記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

『学芸員 鎌目志万とダ・ヴィンチ・ノート』あらすじと感想

あらすじ ※微ネタバレ
来館者が少なく、本社の経営判断で閉館の危機に立たされた葛原美術館。1ヶ月で企画展の準備をし、年間来館者数を上回る動員を達成しなければならない。さあどうする?!

新人学芸員の鎌目志万は、レオナルド・ダ・ヴィンチの研究に熱心なちょっと空気が読めない変わり者の青年。もう1人の学芸員、森永リサは責任感が強く人に頼るのが苦手なしっかり者の女性。リサが葛原美術館で働く理由は画家であった今は亡き父との思い出の場所だから。そんなリサのためにも、美術館の存続を懸けて奔走する個性豊かな美術館の裏方達のおはなし。

企画展のテーマは鎌目の知識を活かして、画家としてだけではなく科学や土木工学の分野でも功績を残したダ・ヴィンチの様々な側面や有名な『モナ・リザ』が描かれるまでの物語を展示で紹介することに決定。
守衛室に住み着きこっそり漫画を描いては新人賞に応募していた守衛の小島小次郎がその物語を漫画に起こし、スケールの大きな楽しいものを作るのが大好きな大工の鰤田勘次が展示用の大きなパネルを作る。閑散とした展示室で昼ドラみたいなドロドロした小説を声に出して読む監視員パートの小池幸子が企画展のPRソングを作詞。きっちりした性格でいつも鰤田の暴走を止めている経理の樫尾花子が少ない予算でやりくりし、少し頼りないが憎めない館長の永田永作も皆を支える。

そうして無事に実現した企画展は大盛況、美術館は閉館を免れたのでした。




⚠この先ネタバレありの感想です。観劇予定の方はご注意ください⚠




感想
昨年の夏にラーメンズを知ってYouTubeにアップされているコント公演を100本見尽くし、カジャラやK.K.P.にもハマり、もっと早く彼らの存在を知って生で観たかった!と悔しい気持ちもありつつ、演者としてのコバケンはもう観られなくても現役で作品をつくっているのだから観に行かない手はないと、東京公演のチケットを取りました。
今回観劇に付き合ってくれた友人にも言われましたが「推しは推せるうちに推せ」です。
結果、大満足。行ってよかった!!コバケンが現役のうちは毎公演観に行こうと決めました。

全体的な印象としてはK.K.P.の『TAKEOFF ~ライト三兄弟~』の大人数バージョンとも言えるような、個性豊かなメンバーが1つの目標に向かってそれぞれの得意分野を活かして力を合わせる、演劇初心者にもわかりやすいストーリーでした。舞台上に姿はなくてもコバケンらしさが随所に感じられて嬉しかったです。

やっぱりコバケンすごいと思ったのは、物語のあらすじをかなり序盤に明かして結末がわかっていてもなお、この満足感を生み出せること。メインで魅せたいのは単純にストーリーじゃないんだなと観ているうちにわかります。
辻本耕志さん演じる守衛の小次郎に「鎌目志万はこれから起こる美術館の危機を救うことができるのでしょうか?!…これが、できるんですねぇ〜。もうあらすじ全部言っちゃいます。最後は好きな女の子に想いを伝えます。なので、どうぞ安心してご覧ください!」と言わせちゃう。

そうして安心して観ていたラストシーン、完全に油断していました。ああ、ここで想いを伝えるのね、よかったよかった。と思った直後。大工の鰤田の「盗難対策で金目のものの前に落とし穴を作りたい」発言の伏線回収で、リサに告白しようとする鎌目、『モナ・リザ』の前に歩を進め…落とし穴に落ちます。この日いちばんの大きな笑いに包まれる会場。最高でした。このおもしろさ、文字では伝えきれていないと思います。仕掛け人の鰤田の表情も含めてもう1度観たいシーンNo.1です。
公式サイトのコバケンのコメントにあった「演劇というよりは、長いコントくらいのノリで、お気軽にお楽しみいただけたらと思います。」もまさか伏線だったのか。コント師小林賢太郎は観客の反応をどこからか眺めて愉しんでいるのでしょう。貴方の遊び心が大好きです。


いいなと思ったら応援しよう!