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コロコロコミックのファム・ファタール存在『アクジキさんノごはん』を君は知っているか

サムネは1話より。こんなかわいい女の子?に運命だのと迫られる夢のようなシチュエーションだが……ちなみにコロコロコミックは基本的に単行本化の際に初めてサブタイがつけられるのだが、今作の各話サブタイは料理のメニュー風になっている。この1話がどんな品名なのかは実際に買って確かめ、そして味わってほしい…

・お品書き 今、コロコロコミックはラブコメがアツい…?


これを読んでるみなさんは当然ご存知だとは思うが、去年ついに週刊コロコロコミックの人気作品『ぷにるはかわいいスライム』のアニメが放送された。コロコロ原作のテレビアニメは『怪盗ジョーカー』以来ひさびさで(なんならそのジョーカーも異例のレベルなほど)期待も高まる中で実際にお出しされたのは……原作が大切にしている要素をしっかり尊重しつつアニメだからこその動かし方をしてくれた素晴らしいアニメ化だった。「例のキャラ」も出てきてより繊細な側面が際立つ二期においてもきっと大丈夫という信頼感がすごくある。原作開始当初から目をつけていた自分としてはそういう部分あるからこそ心動かされていたので大切にされていて感涙ものであった。ありがとう…

さてそんなぷにるだが漫画のジャンルとしては「ラブコメ」に分類されている。ガッツな笑いとド迫力!をウリにしているコロコロとしては異例であり初のジャンルであり、ひとえにそんな冒険ができたのはメイン読者層が小学生男子であろう本誌と分離された週刊コロコロコミックというwebオリジナルだからであろう。そして今作のコロコロの延長線だからこそに描けるラブコメ…本来そういう土壌が成り立っている小学館の女児向け雑誌「ちゃお」とはまた違う作風がヒットしたからこそ週刊コロコロにおいてある流れが観測され始めた……ジャンル「恋愛・ラブコメ」の登場だ

2025年1月7日現在にて「恋愛・ラブコメ」のタグがあるやつ。画像下に実はもいっこあるがそれは今から口述する

既に完結してしまった作品だが等身大の小学生たちのピュアな恋模様(ある意味こういうド直球のって逆に現在のちゃおだと難しいと思う)を描いた『キミの目を見て話せない』、全3話の短期連載だが女の子サイドの空回りっぷりが見ていて微笑ましい『河合ふるすろっとる!』ホビーバトル漫画の延長に明確なる「死」が存在する殺伐とした世界で初恋の為に奮起する『青春戦士アサヒくん』、そしてこのスクショから見切れているぷにるに匹敵する新規話題作であり27歳の成人女性と中学生男子の関係に「恋愛・ラブコメ」をカテゴライズするのは現代倫理においてかなりインモラルではと不安になりながらも正直その危うさに期待してる自分も確かに存在する『ダウナーお姉さんは遊びたい(コロコロ本誌が大切にしている「うんこちんちん」の本質ってそういう親目はばかりつつも子どもだけが熱中できる背徳感ありきだろうし、でならこの不純異性関係を示唆するやつは「うんこちんちん」の本質ではないかと思うんですよ。今思いついた詭弁なんですがね)などなど。あと同じく小学館web漫画サイト・ちゃおプラスからの出張連載でここでは軽く触れる程度だが『上杉くんは女の子をやめたい』は本当にオススメしたい。人生初レベルのマトモに読んだ女児向けジャンルの漫画だが、これだけでnote一本書けるレベルにハマってるくらいだ。性転換ネタを経由することによって強調される幼馴染三角関係の真髄がこれでもかと活かされてるぞ。

ぷにるとコロコロ本誌での大人気作品『運命の巻戻士』がちゃおプラスに出張連載した際に存在を知った。やぶうち優先生、自分はこれで初めて知ったけどコロコロで例えると「ドッジ弾平」「爆走兄弟烈&豪」そして「ドッジ弾子」のこしたてつひろ先生ばりの大ベテランなんすね……

