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方向性が真逆の2曲を無色透名祭に出したらこうなった ~ 無色透名祭 個人的振り返り雑記

(noteでは)はじめまして。
この記事では、先日ボカロPとして参加した匿名ボカロ投稿祭「無色透名祭」を振り返って色々述べていきます。
特に、今回はタイトルの通り、結果として「方向性が真逆の2曲」を投稿することになり、かつ結果も真逆と言って良いほど大きく違ったので、そういった視点からの感想も書き残しておきます。
ニコ生で行った振り返り配信の内容とほぼ同一になると思いますが、一部時系列に齟齬があったので修正しています)

前史

一応、前提として私が普段どういった曲を上げていたか、ひいてはどういった活動をしていたかについて軽く触れておきます。
2020年夏からニコニコでゆっくり解説動画投稿者(現在はA.I.VOICEに交代)として本格的に活動を始め、同年秋ごろからはニコ生での放送も週一回程度行っています。

その傍らで徐々に、子供の頃ピアノを、大学で合唱をやっていた経験から、ボカロ曲(広義)を見よう見まねで作るようになりました。
最初期は、内輪ネタとして作った「あゆむちゃんかわいい高校 校歌」「はゆ茶かわいい高校 校歌」や、タイトル通りの「エアコンつけると寒いし消すと暑くなるの歌」などを、使い慣れている記譜ソフト「MuseScore」と相性の良いNEUTRINOを使って作っていました。

上記のタイトルを見てもらえば分かる通り、基本的にはネタ曲ばかり書いています。ネタ曲投稿祭2021秋にも3曲のネタ曲を出し、中でも「素人質問で恐縮ですが」はリスナー投票45位という身に余る評価をいただきました。

ちなみに、P名「私物化P」はひょんなことからニコニコ運営代表栗田穣崇氏より直々に拝命したものです(経緯はこの動画参照)。

投稿前に考えていたこと

私が無色透名祭に投稿した曲は、いつも通りのネタ曲「くりたしげたか」と、全く新しい曲調で書いた「遺構」の2曲でした。

そもそも、無色透名祭が開催されると聞いて、参加しようと決めたときに思ったのは「せっかく匿名のお祭りだから、いつも書いているネタ曲とは真逆の方向性の曲を作ろう」でした。
つまり、先に作曲したのは「遺構」のほうです。
製作期間としては5月頭~6月末の2ヶ月ほど。

一方で、無色透名祭は「1人2曲まで」投稿可能と聞いていたので、投稿期間までに何か良さげなネタ曲を思いついたら投稿するつもりではいました。
こうしてできたのが「くりたしげたか」。
6月末に思いついて2~3日くらいで勢いのまま書いたと思います。

各曲への当初の思い①:遺構

前述の通りネタ曲的なイメージと真逆を行くために、短調で退廃的な雰囲気のある曲を目指して作成しました。
あとは「こういう民族調の曲書いてみたかった」というのもあります。
いつも曲を作る際は、最初に(プロジェクトのファイル名にするため)仮の題名を決めるのですが、この曲は「ruins」(遺跡)と呼んでいました。
この時から方向性は変わっていませんね。

あと、恐らく曲の世界観には、当時遊んでいたゲーム「ダンガンロンパ」シリーズが強く影響しています。
ネタバレとなるので詳細は差し控えますが、勢いで1からv3まで通して遊んでしまったくらいには面白く忘れがたいゲーム体験でした。

先ほども書いた通り、製作期間は5月頭~6月末くらいですが、実はAメロは5月7日の時点で既に出来ていて、全体の大枠も5月9日の時点でほぼ固まっていました。
では残りの1ヶ月半くらいは何をしていたのでしょうか?

