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【餓狼伝説β版レビュー】スト6と餓狼伝説CotWの違い【徹底比較】

①両作品の歴史と特徴

スト6:
スト6は2023年発売のシリーズ最新作で、35周年記念タイトルです。バイオシリーズでお馴染みのREエンジンによる高品質なグラフィック、初心者向けのモダンコントロール、大規模なシングルプレイモードの導入など、「格闘ゲームの大衆化」と「競技性の追求」を両立させた作品といえます。

餓狼伝説CotW:
餓狼伝説 City of the Wolves (COTW)は2025年に発売された最新作です。1991年から続くSNKの餓狼伝説シリーズの最新作で、26年ぶりとなる完全新作です。綺麗なグラフィックと初心者向けのスマートシステム、REVシステムの導入による多彩な展開が可能となりました。シリーズの原点回帰と進化を両立させた作品といえます。

②基本システムの比較

❶操作性の違い

スト6:
▶︎6ボタン式(弱中強パンチ/キック)
▶︎初心者向けの「モダン操作」を導入。ワンボタンで必殺技やSAが出せて、アシストコンボもある。
▶︎必殺技のコマンドは「波動拳系(↓↘︎→+パンチ)」や「昇竜拳系(→↓↘︎+パンチ)」などお馴染みのコマンドが多い。
▶︎→→入力で前ステップ、後ろステップがある

餓狼伝説CotW:
▶︎4ボタン式(弱強パンチ/キック)
▶︎初心者向けの「スマートシステム」を導入。ワンボタンで必殺技や超必殺技が出せて、スマートコンボもある。モダン操作とほぼ同じ感じ。
▶︎必殺技のコマンドはスト6と同じく「波動拳系(↓↘︎→+パンチ)」や「昇竜拳系(→↓↘︎+パンチ)」などお馴染みのコマンドが多い。
▶︎REVボタンを押しながら前入力でダッシュ、後ろ入力でバックステップになる(→→入力でも可能)
▶︎相手との距離によって通常技の性質が変化するものがある

❷ゲージシステムの仕組みと役割

スト6:
▶︎ドライブゲージ(6ゲージ)が基本リソース
▶︎試合開始時はゲージMAX、時間経過や攻撃をすることで徐々に回復
▶︎使用用途はOD必殺技、パリィ、ラッシュ、インパクトなど様々(説明は省略)
▶︎空になるとバーンアウト状態になり、ドライブゲージを使ったアクションができなくなる。さらに画面端でインパクトをくらうとスタン状態になり一定時間動けなくなる
▶︎最大3本のスーパーアーツゲージは別途存在

餓狼伝説CotW:

▶︎左下にあるのがREVゲージ、REVアーツ使用で25%上昇

▶︎REVゲージ(MAX100%)が基本リソース
▶︎試合開始時は0%、REVアクションをすると徐々に溜まり、時間経過やジャストディフェンス、相手に攻撃を当てることで減少していく(スト6のドライブシステムと同じ感じ)
▶︎REVアーツで必殺技強化(スト6でいうOD必殺技)
▶︎REVアーツをキャンセルして他のREVアーツやREVブロウに繋げるREVアクセルというテクニック(スト6にはないが、OD必殺技をキャンセルして別のOD技やインパクトに繋げるイメージ)がある。これがなかなか爽快
▶︎REVガードは通常ガード時よりも相手と距離が離れる。必殺技ガード時の体力削りも無効化できる(餓狼伝説では必殺技をガードすると体力が削れるのでREVガードは結構大事そう)
▶︎通常ガードや上記のREVアクションを行うことでREVゲージが上昇していき100%になるとOVERHEATとなる(スト6でいうバーンアウト)
▶︎OVERHEAT中は一定時間REVアクションができなくなり、相手の攻撃をガードすると、ガードゲージが減少していき0になるとガードクラッシュし、一定時間動けなくなる(スト6のスタンに近い)
▶︎最大2本のパワーゲージ(超必殺技ゲージ)は別途存在

ドライブゲージとREVシステムの管理方法や使用用途がかなり似ているので理解しやすいと思います。REVアクセルでコンボを伸ばした時の打撃SEや爽快感はスト6にはないものがありました。あとBGMもノリノリで良い感じです。

感想

❸防御システムの特徴(ジャストパリィvsジャストディフェンス)

ジャストパリィ(スト6):
▶︎相手の攻撃タイミングに完璧に合わせてパリィボタンを押すことでジャストパリィの演出が発生する
▶︎成功すると投げやコンボに移行可能(50%の補正あり)
▶︎ガードをしながらジャスパを狙えるので、ジャストディフェンスよりは寛容

ジャストディフェンス(餓狼伝説CotW):