さてこっからが今回の本題、そんな週刊コロコロコミックの「恋愛・ラブコメ」のジャンルにある作品がひとつである菊妻ヒロキ著『アクジキさんノごはん』を今回は紹介させていただきます。

元は新連載の登竜門ことミラコロコミックから始まり、女の子…が主役なのもあって週刊コロコロコミックでの短期連載へ、そして好評だったので本格的に連載スタートした今作、ちゃんと一定数の固定ファンは獲得しているのだが……どうしても同時期に連載開始したダウナーお姉さんと比べると知名度は低くなってしまう(というかお姉さんが強すぎる)自分としてはもうちょい今作を皆に知ってほしいなぁ〜という気持ちが正直存在し、そんなら微力ながら実行に移すべきと個人的な今作の見所ポイントを書くことにした。あのぷにるの作者まえだくん先生も今作のファンなんだし。

こちらがファンアート。コロコロ漫画家だから週刊という枠が来るまで活かせなかったけど、かわいいイラスト描くの本当にうまいなぁとしみじみ

こちらはぷにるに服を着せたファンアート。かわいい(引用元のでけー人は後述する)

このような縁もあってかアニメ放送記念イラストも描いてる……ってポリビニルアルコール(洗濯のり)とホウ砂水の化合物を人間が食べたら危険だぞ!でも彼女ならたぶん大丈夫、なぜなら……

ということで初めていきましょうかね……この物語はグルメでも、ましてや■■■でもない。ただ彼女が、ごはんを食べるだけの話だ─。(1話ラストより)


・前菜 アクジキさんハおんなのこ?

まず今作のラブコメ分類としては「ボーイ・ミーツ・ガール」ものであり、どこにでもいそうな小学生男子・月善つきよしキュージが料理を…小学生なりの発想で思いついた所謂リトルグルメで女の子にモテたいという小学生なりの微笑ましい性欲(重要)を目論み試行錯誤してた所に颯爽と現れた謎の美少女・亜久式と出会ったのが事の始まり。彼女は彼の料理を気に入り、そこから「あるコト」も隔てつつ転校生として運命の再会、もうそこからはとんとん拍子で進み…これについては実際その目で見てほしいがもう「済ませた」までの関係になっている。小学生で!?

1話でのファーストインプレッション。ほんわか清楚な装いと見せかけてピアスがバチバチ(よく見るとキュージくんも左耳にピアスつけてる。作者さんそういうの好きなのだろう)
同じく1話より「好物」を前にしたアクジキさん。かわいい顔もできます
2話でもう同級生に見せつける。野郎どもに茶化す暇など与えんわっ!余談だがこのキュージくん、単行本1巻の作者コメントにて「(略)目つきの悪い少年。好きなものをこれでもかと入れてみたら〜」とあり、おそらく菊妻氏における真戸博士ポジション(作者の好みを直で投入したやつ)だろうと推測する。


こんなにもかわいい子にグイグイ迫られるなんて都合の良すぎるシチュエーション、されど当のキュージくんの顔は戸惑いの顔……これが“人間の”女の子ならどれだけ良かったのか。そう、彼女は人間ではなく、それはそれはおぞましい……



すべての、命だったものに、感謝をこめて、

1話より。人の形を成したなんとやら…

アクジキ、好き嫌いせず、『なんでも食べる』コですの───。

彼女、アクジキさんは…『化物』だ。悪霊を前に涎を垂らし、華奢な体躯から想像もつかぬ怪力で“調理”し、口からはウツボの如く幾重にも口ある正体を伸ばし貪る……人間の女の子の「ガワ」を被る、人ではない“ナニカ”だろう。霊はいわば「かつて命だったもの」ならば、即ち我々人間も食べている食品…かつて生き物だったものの死骸と同義とばかりに嬉々として食らう。味わう。恍惚に浸る。それはどう見ても人間の行いではない……

