BBT電脳魔宴/準備レポート
■R2/8/4:追記を行いました
・Discord BOTの部分に追記
・自動ツイート関連のお話に一応の追記
■R2/6/30:ハッシュタグ周りの記載をちょっと修正。
■BBT『電脳魔宴』
6月14日、「ビーストバインド トリニティ」のオンラインセッションイベントを開催いたしました。
ノウハウなどは先駆者の方々(神姫様、ソエジマ様)が公開されているnote等も参考にしましたが、弊イベントにおける扱いや準備段階で行った内容についていくらか書き記し、後続の方々にとってもしかしたら役に立つかもしれない一資料として公開します。
なお、倉坂はそのTRPG遍歴上、コンベンションの経験は一切ありません。
学生時代にTCGの非公認大会開催に3年ほど関わっており、卓上ゲーム関係のイベント運営に関しては、そちらの経験で得たものを参考にした部分が大きいです。
■経緯
ビーストバインド トリニティ(以下BBT)は、今年で基本ルールブック初刷から10周年となるTRPGシステムです。サプリメントとしての展開は2015年、公式リプレイとしても2016年で展開は止まっているのですが、この5年間、ゲーマーズフィールド上では新データの追加が毎号行われており、未だに拡張され続けているシステムです。
実際のところ、年初時点では(倉坂は九州の端も端に住んでいるので、距離のハンデが尋常ではありませんが)「池袋で施設を探してコンベンションを行う」という企画を考えていました。しかし、今年が東京オリンピック開催年であることを考えると、現実味はなさそうだな……とも考えていました。結局COVID-19のせいでそれどころじゃなくなったんですが。
その上で先駆者の方々が立て続けにnoteでノウハウ等の公開をなされていたため、ならばオンラインセッションであれば開催・参加にあたってのハードルは低かろう、ということで決心し、Twitter上でアンケートを実施。
積極的興味としてよさそうな「とても興味がある」の回答が半数以上を占めることを確認した上で、準備を始めました。もっとも、「興味ない」という選択肢を設けなかったので、バイアスはあったかもしれません。
(アンケート投稿直前まで第4の選択肢は「コンベンションという形式に興味はない」でしたが、そこまでネガティブな意見を吸い上げる意義も微妙だったので、この選択肢を取り下げています)
■企画のコンセプト
▼「単一システムのオンセイベント」として、BBTを取り扱う
▼実際のところ、10周年である9月に開催する第2回イベントのほうが本命であり、第1回は規模や運営にあたってのテストケースという位置づけ
▼「公募卓をとりまとめ、コミュニティ横断的にプレイヤーを集める」という、“タイミングを合わせた卓募集”のイメージに、イベントという骨組みを足した運営を行う
▼「BBT」という共通の話題によってコミュニティ横断的な交流を図る
▼「参加費無料」を前提とする。その分、金銭的コストを抑える
▼動かし始めた後、自分自身の負担が大きくならない形式にすること
倉坂はTRPGコンベンションへの参加経験がないため、「コンベンション」という言葉はあえてイベント告知上は使いませんでした。これは、イベントの運用を『Twitter上での公募卓をとりまとめてプレイヤー募集を行う』というイメージに近づけていたからです。
もっとも、参加者の方々からは単純にコンベンションと捉えられていたようですので、当日は「コンベンション」の語を用いています。
■BBT特有と思われる特殊な事情
BBTは特にインターネット上では「検索性」という問題を抱えています。この「BBT」という略称そのものが、現実に他の組織や用語で既に使われている用語のため、単純に「BBT」でTwitter検索を行っても、「ビーストバインドトリニティ」のことを調べるのは困難なのです。BBT大学(ビジネス・ブレークスルー大学。実在する通信制大学)は言わずもがな、「ブレイブルー クロスタッグバトル」は # BBTAG のハッシュタグが公式であり、何かしら別の方法での検索が必要になります。さらに富山テレビ放送やらインスリン療法やら「BBT」が略称になるものがちらほら。
ハッシュタグとしては重信先生がtweetを行う時は「# TRPG_BBT」が使用されており、おそらくFEARとしての公式ハッシュタグはこれなんですが、ユーザー側での使用はごく一部に留まっており、また重信先生が最近はGF誌の紹介をされていないことから、ユーザー側がこのハッシュタグの存在を知る機会自体少ないというのが実情なのかなと。(小太刀先生が紹介をされる場合、ハッシュタグを使わず「ビーストバインド・トリニティ」という表記を使われております)
以上を踏まえ、私がより広い範囲に情報が広がって欲しいと思う時は、# TRPG_BBT と # ビーストバインドトリニティ のハッシュタグを併用する(+文字数に余裕があるなら一応 # BBT も加える)、というのをまじないとしています。
ハッシュタグの定着率はおそらく他システムも悩むところではないかと想像しているのですが、ことBBTにおいてはそれに加えて検索被りの問題がある、という余談でした。