▶︎意外と狙いやすいが、仕込みが大変そう

▶︎相手の攻撃タイミングに完璧に合わせてガード(後ろ)を入力することでジャストディフェンスとなる
▶︎空中でも可能
▶︎成功時に即座の反撃が可能となるが、成功時の演出が短いので仕込み入力が必要
▶︎スト6のジャストパリィより難易度が高い分、成功時はREVゲージの回復、体力回復、反撃が可能など防御成功時の報酬が大きい

両システムとも高度な防御テクニックですが、スト6はより多様な展開を、餓狼伝説はより直接的な攻防の切り替えを重視しているようです。

ジャストパリィは状況確認の時間がたっぷりありますが、ジャストディフェンスはほとんどないので、S.P.G.ゾーンでは常にREVブロウを仕込むのが良さそうです。演出的にはスト6のほうが好きです。

感想

❹超必殺技比較

スト6:
▶︎SA1:SAゲージ1本消費の超必殺技
▶︎SA2:SAゲージ2本消費のより強力な超必殺技
▶︎SA3:SAゲージ3本消費の最強超必殺技(演出中にDゲージが回復)

餓狼伝説CotW:

▶︎S.P.G.ゾーン(体力ゲージ)+PG2本(左下の星マーク)でヒドゥンギアが使える

▶︎超必殺技:パワーゲージ1本消費(基本コマンドは真空波動拳コマンド+弱パンチor弱キック)
▶︎潜在超必殺技:超必殺技の強化版、パワーゲージ2本消費(基本コマンドは真空波動拳コマンド+強パンチor強キック)
▶︎ヒドゥンギア:S.P.G.ゾーンでパワーゲージ2本消費して使用。ヒット時はREVゲージが全回復する(基本コマンドは真空波動拳コマンド+REVボタン)

スト6はSA1〜3までの3つしか超必殺技がありませんが、餓狼伝説では超必殺技2+潜在超必殺技2+ヒドゥンギアで5つもあります。超必殺技でコンボを〆る爽快感は餓狼伝説の方に軍配が上がりそうです。

感想

❺ヒット状況比較

スト6:
▶︎ノーマルヒット:通常のヒット判定
▶︎カウンターヒット:相手の攻撃動作中にヒット、ダメージ増加と有利フレーム増加、ノーマルヒットからは繋がらないコンボルートが発生する
▶︎パニッシュカウンター:相手の技の振り終わりの隙をついたヒット、カウンターよりも高いダメージ増加と有利フレームが増加、特定の技で特殊やられが発生し、大きなコンボチャンスとなる

餓狼伝説CotW:
▶︎ノーマルヒット:通常のヒット判定
▶︎カウンターヒット:スト6と基本は同じ。餓狼伝説の場合、強パンチ+フェイントをから通常技連携が可能となる
▶︎ワイルドパニッシュ:スト6と基本は同じ。足払いのワイルドパニッシュが成功すると、うつ伏せダウンとなり超必殺技等で追撃が可能となる

餓狼伝説はゲームスピードが速いのでヒット確認が難しそうです。上級者帯ではカウンターヒット前提のフェイント>通常技仕込みなど、求められるテクニックが難しそうな印象です。

感想

③餓狼伝説CotW独自のシステム

❶S.P.G.ゾーン

▶︎対戦前にS.P.G.ゾーンを選択(右のテリーが私です)

▶︎対戦前に体力ゲージの「序盤」「中盤」「終盤」からS.P.G.ゾーンを選択できる
▶︎S.P.G.ゾーンではREVゲージを使用したREVブロウ(空中でも出せるインパクト的な反撃、コンビネーションアタックの〆やREVアーツの〆にも組み込める)が使用
▶︎攻撃力アップ、ヒドゥンギアが使用できる

❷ハイパーディフェンス

▶︎タイミングがかなりシビア(漂う上級者テクニック感)

▶︎連続ガードに対する特殊防御法。タイミングよく→または↘︎方向を入力すると、ジャストディフェンス同様の効果のあるハイパーディフェンスが発動する(ストIIIのブロッキングの連続ガード技版というイメージ)
▶︎ジャストディフェンスとハイパーディフェンスからガードキャンセルで出した超必殺技、潜在超必殺技、ヒドゥンギアは発生が早くなる
▶︎相手の基本連携を理解することで成功率が上がるのでやり込みポイントの一つ

❸コンビネーションアタック

▶︎メインシステム欄に記載されていたので全キャラ共通

▶︎攻撃ボタンを決められた順番で押すことでコンボができる(スト6の特殊技に近い)。
▶︎全キャラに実装された基本コンボシステム
▶︎コンボの最終段は方向キーで中段、下段など性能が変化する(アーケードスタイル限定)

❹ブレーキング(アーケードスタイル限定)

▶︎真空投げ(コマ投げ)BRシャインナックル(超必殺技)、コマ投げからこんなのあり!?

