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『忍者と極道』から入るプリキュア2〜『ドキドキ!プリキュア』編〜

私を誰だと思ってるの!?
大貝第一中学生徒会長…

相田あいだマナよ!


/ええーっ!?\

見出し画像及び台詞はドキドキ!プリキュア48話「ドキドキ全開!プリキュアVSキングジコチュー!」より。明かされし悲しくも愛しき真実、どちらかが消えゆく宿命、世界と大切な存在を天秤にかける残酷な選択……どちらを選ぶなんてそんな悲しき運命なんか吹っ飛ばす!私は両方取る!取ってみせる!彼女は全てを助ける、無茶なんかじゃない、絶対やってみせる。私ならできる。私を助けるみんながいる。だって私はみなぎる愛、キュアハート。そして私は……
……と最終決戦を前に高らかに決意表明をするキュアハートならぬ大貝第一中学生徒会長・相田マナ。その声は全世界に轟き、中継を見ていた家族の皆さんや学校のクラスメイト達にも当然聞こえて……なんとまあ大胆かつ壮大な正体バレである。しかしそれこそ我らがマナちゃんである。


・私を誰だと思っている!!?内閣総理大臣、愛多間七であるッッ!!!

忍者と極道39話「ラフ・メイカー」より。自己中大統領にして“永遠の友達”であるレジー・ナッシュの頼みでお忍び(バレバレ)で東京駅キャラクターストリートのプリンセスストアへと向う愛多あいだ間七かんしち総理大臣。ちょちょいと終わると思いきや下手な政党より多い50人以上ものプリンセスに圧倒されどれが頼まれた正解だか分からない!迷ってた所に詳しそうな少年が。なんやかんやで彼に勧められプリンセスシリーズに興味を持つ。そこで彼…多仲忍者しのは君の“笑えない体質”を知り「みんなの笑顔を守る」ためにギャグをかます男が勢い余って名乗りあげて……
前にもあった。君に笑ってほしいと願う人が。「まずは私が友になろう」と言ってくれた人が。あの時と同じように

何方どちら生存いきるか死滅くたばるか、今アツい勢いを発するダークヒーローバトル漫画『忍者と極道』……に度々出てくる作者が好きなプリキュアシリーズネタについて皆にも広く知ってもらおうと前回の記事を執筆した。

生首飛び交う殺伐とした漫画と絡めた都合でプリキュアを扱いつつも「殺す」とか物騒な単語が混ざっちゃって大丈夫かなぁと内心不安な所もあったりするレビュー記事。でも後日談の小説でこれに近い単語出てるし…ね?

前回はいわゆる「フラッシュ☆プリンセス!」の元ネタであろう「フレッシュプリキュア!」について書いた。しかしどうしても“あの作品”についても書きたいのだ。愛多間七という名前を音読みするとキュンキュンなあの子になっちゃう“総理大臣”なんて出されたら書かざるを得ないのだ。

この方の言う通り「忍者と極道」を読むなら「ドキドキ!プリキュア」についても知っておきたい。ドキプリも放送開始から7年経過しているしプリキュアファンにも知らない人だっているかもしれない、ましてやそもそもプリキュア見たことない人だっていっぱいいる。それならばとみんなに知っておきたいために今回も執筆させていただく。胸のキュンキュン、止まらないよ!

・ドキドキ!プリキュアとは

もちろんこれも公式で1話だけいつでも見れちゃうぞ。主人公が変身して次週に持ち込むパターンだが、それでも主人公とその周りのキャラクター…そして謎の胡散臭いお兄さんを確認できるだろう

ドキドキ!プリキュアは2013年に全49話放送されたプリキュアシリーズ10作目の作品である。
この作品はプリキュアシリーズ長き歴史においてもかなり特殊な立ち位置になっている。何がどう特殊なのかというと真っ先に挙げられるのが主人公がめちゃくちゃ強い。語弊なきよう言うと最初からめちゃくちゃ強い。たいていの娘はいくら輝いても歳相応の女の子な部分を備えており物語を通じて成長したりするが、このキュアハートこと相田マナは別格で最初からものすごいスペックを見せてくる

右にいるピンク髪が大貝第一中学が生徒会長、相田マナ(cv.生天目仁美)名前で分かる通り「忍者と極道」の愛多間七総理大臣の元ネタである。間七(かんしち)を別の読み方にすれば…
1話「地球が大ピンチ!残された最後のプリキュア!!」においても初登場の時点で校外学習中に体調不良者の介抱、他校との生徒の諍い(コラコラ問答とかいつの時代だよ)の調停、紛失した財布の発見など数々のアクシデントを颯爽と解決。この時点でひと味もふた味も違う。普通ならこんな『幸福の王子』状態だと必ず限界など生じる描写が挟まれ見直したり改善したりなどの描写が入るが、彼女はちょっと風邪を引いちゃう程度(別キャラが彼女の心配をするが…)。これこそが我らがマナちゃんの強さである。
そんな彼女の将来の夢は総理大臣。あまりにも元ネタにド直球ストレートすぎる!