それはそれとしてTwitter上だとプレイヤーを募集するハッシュタグとして # PL募集 や # TRPG募集 があり、最低限そちらを併用した方がまだ引っかけやすいのかな、とは思います。何かしらハッシュタグが根付けば状況は少し変わるだろうか、とも。(他システムでも見かける形式の # BBT募集 というハッシュタグは存在しますが使用例が稀)
■利用規約など
先駆者の方々の規約に加えて、「過度な暴力的表現」を禁止事項に定めました。BBTは「ホラー」を含むジャンルのゲームで、グロテスクな表現をプレイヤー側でも埋め込みやすいシステムではあります。しかし、同卓するプレイヤーやGMに不快感を押しつけてまで貫き通すべき表現ではないでしょう。あと、私はあんまりグロ耐性高くないので、私が卓に入る事になった場合の自衛も兼ねて。
■オンラインセッションツールの選定
オンラインセッションツールを含めた新環境の模索、という要素もあり、またどどんとふについてはイベントで使用したデータの処理などで複雑な状況が生じかねないなと考えたので、「全員が卓から離れた時にデータが消えるユドナリウム」か「データ等の扱いが規約で明記されているココフォリア」から、GMが選択することとしました。
■GM募集に関して
倉坂は言ってしまえば人脈がそう広くないため、GMを直接お願いできる人がほぼいないタイプの人間です。なので、思い切って最初から公募を行いました。
幸い、4人の立候補をいただき、初回としてはなかなかの規模でイベントを行うことができました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。
募集にあたって提出いただいたのは「シナリオタイトル」「今回予告」「ハンドアウト」「対応できるプレイヤー人数」の4項目+α。
結局プレイヤー募集の段階でシナリオ情報は必要となるため、もう最初から募集時に書いてもらった方がその後がスムーズである、という考えからこの形を取っています。また、対応可能なプレイヤー人数=想定する卓人数の下限と上限は、そのまま募集するプレイヤー数に直結するため、必要な情報だと考えています。
GM募集→プレイヤー募集という順序で行う限りは、少なくともまとまった方法ではありました。
■Discordサーバー用BOTの作成
動かし始めてからは負担を大きくしないこと、という理念上、少なくとも2回はイベントを行う以上、自動化できるものは自動化すべきと思いました。Discordサーバーである程度自動化したいと考えたのは以下の通り。
▼入室した参加者に、参加卓に対応したロールを自動的に付与する機能(手動で比較しつつ付与するのは面倒だったため、自動化したかった)
▼卓ごとにカテゴリーチャンネルを作成/削除する機能
▼参加卓以外のカテゴリーチャンネルを参加者に見えるようにする/見せないようにする機能
▼サーバー上でコマンド入力をすることで、必要なロールを作成する機能
そのためにはdiscord BOTが必要になったため、急遽pythonを勉強して、我流で専用のdiscord BOTを作成しました。BCDiceのBBT用ダイスボット(とかつて触っていたRPGツクールXP~VX)でRubyを、BBTセッション準備支援ツールのためにJavascriptを学んだので、BBTをやるために3つのプログラミング言語に手を出したことになります。たぶん、TRPGの特定システムを遊ぶためにそこまでしたのは界隈広しといえども私ぐらいじゃないかと思う。
python、結構書きやすかったので楽でした。もっともこれは最初からIDEとしてPyCharmを導入したのが大きいような気もします。何せRubyもJavascriptもサクラエディタで書いてきたので。
ただ、このdiscord BOTはまだ「イベントごとにherokuにデプロイする」ことを前提としており、汎用性の低さは否めません。個人で使い切りにする分には何の問題もないものを作ったので、モチベーションがちゃんと続くのなら、より汎用性を高めた、データベース系を利用したものを作るべきなのかな、とも。
※R2/8/4追記
汎用性を高めた会場設営支援BOT「Apostle.CC」をリリースしました。
それなりに便利なものに仕上げられたと思います。
これが後続のオンラインコンベンション開催者の手間を省く助けとなれば幸いです。
■プレイヤー募集
いただいた今回予告をもとに、トレーラー用画像を作ってTwitter上に公開するのは既定路線(K卓はGM自身が画像を作成してくださりました)。
また、イベント会場そのものをBBTらしく「ドミニオン」に見立て、卓ナンバリングがアルファベット順ではないのは倉坂のちょっとした“こだわり”でした。
ただ、金額を掛けたくないという理由で、この卓紹介tweetの繰り返し投稿を「TweetDeckの予約tweet機能」でやろうとしたのははっきり言って悪手だった。果てしない面倒くささ。
これを読んでいて今後何かのオンラインコンベンションを開こうと考えていらっしゃる方がいるのなら、悪いことは言わないのでSocialDogなどの「画像つき自動ツイート」ができる有料サービスの利用を検討すべきだと思います(外部へのシナリオ紹介に画像を使いたい場合)。次回は自分もそうする。