こんな化物に目をつけられた少年キュージはそもそも霊を呼び寄せる体質だそうで、いわば彼は彼女にとっての獲物を誘う釣り餌に相応しく、名前通り彼女の食事を載せるツキヨシであり彼女の給餌キュージ係であるのだ。彼女を断れば元来の性質で悪霊によって遅かれ早かれ殺される末路、されどそれを喰らう異形の化物と共にいればおそらく……彼にはそもそも選択肢なんざなかった。この記事のタイトルにある「ファム・ファタール」とは赤い糸で結ばれる程の運命的な恋愛相手の女性だが、その運命は幸運のfortuneではなく死に至る宿命であるfataleすなわち「破滅へと導く魔性の女」でもある。まさしく彼女は─アクジキさんは少年にとってのファム・ファタールそのものだった。魅了の魅の字は魑魅魍魎にも使われてるとはよく言ったものだ。

これがサムネの全貌。魔性というか魔そのものに魅入られた瞬間。顔面蒼白、けれど恋人繋ぎでガッチリ逃さない……

ちなみに単行本1巻には描き下ろしとして今作の誕生秘話が明かされているのだが、詳細は是非とも手に取って確認していただきたいが初期案はもっとえげつなかったとだけ伝えておく。そっちもやったらやったで面白いかもしれんけど連載までには絶対至らないだろうなぁ……

こんなかわいいガールのフリした、あらゆるものを喰らい尽くす悪食アクジキにも程がある化物なんかとミーツしてしまったキュージボーイ、されど忘れてならぬのは今作のカテゴライズは「恋愛・ラブコメ」ということである。つまり……

・間食 色とりどりのオンナノコ?もどうぞ

本筋に入る前にちょいと閑話休題。今作はこうかわいい女の子…をウリにしてる作品なのもあって、彼女以外にも様々な女の子?がいたりする。とまぁまずは彼女から……


2話ラストより。デッ…………!(乳ばかり見ないでダメージジーンズじみて意図的に穴を開けてるタイツも見ろ)

いきなりとんでもねーデカパイねーちゃんが出てきたな…(リアタイ当時の率直な感想)でかい。細身のアクジキさんに対してあまりにもでかすぎる。(互いの服交換しあうとより分かる)いやでもいくらでかいからって、こうでかい言うのは本誌の枠外とはいえ一応コロコロなんだし……

3話より。キュージくんは年相応の性欲がある(復唱)

でかさ公認だった。ただでさえ三白眼なのに凝視してさらに瞳孔がすぼむ。後ろに至ってはライン超えてる。なお別の話だと「おっぱいメガネ」と身も蓋もない呼ばれ方するのも出てくる。ちなみに前述したが今作は元々ミラコロコミックにて1話が読切掲載…いわば児童誌の枠内から始まり、そして2話以降が週刊で短期連載という形においてようやく出てきたのがこの日斗立キリ子……もうお分かりですね?SNS経由で読んでる人たちは当然でけー乳が好きだからテコ入れで出しましょうという魂胆が絶対ある。ちょうど同じ金曜連載にて小学館スーパーヒーローコミックスから出張している『継承機神アンブレイカー』のデカパイ未亡人AIフジノハが話題を呼んでたのでこの欲情は否定できない……我々は悲しき生物……

そんな乳ばかり触れてると品位が下がってしまうものだし別の娘?もついでに。その名はヤツフサ。なにやらアクジキさんの正体を知っている、彼女のように人の姿を模した怪物……何者なのかは不明だが、いずれ彼女の食卓に大いなる厄を提供するのは間違いなさそうだ……

本格連載開始した5話にて「味見」じみて口付けし、二口目には……ちなみにこれでは見えないが食事に支障を来しそうなくらい舌にピアスつけており、ケモ耳も合わせてアクジキさんより人間の解像度を低くしているのが伝わってくる