ときおり初代『ふたりはプリキュア』のキュアブラックとキュアホワイトが最強だので彼女たちの無双ぶりの動画と共にバズられるのがあるが、実際に見てきた人にとっては彼女達が最強だなんて決して言えない(なぜかって?それこそ“見れば分かる”だ)ので正直言って快くない話題なのである。それでも「キュアハートは超強い」は最強とは言わずともファンでも案外納得すると思う。そんくらい強いのだ。

数少ない欠点といえば「乗り物酔いしやすい」と「すさまじい音痴」とギャグ描写で片付けられる程度くらい。そんな歳相応を遥かに超えたハイパースペックガールが主人公というだけで17年以上続くプリキュアシリーズにおいて特異的な作品であると象徴するほどである。
しかしなぜ最強でいられるかというのにもちゃんと理由がある。モチのロンで自分自身が強いというのもあるが1話の時点で既に親友に支えられてるという自覚を備えているのだ。その親友が一人というのがキュアダイヤモンドこと菱川六花(ひしかわ りっか)。

このツリ目の美人さんが菱川六花(cv.寿美菜子)マナのアクティブすぎる行動力に振り回されながらも甲斐甲斐しく支えてくれる良妻賢母のような幼馴染。たまに赤いフレームの眼鏡をかけるのがなんともたまらん。
……お気付きの方もいるだろうが「忍者と極道」にて愛多総理の独断行動に頭を悩ませてた聖川盧花(ひじかわ ろか)内閣官房長官の元ネタが彼女である。あちらが「まったくも〜!何をやってるんだ間七〜〜!」と言うように、こっちも「も〜!マナったら〜〜!」と口癖のように言うところも一致している。こんなんアリかよ!?

六花だけではない、さらにはもう一人とんでもない親友がいる。大企業である四葉財閥のお嬢様にて自分自身も実際に経営者としての手腕を発揮しているというトンデモレベルのスペックを誇るキュアロゼッタこと四葉ありす


優雅に紅茶を嗜む四葉ありす(cv.渕上舞)おっとりとした風貌だが見た目で判断してはいけない。己で財を得た自分自身の資産という“力”で我々の想像以上の行動をしてくる。例えば幼馴染のマナちゃん六花ちゃんがプリキュアへ変身した証拠を町の監視カメラの映像として見せつけたり(他にはバレないよう情報データ自体はクシャポイした)41話「ありすの夢!花がつないだともだち」では成層圏外から攻撃してくる敵に対して自家用ジェット機を華麗に操縦して成層圏ギリギリまで向かうといった女子中学生の行動の範疇をぶっちぎりで超えた非現実すぎる存在だ。なぜそんな別世界の住民のような彼女がマナ達と友達なのか……それにはちゃんと過去の話があるのだ

そんな幼馴染トリオだけでなくドキプリには既にプリキュアとして戦っていた戦士が存在する。別次元に存在するトランプ王国に仕える歌姫兼プリキュア、キュアソードである

「なにも……守れなかった……なにも…………」
封印されし“悪魔”が突如解き放たれ、復活と共に平和だった王国は瞬時にして魔界へと化した。湧き上がる悪魔の眷属、眷属から召喚される異形の怪物、そして国民がどんどん同じ姿の怪物へと成り果てるというおぞましき地獄絵図。彼女は涙を流すことしかできなかった……1話アバンから凄惨な状況である

その後はこちらの世界で「ある目的」のために持ち前の歌唱力を活かし路上ライブ生活からスカウトされ売れっ子アイドルへ。剣崎真琴(けんざき まこと)(実際の本名もマコトだそうな)と名乗りファンからはまこぴーと親しまれてる(マナちゃんも大ファンだ)。お忍びの変装姿もあるぞ。
声を担当する宮本佳那子氏はかつてプリキュアのエンディングを歌った方で、そこから歌姫としての設定を踏まえ抜擢されたのだろう。ツリ目でちょっとキツそうな顔しておいてひらがなが混ざっていそうなかわいらしい声がなんともいいものである

最初は正体不明の戦士だったがこれまた四葉財閥の指紋・足のサイズ・毛髪採取の科学捜査で判明(女子中学生がやるスケールじゃないだろ!!)それを手掛かりにマナちゃん達と知り合うことになり、トランプ王国を元に戻すために彼女たちと共に戦うことに。そしてここにハート・ダイヤ・クラブ・スペードとトランプのスートが揃ったのだ。心に剣、輝く勇気……