▶︎一部の必殺技は、技の動作を中断できるブレーキング対応技(例:強昇竜+投げ)となっている(コンボリストにBRと記載)
▶︎攻撃後の隙を減らしたり、別の必殺技に繋げることができる(例:強昇竜BR>強ハードエッジ、強真空投げBR>シャインナックル《超必殺技》)

❺フェイント(アーケードスタイル限定)

▶︎一部の必殺技は、必殺技をするふりをして相手を牽制するフェイント対応技(例:→+REVボタン+強キック)となっている(コンボリストにFEと記載)
▶︎通常技からフェイントに繋げることで攻撃の隙が減り、別の通常技に繋いだり、有利状況にすることができる

相手のジャンプを誘発して対空したり、通常技をキャンセルするなど、かなりの上級者テクニックという印象です。

感想

❻避け攻撃

▶︎決まったらめっちゃカッコいい!

▶︎避け攻撃は相手の攻撃を避けつつ攻撃できる技で、上段避け(↓+ REVボタン+強パンチ)と下段避け(REVボタン+強パンチ)の二種類がある。
▶︎避け攻撃が成功するとワイルドパニッシュ(パニカンヒット)となりコンボが伸ばせる。
▶︎下段避けは中段技(相手のしゃがみガードを崩せる)となっている。

間合いや相手の癖によって二種類の避けを使い分けると考えたら、これも難しそう…!

感想

❼小ジャンプ・ダッシュジャンプ

▶︎小ジャンプ(REVボタン+ジャンプ)は通常よりも低い軌道でジャンプができる。相手を飛び越さないジャンプなので、相手のしゃがみガードの崩しなどに使う
▶︎ダッシュジャンプ(ダッシュ+ジャンプ)は通常よりもダッシュの慣性がかかり遠くまで飛べる
▶︎これらジャンプの選択肢があることで空中戦の比重が大きくなる

③戦闘スタイルの違い

❶ゲームスピードの違い

スト6:
▶︎全体的にじっくりとした展開
▶︎ジャンプのスピードは抑えめ
▶︎ラウンドの平均時間が長め

餓狼伝説CotW(瞬発力型):
▶︎全体的に高速な展開
▶︎素早い空中戦と地上戦の切り替え
▶︎瞬間的な判断が要求される
▶︎ダッシュやジャンプのスピードが速い

❷立ち回りの特徴

スト6:
▶︎地上戦中心の立ち回り
▶︎確実な択の積み重ねが重要
▶︎画面端への追い込みが重要
▶︎安定性を重視した展開

餓狼伝説CotW:
▶︎空中戦の比重が大きい
▶︎ジャンプ攻撃が重要な選択肢
▶︎前転受身があるので画面端から簡単に抜け出せる
▶︎S.P.G.ゲージなどを活用した爆発力のある攻防

❸コンボシステムの自由度

スト6:
基本:通常技から必殺技へ
コンボ展開:
▶︎キャンセルラッシュ通常技からの展開
▶︎OD必殺技からの展開
▶︎パリィラッシュからのコンボ伸ばし
▶︎スーパーアーツ(SA)への締め

餓狼伝説CotW:
基本:通常技から必殺技へ
コンボ展開:
▶︎コンビネーションアタックやコマンドコンボ
▶︎必殺技ブレーキング(BR)からの展開
▶︎REVアクセルの連携
▶︎通常技+フェイントからの展開
▶︎REVブロウや超必殺技での締め

両作品とも基本は同じですが、スト6はドライブシステム、餓狼伝説はキャンセルシステムを軸にコンボを展開します。​​​​​​​​​​​​​​​​

④まとめ

▶︎リザルト画面はこんな感じ。勝率が分かりやすい!(良くも悪くも)

両作品は異なるアプローチで現代の格闘ゲームの可能性を追求しています。スト6はドライブシステムによるリソース管理と地上戦中心の戦略的な戦いを特徴とし、一方の餓狼伝説CotWはREVシステムを軸とした高速の駆け引きと空中戦を含めた立体的な戦いとなっています。

両作品はそれぞれ現代のゲーム環境(オンライン対戦、eスポーツ対応、初心者から上級者まで考慮した操作体系)に適応するための進化を遂げています。スト6のモダンコントロールや餓狼伝説のスマートスタイルなど、初心者も気軽に参入しやすいシステムを導入しつつ、上級者向けの駆け引きも維持しています。さらに、両作品間でのゲストキャラクターの相互参戦など、メーカーの垣根を越えたコラボを通じて、格闘ゲームというジャンル全体の発展を目指しているようです。

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