・メインディッシュ それでも今作はラブコメである

さて本題に戻る前にもうひとつ話を。今作のファンが1人であり『ぷにるはかわいいスライム』の作者であるまえだくん先生が幼馴染関係ガチ勢というのはぷにるを通じてみなさんも御存知だろうが、そんなまえだくん先生はこれまたぷにるを通じて「人外描写と人間との関係性」も好むのも伝わってくるだろう。主人公ぷにるは徹底して無性別のホビーであり、それなのに女の子の見た目をしてるからこそコタローは異性のような意識をしてしまい、その心情描写を通して彼がその「ともだち」を本当はずっと一緒にいたいと想う心が強く輝く……アニメ一期の枠内においてもそうだったように(そして二期以降に描かれる部分でさらに加速するからアニメ専も楽しみに待ってなさい)まえだくん先生はそういう人外“だからこそ”においても強い信念を持ってるのだ。トナカイぷにる見るに明らかにケモナーでもあるし

そんなまえだくん先生が尊敬している菊妻ヒロキ先生の描く今作も人外要素─美少女の皮を被った化物はまさにそれだ─が一般人であるキュージくんと関わるのでまさしくぷにるに近いものがある………けれども“ある一点”においては明確なる違いが存在する(幼馴染関係ではないもあるけど…)それは……


2話にて放課後だし飯(オバケ)食いに行こうぜとキュージ君を誘うも、彼は目の前にいる人ならざる怪物に恐怖してると漏らし……その気になればどこぞの人外みたいに無理矢理連れてくことだって可能だろうに。

自分は化物なのだから怖がられるのは当然、けれど……その流した涙は人に化けた魔物が騙す為の狡猾な演技ではなく、心許してた少年に拒絶されたことへの本心としての……確かに目の前にいるのは「人間の女の子」ではない、だけど……「普通の女の子」でもあるのだ。これこそが命宿したホビーであり無性別のぷにるとの明確な違い。前半で書いたように人外ものといえば所々から垣間見える「コイツは決して人ではない」と強調される部分が見所なのは確か。されど「だからこそ」のように人間と変わらない気持ちが響くものだ……彼女には年相応の小学生の女の子らしく喜び、悲しみ、そして運命などと称するくらいの男の子と一緒にいる際のトキメキ、大切にしたい想い、それにちょっとばかしの独占欲だって感じている……

3話より。キリ子に右腕を斬り落とされ、そこから銀色の血を垂らし、さらには「見せたくない姿」を曝け出した彼女。けれど抱き締められ聞こえる心臓の鼓動は人間のと変わりない、この世界に少女は生きている。
6話にて同じような化物しょうじょヤツフサと戦った後に「何も聞かないで」とはぐらかすような、そして頬に口付けされた事実を拭い取ってほしいにも聞こえる表情と一言。ちょっぴりずるく、いじらしい、女の子の特権。

人知を超えた力を振るい一方的に少年を使い捨ての釣り餌として利用することだって出来うるのに、彼女はその力を決して彼に用いない。人ではない化物は、普通の女の子としての気持ちで人間の少年のことが好きだから君と一緒だから食べれる味が、感動が欲しいから。そんな人外が人間という異種族に対して抱く等身大の少女らしい想いこそが今作を「恋愛・ラブコメ」たらしめるだろう。彼女は…アクジキさんハおんなのこである。そして彼女と一緒にいるキュージくんは少女に護られる側であり、それでも“おとこのこ”として…

9話にてキリ子に“とある事”が起きてしまい、姉として慕うナギ(性別不明)が「バケモノにならお姉さまを止められる」と助けを求めた際の怒り交えた言葉。なおそのあと実力行使とばかりに一般人相手だろうが銃乱射で脅してくるも、バケモノ呼ばわりした娘に上述した「バケモノとしての力」を見せつけられ…