とまあけっこう辛い過去を背負ってるが異世界の住民なせいで妙なボケをかます時がある。6話「ビックリ!わたしのおうちにまこぴーがくる!?」ではTVの企画で飲食店(マナの実家)での撮影がある話だが野菜を洗剤で洗ったり包丁でまな板ごと一刀両断したりと清々しいまでの天然ムーブをかましてくる。10話「転校生は、国民的スーパーアイドル!!」ではタイトル通りまこぴーが大貝第一中学校に転校してくる話……で裁縫や習字にもこんなかんじ。さらにさらに27話「バレちゃった!?キュアエースの弱点!」で茶道をすることになったが作法である「茶碗を回す」を某大道芸のアレと解釈し傘の上で器用に回す斜め上の発想を……元は器用で飲み込みが早い娘なんです分かればちゃんとできるんです単に知らないだけなんです……

他にもファンの間に語り継がれるとある話があるが(見た人なら文脈で分かるアレである)それは自分の目で確かめてほしいとして……さきほど“キュアエース”なる単語が出てきたようにドキドキ!プリキュアにも赤き追加戦士、愛の切り札・キュアエースがいる

これがキュアエースのシルエットだ!20話ラストにて公開された彼女とはいったい……放送当時はヒラメだのアジのひらきだのとか言われたりしてた。

前回話したキュアパッションみたいにあからさまではなく、さらにはドキドキ!プリキュアという作品が伏線をうまく張り巡らせつつ視聴者の予想を覆す衝撃のストーリー展開なのもあって正体が誰だかマジで分からなかったのだ。その正体とは……“彼女”については後で話しましょう。アデュー

もちろん今作にも妖精はいる。しかも各自に一人ずつパートナーとしている大所帯だ

1話にて出会ってすぐ受け入れてもらい巡り合ったマナの相棒であるピンク色のシャルル、六花の相棒な青いラケル、ありすの相棒になる黄色いランス、そして真琴の相棒として物語開始から共にいる紫のダビィ。彼女たちが変身兼通信デバイス「ラブリーコミューン」に変身してパートナーをプリキュアに変身させるぞ
画像は29話「マナのために!シャルル大変身!!」より。真琴の仕事におけるマネージャーでもある人間態に変身できるダビィに頼み込んでシャルルたちも人間の姿になる回と妖精好きにはたまらないお話だ。

8話「きゅぴらっぱ〜!ふしぎ赤ちゃん誕生!!」にて河原で拾った卵から「きゅぴらっぱ〜!」と産声を上げつつ誕生した羽根の生えたふしぎな赤ちゃん、というタイトルに偽り無しをこれでもかと見せてくるアイちゃん(cv.今井由香)前回の記事で言及したシフォンちゃんのようにこの作品における育児要素であり、とある話では成長と同時に自我が芽生えた(いわばイヤイヤ期)隙を敵に突かれ非行に走ったりと赤子らしく純粋無垢。ある意味この作品における善悪の概念を象徴するような存在
ちなみにこの子もキュアエースのパートナーで変身の際にはアイちゃんの助力が必要だ。

そして物語の鍵を握る人物、マリー・アンジュ王女。

トランプ王国の王女であり、妻が遺した国王の大切な一人娘。お淑やかさだけでなく馬上からの弓術もこなし神器ミラクルドラゴングレイブを用い戦う姫騎士としての凛々しさ、さらには彫刻や百人一首なども興味を示す好奇心さ(六花が百人一首にハマる回でまこぴーが「そういえば王女さまは百人一首が好きだった」と思い出して視聴者が「別世界の住民でそれは無理あるだろ」と突っ込んだらちゃんと嗜んでた回想が挟まれた)となかなかにハイスペックお姫さま。
幼くして両親を亡くしたマコトを妹のように可愛がっており彼女に慕われ、アンもまた彼女の歌声を「心が温かくなる」と心から愛していたが……剣崎真琴は歌う。もう一度、私の歌を愛してくれた人と出会うために。


トランプ王国を滅ぼし、さらにはこちらの世界をも我が物にせんと侵略してくる今作の敵である“悪魔”…その名はジコチューである。……なんか緊張感の無い名前だって?甘く見てはいけない、奴らは人が誰もが持つ、それでいて良心で抑えている「我欲」に漬け込み増長させ怪物に仕立て上げる厄介な敵なのだ。まさに甘い囁きで堕落への最後のひと押しを促す悪魔そのもの……

