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【タコメーターが動かない01】入浴剤を汲む原因究明

タコピーピー問題とオートパイロットの死を思うからの続き

前回海に出た時にオートパイロットが動かなくなり、そしてタコメーターも…
どちらも電気で動くデバイスという事で、根本的な電装系に問題が?と思っていました。
しかし、こちらの原因はオートパイロットのプラグがおかしくなっていただけ(前の記事で書いた通り)。

つまり、タコメーターが動かないのとオートパイロットが動かないのは、タイミングは同じでも全く別の話だったと。
風が吹いても桶屋は儲からないし、ブラジルで1匹の蝶の羽ばたいてもテキサスで竜巻を引き起こさなないという事ですな。
いや、違うか。かなり違った。

偶然が二つ重なったら間違いなく人為的なもので偶然ではない… と、陸軍中野学校で教えられましたが(嘘)、なにせ戦時中の古い話、やっぱり2つの故障が同時に起きてもそれは人為的な物ではなく、偶然同じタイミングでの故障でしたわ。

実際にね、飛行機のシミュレーター訓練なんかの時に下の左の写真の席に座るおっかない人が…

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(左:色々難問をふっかけてくる教官席 右:世界一運動不足になる職場)

「目的地空港は事故で閉鎖」→「L2ドアオープン、デコンプレッション」→「VHF、KUバンドラジオ不調」→「残燃料5,000ポンドでダイバート先まで120マイル」

みたいに、トラブルが何重にも重なって起こしてくるわけですよ。
なんならそれから、着陸時に大雨で視程0.5マイルになって、しかもワイパーがぶっ壊れたりとか、片方のエンジン止めたりされますからね。
「いやいや!偶然にしても空港が閉鎖され、ドアがぶっ壊れて与圧が効かない中、無線も壊れて、代替空港まで燃料ギリギリなのに低空を飛ばなきゃいけない状況で、着陸してたらワイパーが壊れるなんてないわ!」
と思いつつも、それは仕事ですから対処するわけですが、現実の世界で本当に同じタイミングで別々の機器が不具合ってあるものですなぁ…と感心しきり(よく考えたら、殆どの人にはわかりにくい例えですみませんです)。

さてさて、前置きはいいとして、早速エンジンを回してみます。
うん、エンジンは軽やかに回りますが、やっぱりタコメーターは動きません。
良かった(良くないけど)、無事(?)に壊れててくれてました。
電気が関係するだけにこれで直っていたら最悪です、故障箇所の特定が難しくなりますし、それで見つからなければ、今度はいつ故障する?と、延々と疑心暗鬼が続いてしまいます。

引き続き壊れている事を確認しましたので、まずは

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タコメーターを正常に稼働させるために必要なコネクターから見てみましょう。

ウチのヨットはエンジンを見るのにエンジンルームのフタ(兼コクピットの床)を外さないといけませんんので、ボルト4本を抜いてフタ(床)を外し、そしてエンジンルームのライトを点けますと…

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んんん?

スケッグ裏になる部分、つまりエンジンルームの一番低くなった場所に緑色の液体が…
「あれ?バスクリン入れたっけ?」
入れてませんし、これからも入れません。
そもそも我が家の入浴剤はクナイプのスプルースなので、色が違います。
と言うことは…
「なぜスライム(←ツクダが昔売ってた玩具)がこんな場所に?」
いやいや!スライムと同じなのは色だけだから!
これは明らかにクーラントですやん。

見ていてもどうしようもありませんので汲み出しますよ。

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エアクリーナーを外し(←じゃないと隙間が狭くてタンクが入らない)、5リッターのタンクと最新式のハンディビルジポンプ(480円で売ってた灯油ポンプとも呼ばれる)を突っ込んでスイッチオン。

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ジュルジュルと汲まれる液体のその色は、まさしくクーラント。
エンジンルームからタンクを引っ張り上げて…

