【風向風速計取付編4】素材と設計と絶縁と現物
風向風速計取付編3はこちら
暑くなりました。
いや、元々暑かったけど、東京ではこれを書いている時点で8日連続の猛暑日で、おそらく9日連続になるのも必須。
エアコンの無いキャビンなんかで作業したら死んじゃうよ!
そんな中でも、風向風速計の取り付けに必要な作業は着々と進めておりまして、今週は主にマストトップの電触防止について考えておりました。
元々付いていたマスト灯のブラケットはステンレス製で、ボルトもステンレス。
アルミのマストから外してみると、
(おそらく)艤装されてから10数年の間にこんな事になっておりまして、こんな時だけ複合材料や木製のマストが羨ましかったり、そうでもなかったり。
とにかくウチと同型のヨットは、ラダーピポットと(ガフ側の)グースネックが電触の餌食となっている様子を見聞きするのですが、ブルータス… いや、マストトップよ、お前もか…ですわ。
上の写真は、知人のヨットの物。
Haber 660 Sloopの兄貴分艇であるHaber 800 Sloopで、他人事ではありません。ウチのヨットとこのヨット、ピポット周りの部品は共通なんですけど、思いっきりやられちゃってるじゃないですか。
シャフト部と下側は樹脂製のワッシャーとスリーブによって絶縁されていますが、上部のナット、ワッシャーはステンレス製で、ピポットパーツはアルミ製ですから、それでやられたんですなぁ。
海外の同型艇の写真に目をやると、上にも樹脂製のワッシャーが噛ませてありますが、なぜか日本国内の同型艇は無い物しか見た事無いような。
やっぱり日本で組まれた時に間違… いやいや、根拠の無い事を言うのはやめておきましょう。
幸い(?)な事に、ウチのヨットは別件でこの辺のパーツ周りを
ごっそり新品に入れ替えてまして、対策済みです。
大怪我の功名ですな。
話が電触からラダーピポットへと逸れてしまいましたが、舵を切り直して(←ラダーだけに)、風向風速計へ。
今回は風向風速計を取り付けるにあたって、マストトップの電触が進むのは食い止めたい。
そこで、マストトップと既存のマスト灯の間に風向風速計用のブラケットを作るわけですが、いっそカーボン(とかFRPとかのコンポジット系)で作れば電触問題は一気に解決… と一瞬頭をよぎりました。
しかし台風とかで何かが飛んできた時に、衝撃に弱い部分へ何故かピンポイントでヒットされるのが私のよくあるパターンじゃないですか?
そんな不運体質な私の事、ここはやはり金属で作る方が賢明か。
金属なら割れる前に曲がって耐えてくれるからね。
というわけで考えたのが、樹脂で絶縁大作戦。
アルミのマストトップと、ステンレスのブラケットの間にPTFEシートを挟み込んでやって、それをアルミのボルトとワッシャー、ナットの間にPTFEのワッシャー、そしてPTFEのチューブをカットした物を組み合わせれば、水に濡れていない限りは大丈夫なんじゃない?
どうかなー?なんて思いつつ、不安だったのでSNSでお知恵を拝借すると「電飾防止ボルト使えばいいと思うけど?」と言うご意見が。
え?そんなボルトがあるのか?と教えられたページを見ると、なんと驚く事に、PTFEや鉱物系の素材をワッシャーやスリーブとして使った、さっき考えたのと同じ仕組みの物が、世に製品として存在しているじゃ無いですか!
なんだ!これでよかったのか!と安心。
ではこれを活用して、イメージ的には…
こう言う感じにしますよー!
ざっくりの図面を…
書いて…
あんな感じやこんな感じで…
ドーン!完成!(製作の仔細は省略)
SUS304(海事用なら316がいい)製のいぶし銀(ピッカピカだけど)の渋いブラケットになりました。
よし!では早速マリーナに行って… と思っていましたが、台風が接近しております。
関東に来る来週の木曜日頃には低気圧になっているでしょうが、それでもそこそこの風が吹くかもしれません。
明日取り付けをして、来週早々に強風で… なんて事は嫌です。
今はマストを倒した状態なので、取り付けは来週末に延期する事に。
風向風速計取付編5へ続く