見出し画像

《変換 -Palette Converter-》

※本記事は、「BEASTBIND 25th Advent Calendar」 9/7分の記事です。
「BEASTBIND 25th Advent Calendar」については、以下のリンクをご参照ください。



序/プレイヤーのセッション準備にかかる時間

 オンラインセッションを快適に遊ぶ際、ツールにもよりますが「キャラクター駒の準備」は結構なファクターを占めるものだと思います。オフラインで卓囲んで遊ぶ場合、ダイスを振ってキャラクターシートに立ち戻って計算して……という手順で計算しますが、オンラインセッションでは合計達成値を全員がダイス振るたびに毎回コールしていてはテンポが間延びしてしまうのも事実。
 現行のオンラインセッションツールは、「チャットパレット」という、発言用のプリセットを用意・保存しておける機能が「どどんとふ」から継承されています。これを活用することで、セッション中の待ち時間を短縮できます。

 しかしこのチャットパレット、慣れていても結構作成に手間がかかります。過去に作成した初期作成のキャラクターシート(※《魔獣化》中に能力値が変わらないもの)から、倉坂が「待ち時間の短縮に資する」レベルでチャットパレット用テキストを書き起こし、ココフォリア上でキャラクター駒作成するまで、概ね10分ほどの時間がかかりました

チャットパレットの内容としては以下の通り。全部で31行。
▼各種【基本能力値】【戦闘能力値】での判定用のテキスト(全9行)
▼アーツで固有の修正がかかるタイプの判定(今回は《異能:ボーダーディゾルヴ》LV1)
▼各アーツ、アイテムのうち使用に宣言が必要なタイプのタイミング・名称・コスト・要約した効果(全12行)
▼基本的なダメージロール式(今回は通常攻撃、魔獣化中通常攻撃、アーツ全盛りの3行作成)
▼各種【基本能力値】【戦闘能力値】を予約語としてチャットパレット内に記入(全9行)

駒データは以下の情報のみ入力。
▼【FP】、人間性、愛、罪、財産点のデータをステータスとして登録
▼消耗品の所持数をメモ欄に記入(今回は「治癒薬」×2のみ)
それ以外の駒データについては未着手。例えば、「絆・エゴに関する情報」は駒側に未記入です。もっとも、ココフォリアの駒についているメモ欄は、この手の長文を管理するにあたって操作しやすいとは言い難いですが……。

 まあ10分なら……と思わなくもないですが、高経験点帯になると、アーツの数がどんどん盛られてかかる時間が増えます。
 スムーズに遊ぶなら、【能力値】の変動があるキャラクターは、変更に合わせたチャットパレットをあらかじめ用意しておかないと、判定ごとにいちいち修正値の入力が必要になり面倒です。
 ユドナリウム系のツールで細かく駒を作っていると、さらに時間がかかることも考えられます。そもそも10分程度で組めるのは私がダイスボット周りの仕様に慣れているからという説もあります

 そこで、ついに面倒くさくなった倉坂が、このあたりの駒データを1分以内で組めるツールを組み、ブラッシュアップを昨年ぐらいまで続けていました。それこそが、こちらの変換くみかえるもの -Palette Converter-》です。


変換(くみかえるもの)

本ツールの主な機能は主にふたつあります。

キャラクターシートのデータをチャットパレット用に自動変換

 「ビーストバインドトリニティ キャラクター登録所」で作成したキャラクターシートのURLを入力することで、そのキャラクターのデータからチャットパレット用のテキストを出力できます。
 また、通常の書き方ではありませんが、キャラクターシート側の入力を調整することで、データを調整した状態で引用することもできます。これについてはツール側のマニュアルをお読みください。
 「判定に常時修正がかかるデータを持つキャラクター」向けの入力欄もあるため、「魔剣」や「御伽話の住人」のキャラクターを作る際もしっかりと設定をすれば細かに判定用のチャットパレットを作成できるでしょう。さすがに、《生得武器》はキャラクター作成者側で頑張っていただくほかありませんが……。

面食らう表形式ですが、補正をかけられる判定がかなり多岐にわたるBBTでは、こういう形にせざるを得ないかな、と思っております…。

オンラインセッションツール用の駒データの出力とダウンロード

 「ココフォリア」「ユドナリウム系ツール」では、駒データを出力・ダウンロード可能です。この時、各ツールごとの固有の機能にフィットするようなデータを出力するようにしています。


駒出力機能:ココフォリア

  • ココフォリア用Clipboard APIに準拠したテキストデータを出力し、テキストデータを「コピー」「貼り付け」するだけでキャラクター駒を作成できます。(立ち絵などは部屋上で編集してください)

  • チャット欄のキャラクター名の文字色をあらかじめ指定可能です。

  • 「ステータス」と「パラメータ」に情報をあらかじめ登録できます。《罪の悦楽》等でセッション中に上昇する【能力値】がある場合、ステータスに登録しておくと、セッション中にリソース操作コマンドで能力値変更ができるようになり処理が楽です。