「やっちゃえばいいじゃん……」「遠慮はいらない、心の闇を解き放つんだ。」
1話「地球が大ピンチ!残された最後のプリキュア!!」でもあるように「長蛇の列に1から並ぶのが面倒なので割り込みたい」なんてちゃっちいにも程があり普通なら良識ですんなり諦められるワガママでも、心に小さな黒いシミひとつ残ればそれだけで怪物にすることができるという驚異の敷居の低さ。メイン視聴ターゲット層お子さんも共感しちゃう「ついついやりたくなっちゃう“ジコチュー”な要因」から彼らの侵略は始められる。「みんなからチヤホヤされたい」「友達が別の友達と仲良くしてるのが気に食わない」「他の人なんぞほっといて自分だけ助かりたい」さらには「たとえ世界とを天秤にかけても大切な人を助けたい」だろうと…

その首魁であるのがキングジコチュー。ビル群が足元に及ぶほどの巨体を誇るが物語開始時は休眠中であり、再び復活するために人たちの我欲から生まれた怪物・ジコチューから発生するジャネジーを眷属たちに集めさせている。
その眷属たちが少年の姿のイーラ(cv.田中真弓)美女のマーモ(cv.田中敦子)そして山路和弘みたいな見た目した山路和弘ボイスのベール(本人も似てると驚いたくらい)。名前の由来は人間の七つの大罪からとまさに人の邪な心から生まれた存在だ。普段はどこぞの酒場つきボーリング場を本拠地にたむろしている(そのせいかプリキュア達とボーリング勝負した際は普通にハイスコア叩き出してた)

ここあたりが大体の主要キャラ……おっと、大切な人を忘れてた。

「また会えたね、ベイビー」

みなさんおまたせしました。水色と白のボーダーなチューリップハットを被った謎の胡散臭いお兄さんジョー岡田です。1話でマナちゃんに、そして画像の3話「最高の相棒、誕生!キュアダイヤモンド!!」にて六花ちゃんに、さらに裏でありすにもプリキュアへ変身するためのアクセサリー・ラビーズをプレゼントしてた雑貨小物屋「ソリティア」の店主である。優しそうな顔から発せられる「マイスイートハート」だの妙に胡散臭い台詞、どう考えても偽名、そしてcv.櫻井孝宏……なにか裏があるのではと怪しさ溢れる人物だが……
そんなミステリアスなキャラっぷり、そこから展開される彼の物語の切なさ、その割に物語中盤から離脱しクリスマスまで出番を伸ばしまくる焦らしっぷり…それらが複雑に混ざりあったせいか一部でカルト的な人気を誇る存在になってしまった。なによりこの作品以降のプリキュアにちょくちょく「顔はいいけどどこか胡散臭く、それでも抱えた物語がやけにシリアスなお兄さん」という“岡田枠”なんてファンから呼ばれる存在がちょくちょく見かけられるようになった(前に紹介したハピチャにおけるブルー様はまんま岡田枠のそれ)なんだかんだでドキドキ!プリキュアを語る上で避けて通れない彼である。

(追記)

忍者と極道43話「Go」より。こちらの円亥杏珠と城水元英の元ネタもマリー・アン王女とジョー岡田である。彼女と彼の関係を深く話すとドキドキプリキュアのネタバレになってしまうのでここでは触れないでおこう……

そして残るはもちろん……

・“友達”だったら困ってる時は力になりたい、それが普通でしょ?

再び忍者と極道39話「ラフ・メイカー」より。歌舞伎町崩壊、帝都高蹂躪など多くの人間が亡くなるほどの由々しきテロ行為が連日続く日本(改めて文章化すると再認識するが忍者おびき寄せるためにやる事がえげつなすぎるぞ極道ども)……そんな中で他国からテロリスト許すまじと中指立てる者がいた。愛多間七総理の“永遠の友達”である米国のレジー・ナッシュ大統領。彼との友情の想い出を懐かしむ友、間七……
目次にドキプリのOP『Happy Go Lucky!ドキドキ!プリキュア』の歌詞の一部分を引用してみたが、想像以上にこの場面にしっくり当てはまり(レジーにも今から話す“彼女”みたいな物語が間七とにもあって、その恩があるからこそ友の治める国を助けようとしてると思うと涙が出てくるな…)とかエモい感情に打ちひしがれたりしてしまった。(追記)あった

プリキュアの話してたのにいきなり「忍者と極道」に戻してどうしたと思うが、今から彼女について触れるには出さねばならない。そう、レジーナについてである

金髪ロングに真っ赤なリボン、そして水色の瞳なかわいい女の子。彼女こそが「キングジコチューの娘」と自称するレジーナ(cv.渡辺久美子)お分かりのとおり「忍者と極道」の自己中大統領レジー・ナッシュの元ネタ。マナとくればレジーナ。完全にキマってる。もう笑うしかないだろこんなの。(画像は我欲が発生してない人間だろうと強制的にジコチュー化するバンクシーンから。横からひょっこり顔を出すのがめちゃくちゃかわいい)