また、本イベントはとらいあどONLINEでも宣伝をさせていただきました。この場を借りて、主宰のソエジマ様に改めてお礼申し上げます。
拡散の様子を見ていて感じたのは、「フォロワーのフォロワー」による拡散はほぼ皆無だった、ということでしょうか。最初に回したアンケートはガンガン「フォロワーのフォロワー」によるRetweetで拡散が進んでいたのですが、こちらはそうならなかったのが印象に残っています。
■R2/8/4追記
SocialDogの画像予約tweetは法人向けのサービスで、月額4000円とかそのくらいの金額が必要になります(後から確認して色々読み違えていることに気付いた)。参加費無料としている「電脳魔宴」の規模を考えると、今後も頑張ってTweetDeckでやることになりそうです。
ただ、自動tweet機能の利用は手間の削減も含め重要なはず。規模や参加費なども含め、この運用コストをペイできるなら検討しても良いはずです。
■準備期間
サーバー内でセッションの準備をしていただく準備期間中、サーバーに設けた仕様は以下の通り。
▼サーバー内の雑談用ラウンジチャンネル(テキスト/ボイス両方)
▼参加する卓以外の準備状況は、当日まで閲覧できない仕組み
前者は「コミュニティ横断的な交流」という企画コンセプト上、後者は卓の準備に集中していただくという目的の上での設定でした。
後者は色々言われるかなあと思ったのですが、割と受け容れられていました。セッション開始直前に、BOTに仕込んだ機能で一斉にこの制限を解除し、自由に閲覧できるようにしております。(参加卓以外のテキストチャンネルへの書き込みやボイスチャンネルへの入室はできない設定にはしていました)
ここは、もう少し主催の方で各卓の調整の出だしに手を入れておくべきだったかなとは思っています。
当日までの雑談・交流目的の通話や、参加者から話題が振られるテキストチャンネル等、コミュニティ横断的な交流という目的は果たせていた印象。これをもっと広げていきたいですね。
■当日
▼感想や進行状況を呟くハッシュタグとして #BBT電脳魔宴 を指定
▼各卓GMには、手の空いたタイミングで進行状況を教えていただく
▼閉会式後、二次会として座談会を行い、コミュニティ横断的な交流を図る
ハッシュタグでの感想tweetは、外に活動を見せる他にも、参加者同士で話題になればと思い統一していただいた物になります。他の卓も面白そう!という感想や話題を喚起し、遡りやすいので次回以降も継続。(強いて言うなら、「# BBT電脳魔宴」ではなく「# BBT電脳魔宴ST」のように符号をつけておき、「第1回の感想」のみを検索できるようにしておく選択肢もあったな、とは事後の思いつき。)
進行状況の把握も、閉会式のタイミング等を図るために必要だったので次回も継続。
座談会については色々面白い話が出てきたこともあり、これはこれでアリ。ただ、さすがに15人以上同時通話は音声がジャムりまくってたので、話したい人ごとにテーブルを分けるような形で複数のボイスチャンネルを設けることも検討すべきか。
いずれにせよ、終了後アンケートにご回答いただけた方からの満足度は高く、イベントの出発としては良好だったのかな、と思います。
■今後の課題
▼募集の定期tweetはもっと早期に開始し、自動ツイート機能があるサービスをしっかり利用する。
▼副進行役的な方の指名を検討する。今回は卓以外の進行は発起人である自分が行ったが、不慮の事態で私が会場に来られなくなった場合にイベントを最低限引き継げる方がいたほうがおそらくよいのではないか、と思うが…。
▼会場入室後の各卓調整にあたって、主催側から最初のトスを投げることを検討する。GMが多忙でなかなか調整がスタートせず、不安がられた卓があった。
▼テキストセッション卓の枠を設ける。(第2回で施策として実施。事前に「ボイスセッションだと参加しにくく、テキストなら…」みたいな声があったのは把握しているため)
▼いわゆる「半テキスト」卓と言われる、「キャラクターの発言はテキスト、プレイヤーの発言はボイス」と切り分ける形式の卓についての検討。(テキストセッション卓の枠と募集時点で混ぜることはできない形式、かつプレイ時間が非常に長くなるケースがあるためボイスセッションとも混ぜられないハイブリッド型の卓形態であり、手を付けるにしても第3回以降を開催すると決めた場合に限るでしょう)
▼本イベントでは、基本的に主催である私がリザーバーを兼ねる形で待機するとしている。ただし、GM立候補が少なかった場合は私がGMに入って卓を増やす必要がある。そのためのシナリオ作成や再利用の準備。
▼交流用の話題のストックを用意する。今回は参加者の方が持ち出す話題がある程度途切れなかったので雑談チャンネルが回っていたが、主催側でもある程度投下できる内容は用意しておくべき。
次は9月13日、BBT10周年(初版発行日を基準とする)が目前に迫る日を、Xデーとしました。願わくば、そこで皆さんとBBTの新たな十年紀を祝うことができますように。