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えぇ… こんなにたくさん…

その量は、測ったようにぴったり5リットル。
舐めてみますと多少潮っぽい感じもしつつ、全体の味はほんのり甘い… ほぼほぼクーラントと水ですね。
海原雄山のように「女将っ、板前が変わったな?くぐらせ昆布の技法を…」みたいな微妙な味の違いは分かりませんので、それ以上のプロファイルは無理ですが。

しかし5リットルと言うと結構な量です。
そもそもクーラントって、エンジの中とリザーバータンクの中に合計どれくらい入ってるんだ??
キャビンのタブレットの電源を久しぶりに入れて、エンジンのサービスマニュアルを開き、ページをぱらぱらと…

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ん?エンジン側に3リットル、リザーバータンクに800cc、合計3.8リットル。
しかし、さっき汲み上げたビルジが5リットル。
これは、延々とクーラントを製造する永久機関を間違えて作っちゃった?なんて事は無く、雨水なのか海水なのか(しょっぱく無かったので海水は殆ど無いかと)がクーラントと混じった液体なんでしょう。

どのくらいクーラントが漏れ出たのか?
クーラントのフィラーキャップを開けてみますと…

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液面はすぐそこに。
うーん、リザーバータンクは?というと

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左が3月の写真、右が今の写真。
これが800ccのタンクだから、多めに見ても減ったの200ccくらいですよね?
うーん… ちょっとだけ。

これだけだと判断がつかないし、やっぱりエンジンを回してみない事には漏れを発見するには難しいと思います。
とは言っても、今の時間はまだ朝の7時過ぎ。
この時間で地上でエンジンを動かすのはまだちょっと迷惑だし、しばらく待つ事にします。
とりあえずクーラントのドレインバルブなどの、漏れそうな場所をチェックする事にしますよ… と、あれ?

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よく見ると、なんかエンジンが妙に粉っぽく汚れてるし、それ以前にベルトカバーからオルタネーターのVベルトが見えてる!!??
普段と比べてみると…

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ああ、これは… と、予想をしつつベルトカバーを外すと…

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オルタネーターベルトが切れてました。
そしてプーリーによって削られたベルトの粉がびっちりと…

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「またつまらぬ物を斬られてしまった」
つまりオルタネーターが回って無かったという事ですよね?
2YM15(←ウチのエンジン)のタコメーターは

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サービスマニュアルにも書かれていますが、オルタネーターからの信号で回転数を表示しているわけで、オルタネーターが回って無ければタコメーターは当然ゼロ表示、もちろんバッテリーに充電なんてされません…

あれ?結局物理的故障だっただけ?

もう一回今回の故障騒動を振り返ると、

オートパイロットがダメに
→どこかの電気系統に異常?

↑↓同じ電気系統という事で関係あるはず

タコメーターの表示がゼロに(チャージアラーム鳴)
→やっぱりどこかの電気系統が異常だわ!

と思っていたのですが、実際は

オートパイロットがダメに
→オートパイロットのケーブル末端のプラグ不良だった

↑↓偶然同じタイミングでおこっただけ

タコメーターの表示がゼロに(チャージアラーム鳴)
→Vベルト切れでオルタネーターが回って無かっただけ

という顛末になりますよね。
まだベルトを掛け替えてませんので断定は出来ませんが、タコメーターが動かないのは、そりゃあほぼベルトが原因でしょうな…

まずは、

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ベルトがプーリーで削られて出た粉がすごいので、せっせと掃除して、

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中が真っ黒だったベルトカバーも綺麗に水洗いしまして、ここで作業中断。
エンジン本体も水洗い出来れば、これくらい綺麗になるのに。

ざっくりの掃除が終わって、朝の炭水化物補給。

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金華サバのおにぎりを食べつつ、今後の作業方式を考えます。

・オートパイロット
プラグを買ってきて、今度付け直す(気分はもう修理完了)。

・オルタネーターベルト
予備のベルトは積んでいるので直すのは簡単。
しかし、直してしまうと手の届き難い所も増えるはず。まずはクーラントの漏れ出た場所の特定では?

・クーラント漏れ
まずはこれを探さないと、怖くてエンジンを回せない。

うむむむ、まずは漏れ探しかな…

続く。