自分のしたいことをやる、他人のことなど知ったことないという自由奔放な我儘娘、これぞまさしくザ・自己中といった女の子。ちなみに共感する部分が多かったのかメイン視聴ターゲット層の女児たちにも人気が高かったようで、去年NHKで行われたプリキュア大投票ではキャラクター部門(プリキュア以外のキャラ)で5位を獲得するという大人気キャラだ。

たしかに敵サイドなのだが正直なところ彼女は侵略とかなんて全く興味ない。単純に自分の好きなことをやるだけ。人をジコチューにしたいからジコチューにするし、マナと遊びたいから遊ぶ。悪意が全く無いのが憎めないし、なによりしっかり言えばちゃんと聞いてくれたりする良識も備えてる。いわば他者を思いやる優しさをまだ理解していないだけ。等身大の女の子のワガママ。ジャネジーに敏感なアイちゃんも彼女に対して懐いているくらいだ。

そんなレジーナが大々的に物語に絡んでくるのが16話「レジーナ猛アタック!マナはあたしのもの!!」。もうタイトルから既にすごい独占欲を発揮している……
アン王女の手掛かりになるだろう秘宝ロイヤルクリスタルを捜す中でちょくちょく顔を出してたレジーナ、なんとキュアハートのことを気に入り「友達になってあげる」と上から目線で申してきた。祖国を滅ぼした奴の娘が何を宣うと道端で変身し臨戦態勢を取るまこぴー!パパがやったんだからアタシは関係ないもんと意に介さないレジーナ!だがマナは彼女の本心からの気持ちを汲み友達になる(当然まこぴーの怒りを買う)……のだが学校まで来てすぐ遊ぼうと言ってきたり(ただし授業が終わるまで待ってとマナが言ったらちゃんと待ってくれた。いい子だ…)六花を邪魔者扱いしたりとワガママの大嵐!挙句の果てには先程の件でまこぴーと喧嘩したのを仲直りしようとしたマナを無理矢理引っ張り出すし、その最中でもマナが六花やありすの話してたら……

「どうして?あなたはアタシの友達でしょ?なのにどうして他の子のことも考えるの?」
「マナの友達はアタシだけよ。マナはアタシのことだけ考えてればいいの!他の子なんていらないの」

で、出たーっ!小さい女の子によくある「自分の友達が他の友達と遊んでるのが気に食わない」の感情!こういうメイン視聴ターゲット層の気持ちを表面化してくれるあたりが共感されたんだろうと思う。しかしなんとまあここまでキッパリ言ってくるとは大胆なもんだ……

しかしレジーナは実際にジコチューを生み出しマナの友人へけしかける実力行使してくるからたまったもんじゃない!「アタシのためにあの子たちの友達、やめてくれるよね?」と持ちかけるが…
「嫌だ……やめない!絶対に友達やめない!」もちろんレジーナとは友達になったし今もそう思ってる、でも彼女たちも大切な友達!それを捨てるだなんてとんでもないから両方取る!そして友達だからちゃんと言うべきことは言う!それこそが『本当の友達』!

余談だがこのような「友達という自分の大切な存在が自分以外にうつろい不安や危機感を抱く」というレジーナが抱いた嫉妬のような独占欲、実は10話「転校生は、国民的スーパーアイドル!!」にて六花もまさにその感情に苛まれたのだ……
まこぴーが自分たちの通う学校に転校してきてマナはいつも彼女ばかり気遣う……そこには本来は自分がいた筈なのに……常識を弁えてる六花は抱いてしまった感情の正体が分からなかった。ありすに言われるまでは…そしてまこぴーも「既にマナのそばにいる親友の六花が羨ましい」と思ってたという本音を知り解決した。そう、誰もが持つ“我欲”……

次の17話「ショック!奪われたクリスタル!」では「本当の友達になる」というのをレジーナなりに考えて「いい子になる」と言うが……
「友達になるのはいいことですが、この間のことはちゃんと反省してくれたのでしょうか?」「この間のこと?」「みんなにひどいことしたでしょ!?」
「もちろん反省したよ!」「ホントに?」「したした!」
「“反省する”ということの意味、お分かりですの?」
「えっ?う〜ん……知らない!」
ダメだこりゃ。妖精も揃ってなんとも言えない呆れ顔である…一応は「本当はマナと二人がいいけど…我慢する!」と前回マナに言われたことはちゃんと守ってるぞ(ここまで正直だと腹も立たないby六花)

そもそもマナ達がこの公園に来たのはアン王女そっくりの彫像があるからだった。その胸には赤のロイヤルクリスタルが……マナが欲しいならと彫像を破壊しクリスタルを摘出するレジーナ。製作者の人見さんに謝る4人を尻目に当事者の彼女は知らん顔(女の子の力で壊せる物じゃないからヒビが入って偶然壊れたんでしょで許した)だったが「友達だからこそ、こういうトラブルの時は助け合う」と言われ、彼女にも“思いやり”というのがだんだん分かってきたその時……突如光りだす赤いクリスタルに共鳴するかのようにレジーナの瞳も赤く染まる!性格も容赦が無くなりクリスタルを独り占めにせんとマナ達に襲いかかる!どうしたレジーナ!?