「変換」列のボタン(「>」「<」)を押すと、「ステータス」と「パラメータ」の登録を切り替えられます。ココフォリアの仕様上「ステータス」側には数値データしか登録できないことにはご注意ください。
  • スマートフォン等の画面幅の狭いツールであっても、一応の操作自体は可能にしてあります。


駒出力機能:ユドナリウム系共通

 ユドナリウム系ツールは派生ごとの独自機能にフィットするようなテキストデータや駒データを打ち出すことが多いのですが、共通する事項については以下の通りです。

  • キャラクター駒用のデータをzipファイルでダウンロードできます。駒画像はキャラクターシートに保存されているものがそのまま使われるので、必要に応じて現地で編集してください。

  • 絆・エゴに関する情報をステータスとして登録します。

  • インベントリでの並べ替え用に、【行動値】とは別の項目(初期設定名は「Init」)を出力しています。適宜ご利用ください。


駒出力機能:ユドナリウムリリィ

  • 一部アーツ・アイテムをルビ記法に対応した形で出力可能。

  • 「アーツ宣言用のテキスト」について、リソース操作コマンドに準拠した書き方でコストを記載する機能があります。このため、アーツの使用宣言と同時にコスト支払いができます。(通常のテキストとしても出力できます。)

「ユドナリウムリリィ」のリソース操作コマンドは1メッセージで複数のリソースを操作できるため、《内なる獣》でコピーしたアーツにもすぐに対応ができます。
  • 「バフパレット」機能と連動して、各種バッドステータスの情報を最初から入れ込んでおくことが可能です。

  • チャットパレットのインデックス機能にも対応しています。

  • チャットパレット用の文字色を3色ともあらかじめ指定できます。

  • 表形式での絆・エゴ表出力もできますが、編集がかなりやりにくく注意は必要です。


駒出力機能:Udonarium with Fly

  • 一部アーツ・アイテムをルビ記法に対応した形で出力可能。

  • アーツやアイテムの名称を鉤括弧で囲むことで、「吹き出しつきの発言」に対応させることができます。

withFlyではチャット送信内容のうち「 」で囲んだ部分がこのようにフキダシで表示されます。
SFC時代の「Romancing Sa Ga」シリーズみたいな戦闘風景にすることもできるかも。

駒出力機能:ユドナイト

  • Udonarium with Flyと同様の設定がすべて使えます。(ユドナイトの場合、特に2D版は吹き出しは駒ではなく立ち絵から出ます)

  • ユドナイトの駒には「非常に広いメモ欄」がひとつついてくるため、こちらに絆・エゴの一覧を転記することもできるようにしています。

  • 備考欄に使用回数の記載があるアーツ・アイテムを備考欄の記載から集計し、「リソースの管理」機能に登録した状態で駒の出力が可能です。
    BBT用に、ラウンド/シーン/シナリオの使用制限回数ごとにまとめて出力します。

「リソース管理」は、キャラクター駒にアイテムや呪文などの残り回数を紐づけられる、「ユドナイト」固有の機能です。画像は《変換 -Palette Converter-》側の設定画面。キャラクターシートからデータを抽出し、このように使用回数制限ごとに振り分けます。
チャット欄からリソースの項目をダブルクリックするだけで使用宣言と残数-1の処理をまとめて行うことができます。また、リソースのページごとに一括して回数リセットもできるため、使用回数制限の期間が違うデータはページを分けて出力します。

終わりに

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
 オンラインセッション当日の快適さは、事前準備が物を言う……というのが私自身の持論です。
 事前準備の労力を伴う作業をある程度自動化し、キャラクター設定の練りこみやロールプレイのプランニング、あるいは当日の家事などに時間を割り当てられれば、プレイヤーにかかる負担を減らせないだろうか、という部分が出発点のひとつになったツールでもあります。それに、シナリオの用意以外の面で、万が一「準備がめんどくさいからこのシステムで遊ぶのは敬遠してしまう」なんてことが起きたら、あまりにも悲しいし……。

 そんなこんなで、今回はダイスボットと組み合わせてセッション準備時間を短縮するためのPL用サポートツール、《変換 -Palette Converter-》をご紹介しました。
 プレイヤーに対してサポートがある以上、「GM側にもサポートがあって然るべきだ」との思いもあります。倉坂にとっては「シナリオ作成メモ」だったりTALTOやBOOTHで公開したシナリオだったり「Enemy Editor」という別のツールだったり……。
 今後再び動き出す時には、何かまた新しいものを作りたいものです。


本記事は、「F.E.A.R.」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ビーストバインド トリニティ』の二次創作物です。(c)井上純一、重信康/F.E.A.R.


いいなと思ったら応援しよう!