、重整備をしたエンジン+20万円で新品のエンジンになるのなら、そっちのほうがお得じゃない?

これから係留場所を変えることはあっても、私がヨットを今後買い替える事はないと思うんですわ(友人とシェアで大型ヨットを追加する計画は若干あり)。
それならですよ?あと20年乗るとして、毎年1万円余分に払えばエンジンは安心の新品になるなら?とか考えてしまいます。

当然机上の空論ですけどね、そもそも中古で売買される2YMエンジンの価格なんか知らないし。

そもそも、もう少し小さいエンジンは無いのか… 1YM8みたいな単気筒モデル(リコイルスターターとか手回しフライホイールみたいので手掛けできるやつ)をヤンマーさん作ってくれぇ。

とにかく、どちらにせよスターターを復活させないとどうにもならないので、翌日は夜も明けぬうちからマリーナに行き…

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下ろしたフェンダーが、前日の「出航するぞ!」感が出てて悲しいですが、そんな悲しみも忘れてスターター修理です。

続く…