赤きクリスタルはレジーナの手の中のままだが、ある人の助太刀でなんとか退け次の話で最後のロイヤルクリスタルを揃えたプリキュア御一行。そして19話「クリスタルをかけて!ジコチューのゲーム!!」にてクリスタル全部欲しいとレジーナ自身がマナに「勝った方がクリスタル全部獲得できる」を条件にゲームを仕掛けてくる。ジコチューが主催するゲームなどイカサマばかりの罠が待ち受けてると決まってる。それでも友達であるレジーナの言葉を信じ挑戦を受ける。案の定ルール無用の反則まみれだったし、プリキュア側もなんだかんだで試合中に浄化技を駆使して対抗したし、最後はジコチューらしいひどいオチで(最高に面白いから実際に見てくれ)プリキュアが勝利し赤のクリスタルを渡すよう言うがレジーナは駄々をこねる……しかし「たとえ自分達が何を言おうとも、罠だと知ろうともマナはあなたを信じた」という信じる心を目の当たりにし瞳が元の色に戻る…(ただしイーラに唆されてまた赤に染まってしまった)

5つのクリスタルが揃った瞬間、クリスタルは空高く飛んでいってしまった!20話「クリスタルの導き!王女様のもとへ!!」ではレジーナ含むジコチュー達と四葉財閥所有の人工衛星を頼りに(いちいち規模がでかい!)プリキュアがクリスタルを追っかける!辿り着くは夏でも雪積もる山のクレバス内……落下してしまったレジーナとマナは底の地下洞窟で氷塊に閉ざされたアン王女を発見する。

ようやくまこぴーが探してた王女を見つけたマナ。そこでレジーナは彼女たちがトランプ王国を元に戻すために戦ってると知る…トランプ王国侵略はパパであるキングジコチューがしたこと。しかしマナは「レジーナと仲良くなれたならお父さんとも分かり合える」と。マナは誰かが悲しむよりもみんなが幸せになる方法がいい、それを心から望む女の子だ……
そして仲間が救助に来てくれた時にレジーナは約束破って酷いことしたのに会わせる顔などないと罪の意識を見せる。マナを通じて優しさを、思いやりの大切さを、それを理解できなかった自分の過ちが分かったのだ……それでもマナは一緒に謝ろうと依然変わらぬ優しさを見せる。友達だから。

しかしレジーナはアン王女と共に連れ去られる。そして21話「トランプ王国へ!王女様を救え!」で……

地球で採取したジャネジーのおかげか話せるくらいには回復したキングジコチュー、それならばとレジーナはマナの提案を伝えるも聞く耳を持たず怒りを買ってしまう。雷を受け倒れる娘、そんな彼女をベールが罠として用いる。キュアハートを、友達だの愛だのが大切とぬかすバカをおびき寄せる罠として……
落ち行く穴、底はマグマの灼熱地獄。クモジコチューは糸を垂らし罪人どもに掴ませる。一人だけなら耐えられるが二人もいれば千切れ共に身を焼かれよう。両方落ちれば愛の無力さが証明される、万が一レジーナがキュアハートを蹴落とせば……糸を切ればいい。どこかの人間が考えた寓話、その結末は「己だけ助かろうとした罪人は結局は見捨てられ地獄の底へ沈む」。そもそも糸を垂らすは釈迦ではない、“悪魔”だ……腹立つ上司の娘もついでに消せる悪辣非道な策。これだからジコチューはやめられないぜ

「ねえマナ……アタシとマナは何なのかな……」
「友達だよ」
「マナは…変わらないね。アタシね、マナと会ってからおかしくなっちゃったみたい…マナに優しくしてもらうと胸がドキドキするようになったの。マナが辛そうな顔すると胸がズキズキするの。ねぇ、何なのかな、この気持ち?」

「それは……人を思いやる気持ち、“愛”だよ。」
「“愛”……これが……そうなんだ…………」

「マナ……だいすき……」

誰かを思いやる気持ち、それは愛。自己中極まるレジーナにもそれが備わってた。そして彼女はマナを……自分の大切な友達を助けたい、その一心で手を離す。彼女が示す初めての愛、それはあまりにも悲しい自己犠牲という献身行為……これでいいんだ……落ちて行く……罪人として地獄へと




落ちて……ない?