最初はかわいい女の子が都合よく舞い降りてきて浮かれていたが即座に「正体」を見せられ恐怖してしまったキュージくん、それでも彼女の本心を知り……人ではないと分かりつつも人らしい気持ちを感じ、無力な自分ながらも大切な女の子を護りたいと想う男の子らしい気持ちがある。やれモテたいだのドギマギしたりだの年相応の性欲うんぬんと彼に対して言ったが、その延長線上にある人間としての成長がちゃんと存在しているのではないか。人外側の一方的ではない、人間側にも確かに存在する愛の気持ち……もちろんアクジキさんもその気持ちが嬉しく……



もう少しで、ガマンできなくなるところでしたの──。
ほんの少しふれただけで思ってしまった。
キュージくん、あなたを、
食べたいと。
あなたに、“ごはん”になってほしいと

4話ラストにて一通り「済ませた」後の少女の胸中より

この物語はグルメでも、ましてやホラーでもない。ただ彼女が、ごはんを食べるだけの話だ─。」そう語られるようにアクジキさんは“ごはん”を食べる。かつて生命だったものが現世に縛りつける無念の追憶を舌で感じ、味として満喫し昇華してくれる……彼を最も感じたいならば、同じようにあいしたいのが一番と思うように。彼女は人間の女の子のような心を持っていると同時に化物であり、愛する少年の破滅を招きうるファム・ファタールであり続ける。小学生らしく微笑ましいながらも着実に育む純愛の果てに、人ならざる者が人間を死へと誘いうる繋がりの果てに、そして彼女の食事の果てに待つだろう胸に秘め続ける真の想い……いわば餓狼の思惑アノコノヒメゴトとはなんなのか。その答えは……今はまだ、少女の笑みにまぎれてナイショとばかりに──。



・おみや コロコロでの「愛」のカタチ

いかがだったろうか?タイトルに週刊の文字が無くてややこしいのは承知の上だが、ともかく今作みたいな危うき魅力持つヒロインが好きな方とか小学生の健全な恋愛とか好きな方とかに届いて今作を知ってくれればいいな〜と思い書かせていただいた。なんにせよ知名度というのは重要で、伸び代あるだろう今作が埋もれてしまうのは勿体ないし……かわいい女の子がコロコロ作品にあるのは貴重なのだから……(ちなみに本誌でも女の子がかなり活躍している作品がある。こっちもオススメだぞ)

ということで今回は少々短めながらもここでおひらき!食べたらちゃんと歯を磨いてから寝ろよ!それでは!!

 







【追記】




……さて、いい子はもう寝たかな?それならちょうどいい。実はこれ書いた後にね、来てしまったのだよ、、自分が最も恐れていて、そして最も求めていた展開が。だからここにちょいとばかし記しておきたいんだ。週刊という枠組みにおいてもコロコロコミックでまさか見れるとは思えなかった……





普通の女の子が好きな男子に抱く、女の子としての「性愛」というものを。






17話より。エロギャグとかラッキースケベとかではないホンマもんの「性」を出してきて先読み時ほんとどうにかなりそうだった(なお本来はもっとすごかったそうな。これより上ってもう○○◯じゃん!?)

かわいいあの子はずっと本当の想いを隠していた。でもあるキッカケで……飢えて本能が抑えられなくなってしまい、少年に跨る。抵抗しようとする手を絡め繋ぎ叩き伏せ、衣服をほどこうとし、払い除けようとした左手の薬指に…咬み跡のエンゲージリングを嵌める。
思えば彼女は普通の女の子らしい感情がある。好きな男子と一緒にいたい、好きな男子に拒絶されたくない、好きな君を護りたい、好きな君が別の女(ヤツフサ)に口つけられたくない…君に口つけていいのはわたしだけなんだから。少女としての愛欲が、化物としての食欲が、最悪の形で合わさり、ついに愛する君を……
 
「なんでもないよ。」少年は今日の一件を彼女に知られないよう呑み込んだ、彼女を傷つけたくないとばかりの優しさで……自分の左手薬指に確かに残る傷から垂れる黒いシミから目を逸らしつつ。

再三言うがこの物語は「ただ彼女が、ごはんを食べるだけの話」だ。そう、それだけの話─。

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