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猟期ファイナルで鹿捕獲

延長猟期もあと数日で終了
私にとって今日は猟期ファイナル。

この1カ月でほとんど猟に行かなかった。都合で山に行けない日もあったが気分が乗らなくて行かない日もあった。泣いても笑っても今日でラスト!

でも今回は1人ではなく2人で入山。
いきさつは知人から「猟に興味がある人がいるので一度会っていただけませんか?」とのこと…

「なんで俺に?」と思って詳細を訊ねると東京から農業研修に来ている大学生(以下、若者)で猟師に憧れているとのこと。せっかくの機会なので一度、猟師の方とお話しをしたいという要望だ。

そーいう事か…
猟期もあと僅かだし1人で行くつもりだったが珍しく思慮深く考えてみた(笑)

猟期も残り僅かだが1人で行っても確実に獲物が獲れる保証はない。さらに最近は猟友会という組織に嫌気がさしてるし…まっさらな新しい人との出会いが自分も刺激を受けて楽しいのでは?と直感的に思った。

そうと決まれば話だけなんて勿体ない!百聞は一見にしかずで実際に猟に連れてってやろうじゃないかと快諾。こうして今猟期のラストデイは2人で行く事に決定!

通い慣れた山。名残惜しい

2日酔いで遅刻

猟期ラストデイ。
誰もが万全の体調で臨むはず…
だがしかし前日は昔の職場の方々と5年ぶりの飲み会で夜中までハッスルしてしまった…

家に帰ってきてからの記憶もあやふやという有様で若者との集合時間に遅刻というあるまじき失態を犯してしまった。まさに詫びろ!詫びろ!!詫びろ!!!

なんというか昔の職場の方々と久しぶりの再会と猟師を目指す若者との出会い。この2つのイベントが私の心に新しい旋風を起こすようで嬉しくなり飲み過ぎました。

いざ獲物を求めて


車内でタバコをふかしながら「遅刻したけどそれが良い結果に繋がる事もある…」と苦し紛れの言い訳を若者に押し付けながら予定時間より30分遅れて山に到着(笑)

若者は大学でアメフト部に所属しているらしく体力的な問題は無さそうだ。身長も私より高く180cm。申し分ない体格。

山に登り始めても遅れる事なく私に付いてくる。むしろ2日酔いでフラフラ状態の私の方が煽られているような感すらあった。

尾根上に到着し気が付いたが今日はかなりの強風…
そして先日の雪が凍結してかなり歩き難い。
新雪のようにフカフカな雪ではなく、雪を踏むたびに「ゴリッ」と派手な音が出る。

昨年もこのような条件下で入山し鹿に面白いように逃げられた記憶が蘇った…

「せめて鹿の姿を見るだけでも…」

と妥協案も頭をよぎったが、自分にとっても猟期ラストデイとなるし獲りたい!「ゴーゴー」と大きな音を立てている強風に紛れて鹿を探す作戦にした。

狙いは風裏のエリア


以前撮影した風裏エリア

尾根上の探索は相変わらず激しい強風なので今日の探索候補から真っ先に削除。
風裏になるエリア、かつ陽射しが差す場所…
心当たりがある場所に向かいます。

ここで若者には

  • 俺の前には絶対に出ないこと

  • 勝手に喋らない

  • 俺が歩みを止めたら止まること

  • 無音状態を作る事が重要

以上の最低限の説明して進みます

そして風裏エリアに入ってから数分後に答えは出た…
約50m先の木漏れ日が差し込む杉林に黒いシルエットが2つあるのを見逃さなかった。

紛れもなく鹿だ。
しかもこちらに気付く様子もなく棒立ち状態…
「絶好のチャンス」
私は後方の若者にジェスチャーで鹿の発見を伝え射撃準備に入る。

鹿は聴力は良いが視力は良くないので先手を打てる自信があった。

今猟期の事だが30m位後方で鹿の群れがいきなり現れた事があった。少しでも動いたら鹿に逃げられると思い無理なポジションで射撃をした結果、弾が立木にチップして鹿にまんまと逃げられた。