手が塞がってるなら脚で掴めばいいじゃない。ちょっとばかし不格好でもいいじゃない。絶対に落とさない。落としてたまるか

「諦めちゃダメ!」
「でも……」
「でももだってももいりません!こんなの全然ピンチじゃないよ!

私を誰だと思ってるの!?
私は大貝第一中学生徒会長よ!!

どちらかが生きるためにどちらかが死ぬ……あまりにも残酷な選択……そんな悲しい運命なんか吹っ飛ばす!どちらも大切なら両方取る!取ってみせる!それこそが大貝第一中学生徒会長・相田マナ!!
言っただろ?「キュアハートは超強い」って。これこそがその理由。こんな絶望的な状況でも決して希望を捨てない。大切な友達を見捨てる訳ない。絶対に。

無事に助かりさらには王女さまも取り戻せたプリキュア達。しかしレジーナは唯一気がかりなものがあった……パパである。怒っていたとはいえ大切な父親……

ついにこの時を迎える。そう、22話「ピンチに登場!新たなる戦士、キュアエース!!」だ!

新たに現れる敵、リーヴァにグーラ(これも七つの大罪由来の名前)!そして大ピンチに陥るプリキュア達!そこに現れる赤き戦士、彼女こそ愛の切り札・キュアエース!高校生かそれ以上の年齢と推測される彼女は圧倒的な実力で紅き疾風のごとく速度で新たなる脅威を撃退し颯爽と去っていく……

彼女は何者なのか!復活したアン王女か!それとも愛に目覚め成長したレジーナか!アイちゃんの力を借り変身するキュアエース、その正体は!?

……


……


……



全くの新キャラでした〜!ってアリかよこんなの!?

・未来、悲しみが終わる場所…

もう7年前の作品だってのにここまで放送当時のノリを持ってくるのもあんまり良くないかもしれないが……おまたせしました。彼女がドキドキ!プリキュア5人目の戦士・キュアエースに変身する円亜久里(まどか あぐり)だ!(cv.釘宮理恵)

23話「愛を取り戻せ!プリキュア5つの誓い!」より(タイトルが色々大丈夫なのだろうか)。どう見ても小学生なんだけど変身する際は愛の力で一時的に(某光の巨人よろしく5分のタイムリミットあり)大人の姿になれるという荒業であの年齢になっているのだ(好評だったのか「変身すると一時的に肉体が成長するプリキュア作品」はこれ以降ちょくちょく見られるように)。小学生戦士は『スイートプリキュア♪』のキュアミューズ/調辺アコに続き2人目、いわば馴染み深いくぎゅうボイスの小学生のおんなのこをイメージしてもらえば想像しやすいだろう

変身して成長すれば洋画吹き替えとかでたまに見かける大人の女性の釘宮理恵ボイスに。一度で二度おいしいとはこのことである。ちなみに浄化技・エースショットを決める際に「ばきゅ〜ん!」と言うが声を荒げる都合上ちょっとばかし釘宮さんの地の声…いわば亜久里ちゃん寄りの可愛らしい声っぽくなる。そういう所もチャームポイントだ。

茶道教室の先生である祖母の元で暮らしている彼女は幼くして茶道も丁寧にこなす清楚な大和撫子ガール…でもありスイーツ大好きでニンジンが嫌いといかにも歳相応な少女でもある。画像は24話「衝撃!まこぴーアイドル引退宣言!」にてアン王女を見つけるために歌ってたマコトが目的達成してしまい、アイドル続ける理由を失う彼女を叱咤する……前にありすの執事セバスチャンが作った桃のロールケーキを一口いただき感動のあまり詩的な感想を述べるシーン。

【追記】さて、以上の5人がドキドキ!プリキュアなのだが案の定というかもしやと予想された展開が発生した

忍者と極道43話「GO」より。愛多間七総理の桜賀(おうが)第一中学時代の生徒会仲間であり、中学生時代に間七を中心に結束し真虎の故郷をダムに沈めこちらの土地をも侵略しようとした自己中な極道の地上げ屋を退けた『永遠のともだち』、もちろん上記の名前そのまんまな官僚達が出てきたのだ。これじゃあ本当のお友達内閣だよ〜!!荒来ちゃんも昔はニンジン嫌いだったり有数さんも若い頃に間七ちゃんをいじめた相手を とかしてたのだろうか。

……ってレジーナは!?キュアエースが別人ってならレジーナはどうしたの!?

