【映画】復讐 運命の訪問者 復讐 消えない傷痕
新文芸坐で現在、「呼応する二つのビート 北野武と黒沢清」という特集上映が行われており、黒沢清監督の復讐2作は以前からどうしても大きい画面で観たかったので、7月6日に行ってきました。
「復讐 運命の訪問者」は、黒沢監督の作品の中でベスト5に入るぐらい好きで、いつか映画館で観たいという念願がかない、最高でした。
簡単に内容を説明しますと、借金取りの兄弟に親を殺された安城(哀川翔)が、大人になって刑事になり、ある事件をきっかけに兄弟と再会。実はその2人とその姉が、クリーニング会社を営む裏で、殺し屋組織を作って、ヤクザなどから仕事を請け負ってることを突き止めます。ところが、逮捕するために色々動いている内に、安城の奥さんが殺されてしまい、怒りに燃える安城が刑事を辞めて復讐に出るという話です。
何といっても、六平直政演じる弟が無茶苦茶不気味なキャラクターで、強烈なインパクトがあります(笑)ちょっとこどおじ感があり、バカっぽいけど、人に対して躊躇なく銃をぶっ放すヤバさもあって、底知れない感じがすごくいいんです(笑)
また、ほかの黒沢作品でもそうですが、眼鏡をかけた哀川翔も、腹の中では何を考えているか分からない感じが最高です。
ワンカットの食卓のシーンや、互いに弾が当たらない安城とこどおじ弟の銃撃戦ほか、印象に残りやすいところ以外のシーンも大好きで、映画館で観ることができて本当に良かったです。
もう一つの「復讐 消えない傷痕」は、一応運命の来訪者の続きみたいですが、奥さんが殺された設定以外はあまりつながりがありません。
この辺は黒沢監督がインタビューで明かしてる通り、予算や時間の関係でVシネは2本ワンセットで撮るらしく、そのため2本目はどうしても脚本を練る時間が限られ、結果として初期設定に近いまま進むためらしいです(うろ覚えなので、インタビューの発言とはちょろっと違うかもしれません)。
奥さんを殺された裏に関わってる者がいて、安城(劇中では、身分を隠すため山本と名乗ってます)が闇資金の流れからそいつらを追っていくという内容ですが、復讐に関するストーリーよりも、山本と関わりを持つヤクザの親分(菅田俊)がものすごく印象的で、何度この作品を観ても最終的にはこのヤクザのことしかあまり覚えていません(笑)
普段は豪快な感じに見せていても、内面の小ささが滲み出るような部分もあり、その象徴的なところが、組の若い衆が本家の親分を助けたことで、本家に取り立てられることになり、組のみんなで細やかにお祝いしようという中、いきなりスコップで撲殺するシーン。みんながお祝いムードの中、やっぱり自分を差し置いて出世するのが、どうしても許せないという思いが爆破したのでしょうが、組のみんなが楽しそうにやってる後ろで、1人スコップを手にいきなり殴り始める場面が強烈です。
どちらも何度観ても飽きない作品なので、できれば2作品ともBlu-rayかHDリマスターのDVDで再発してほしいです。