「確実なポジションで撃たなければダメだ…」

落胆は大きかったがこの時、私はある事に気が付いた。「今日の鹿はなぜ30mという至近距離にいながらなぜ俺の存在に気が付かなかったのか?」
しかも4頭の群れでいたのに…

私は鹿が居たポジションに行き自分が射撃を行った場所を見て答えは直ぐ分かった。

見えないのである。

この時、鹿が居た場所は陽射しが眩しく差し込む日向であり、私が居た場所は立木の生い茂る薄暗い日陰。
鹿は色盲なので色を判別出来ない、つまり暗闇の中で大きな動作や物音を出さない限り多少動いても鹿に即見つかる可能性は低くなる

  • 日陰に自分→日向に鹿(有利)

  • 日向に自分→日陰に鹿(不利)

ザックリだがこんな感覚だろうか。


渾身の射撃

この時の教訓が脳裏に蘇り、私は躊躇う事なく手前の立木に移動し銃を委託してスコープを覗いた。
思った通り鹿は全くこちらに気が付いていないようでのんびりしている。

「やはりこっちは見えてないな…」と薬室に弾丸を静かに送り込みボルトを閉鎖して照準をつけた。
ボルトを閉鎖した時の僅かな音で鹿はこちらを見たがもう遅い。先手は取った!

ネックに狙いを付けて引き金を絞ると「ダーン」と銃声が山に轟いた。
鹿は直ぐ逃げたので「外した?」と思ったが現場を確認すると血痕を確認。

血痕跡を追跡

「当たってる!いけるぞ」と若者と共に血痕を追跡!若者も初めて体験する猟の現場で臆するどころか興奮している。人間本来の狩猟本能とでも言おうか。

血の跡はどんどん多くなってきており100mほど追跡した頃には「もうそろそろ倒れてるはず…」と思ったがまだ血痕は続く。
さらに100m程追跡すると斜面が見えてきた…
これ以上逃げられると宿泊施設等が視界に入ってくるし発砲が困難になってしまう。
「そろそろ止まってくれ」と願いつつ斜面上に出た。

おびただしい出血

ついに鹿捕獲

斜面上に出ると雪の表面が削れている箇所があった…直ぐにピンときた。立ち上がる事も出来なくなった鹿が滑り落ちていった跡なのである。

私は若者に「この近くにいる!探そう」と2人で探すと直ぐに木にもたれかかって絶命寸前の鹿を発見した。

逞しさ、生への執念、見事でした。

デカい!なんと見事なオス鹿なんだ…私のキャリアの中で間違いなく最大の大きさ。私達が近づいた直後に鹿は絶命。着弾場所を確認すると首のど真ん中に命中している。このような状態でよく200mも走ってきたもんだ…鹿に敬意を払い2人で合掌。

捕獲成功を分かち合うように若者とガッチリ握手を交わす。「凄い世界を体験してアドレナリン出まくりです!!」若者は興奮しながら話す。
見知らぬ土地の見知らぬ山に連れてこられ、人生初の衝撃的な場面の連続に泣き言一つ言わず付いてきた。なかなか骨のある奴だ(笑)

私自身、今日の結果には少し出来すぎ?と思ったけどこれから猟をやろうとしている若者に単独猟のありのままの姿を見せる事が出来たと思う。
今日の事が若者の刺激になり今後の人生の糧になるなら言う事はない。ちなみにこの若者は巻狩り志望だそうだ(笑)それはそれで良い。

大きくて見事な角

今猟期を終えて

昨年に比べ出猟回数は半分程度だった。会社も変わったし家庭事情も変化したので当然なのだが…そもそもサラリーマンなんて週末にしか出猟出来ないから週2回行ける人は充分だろう。

出猟回数半減、獲物の目撃数は激減だったけど捕獲数は増えた。つまり勝負強くなったという事です。前回と今回の鹿には全く気付かれず忍び寄って1発で仕留めてます。立木に銃を委託する方法を覚えてから立射でも狙った部分に当たるようになりました。まぁ少しくらい成長しないとやってらんねーすね(笑)

さて、これからの有害期間はどうするのか?久々に罠もやろうと思ってますのでまた次回の投稿ですね。

#鹿
#狩猟
#単独猟

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