レジーナはキングジコチューに……パパにジャネジーを直接注入され完全なるジコチューと化したのだ……瞳も我欲に染まりし赤に、さらには衣装も紫とダークに。皮肉にもマナを通じて家族という愛を知ってしまったその日に、大切な家族によって塗り潰されてしまったのだ。

確かに22話でジコチュー新幹部のリーヴァとグーラは出てくる。しかし新たなる脅威としてプリキュアを大ピンチに陥らせるのはレジーナだったのだ!キュアエースの活躍で退けたものの、もうそこには“大切な友達”はいない……マナちゃんは変身もできぬほど立ち上がれず、強めの幻覚を見るほどに苦しんでた…(字幕つき画像が台詞コラじゃないかって?実際に流れました!こんなの見ちゃったくらい追い込まれていたんです!)

そしてキュアエースの攻撃を受けてか長い休眠へ…どんだけ長かったというと39話「会いに来たよ!レジーナふたたび!」になってようやっと再登場したくらい。リアルタイムで見てた人は3ヶ月以上も待たされたんだぞ(ちなみにジョー岡田再登場はもっと待たされた)

……さて、個人見解だが『ドキドキ!プリキュア』の最大の魅力は「伏線をうまく張り巡らせつつ視聴者の予想を覆す衝撃のストーリー展開」だと思っている。キュアエースの正体もそのひとつだ。しかしそれだけではない、亜久里ちゃん登場以降も物語の謎はさらに加速し多くの伏線が張られ最後には怒涛の回収が起こり非常に高いドラマ性を生み出すのだ。

「私は…すべてを知りました……自分が何者なのか、どのような宿命を課せられて生まれてきたのか」

終盤である45話「宿命の対決!エースvs.レジーナ!」にて彼女たちは“真実”を知る……あまりにも重く、悲しい真実が……
「これまでバラバラだったピースがすべて収まる……」なぜこの場にジョー岡田がいるかって?むしろ彼はいるべきしているのです。

レジーナは、キュアエースは戦う。どちらかが消えねばならぬ宿命として。なぜ彼女たちはそのような重すぎる宿命を課せられたのか!?そうするしか道は無いのだろうか!?それは46話「エースとレジーナ!誕生の真実!」にて語られる……

なぜ封印されし“悪魔”は解き放たれたのか、それは絶望と苦悩、世界とを天秤にかけねばならぬほどの残酷な選択、そして悲しくも愛しき真実があった……

もはやどうしようもない、あまりにも悲しすぎる運命……それでもキュアハートは、相田マナは諦めない。「みんなの笑顔を守る」ために。

「好きだから。わたし、レジーナが好きだから……それだけじゃダメかな?」

(47話「キュアハートの決意!守りたい約束!」から)


・おわりに

勢いで書いた「忍者と極道」から始めるシリーズ。前回のフレッシュのと今回のドキドキをある程度知っておけばパロディ元にも気づけてより楽しめることだろう。今のところは。

どうして「今のところは」をつけたかって?作者のことだからまだまだプリキュアネタのストックがありそうだからだ。その機会が起こる度に今回みたいに書くかもしれない。次はなんだろ【追記】“まるで未来から来たかのような”となんだか匂わせる展開が出てきたメポ!

ともかく前回の記事を通じて「プリキュアシリーズ知らなかったけど興味を持った」という声をちょくちょく見かけて、自分としては頑張って書いてよかったと本当に思ってます。読んでくれてありがとうございます。この場で感謝の意を表明します……フレッシュやドキドキだけでなく他にもプリキュアシリーズはいっぱいあるからその中で自分の心に響くのがあることを願う。dアニメストアなら月額440円で数多くのプリキュア作品を見れるのでオススメだ!


興味は持てたけど49話もあるアニメ見るのはつらいよ〜!という方にもオススメ。ファンの間ではふたご女神と慕われているように美しいタッチで描かれる公式コミカライズなのだがただでさえ百合成分が高いドキプリでも本編以上に百合成分が高い。女児向け雑誌で連載されてる内容とは思えんくらい百合濃度がすさまじい。あまりの衝撃にSNS上で話題になり急遽単行本化、さらには過去作品と以降のプリキュア作品も単行本化したという偉大な快挙を成したのだ(それまでは過去作は読むのが非常に難しかった)とにかく漫画から始めるのもどうでしょうか?

それでは!









……忘れるなかれ。これはあくまで『忍者と極道』。極道によりおびただしい数の犠牲者が生まれるダークヒーローバトル漫画である。そして愛多総理とその永遠のともだちが出てきた四章“幼狂死亡友戯”はこれまでとは一線を画する残虐なる殺戮が行われる……そして彼らも……



プリキュアが元ネタだからって死なないとでも思っていたのかい?

(『忍者と極道』44話「Re:set」より)


ドキドキプリキュア45話「宿命の対決!エースvsレジーナ!」より。最期の声も完全に一致とか改めて思ったけど大丈夫なのかなこの漫画……

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