……詞が全然思いつかなかったんです。
移動時間の電車内などでずっと仮の歌詞で歌を入れた曲を聴き続けて、ようやく歌詞ができたのが6月末でした。
そもそもいつもネタ曲を投稿しているのは、曲は思いついてもそれに載せる(マトモな)歌詞が思いつかないから、なのです。
マトモな歌詞に堪えうるほど自分の作曲技術が高いとは思っていないので普通の曲を作ろうとしていなかった、という面もありますが。

この曲のボーカルには比較的新しいソフトであるVoiSona(製作開始当時は「CeVIO Pro(仮)」)の「知声」を起用しました。
VSTiプラグインとしてDAWに組み込めるので、シームレスにオケとボーカルを行き来しながら曲を作れるというのがVoiSonaの魅力です。
また、知声は無料で使えるという太っ腹仕様です。
9月1日の製品版リリース後もソングエディタと知声は無料配布というのだから驚きですね(「さとうささら」など追加ボイスライブラリは有料)。

このような手軽さに惹かれて、最初は試しに仮歌用として知声を使おうと思っていたのですが、曲の雰囲気と知声の歌声の力強さ・雑草魂的なものがとてもよくマッチしたので、そのまま正式採用ということになりました。
結果的に、今まで経験のないボーカルになったので、さらに「透名度」が高くなりました。

各曲への当初の思い②:くりたしげたか

こちらは反対に、「せっかくもう一曲出すなら、あえてバレバレの曲を」と思って作りました。
これまでにも合唱風の曲は、「#栗田よ見て」「#週ニコ讃歌」「混声合唱のためのポプテピピックメドレー」などいくつも出していますし、前述の校歌シリーズもこれに近いところがあります。
そもそも私自身の音楽経験の大部分は(クラシックな)ピアノや合唱で出来ているので、こういった曲のほうが馴染み深く思いつきやすいんですよね。

また、「栗田さんをイジろう」という魂胆からも(少なくとも私を知っている人には)バレバレだと思っていました。
というのも、私は何故かニコニコ運営代表である栗田さんで遊ぶ動画を時々出すことがあり、本人にも認知されています。
何なら、栗田さん出演の公式番組「週刊ニコニコインフォ」を素材として音MADを作り、それが巡り巡って同番組内で紹介されたこともあります。
(一応、こうなった経緯と理由らしきものはありますが、それはまたの機会に)

しかも、「#栗田よ見て」に至っては「栗田さんをイジって曲を書こう」という魂胆も、合唱風の曲調も、歌詞はタイトルのワード一本でゴリ押すという点も一緒なので、まあバレバレだろうと思っていました。
(一応、歌詞を「くりたしげたか」のアナグラムにするか、とか考えはしましたが、結局一本ゴリ押し路線になりました)

ボーカル選定にあたっても、バレバレにすることを意識して、前述の通り長らく使っているNEUTRINOを起用しました。
あと、リリースされたばかりのNEUTRINO琴葉姉妹を使ってみたかった、というのもあります。
ちなみに、NEUTRINO琴葉姉妹はA.I.VOICE琴葉姉妹の購入特典なので、A.I.VOICE所持者にしか使えないはず、ということはA.I.VOICE琴葉姉妹の動画を上げている人の可能性が高い、……というところからも結果的にバレバレになりました。

パート分けについては、上記の経緯から琴葉姉妹をメイン(とハモ)に据えるというのは決めていました。
これに加えてベース音と、曲が単調にならないための掛け合いを入れるにあたって、掛け合いはやんちゃみのあるきりたんに任せようと思い、それならと東北つながりで、低い音も安定して出せるイメージのあるずん子さんにベースを任せました。

最後まで迷ったのはタイトルですが、これも結局ド直球にしました。
「無伴奏女声合唱のためのくりたしげたか」にする案もあったのですが、「まあ、直球のほうがインパクトあるし……」と勢いでフォームに投げました。
無色透名祭のレギュレーションには一切違反していない(ハズ)のですが、フォームに投げたときから投稿されるまで、何かの理由でハネられるのではと正直ちょっと心配してました。

開催期間中の総括

なにぶん「匿名で曲を出す」というのが初めての体験ですから、いつも以上にニコニコのコメントやTwitterのエゴサに張り付いて新しい反響がないか逐一確認していました。
まさか私が「くりたしげたか -from:sigekun」でエゴサする日が来るとは思いませんでしたね。思わぬ副産物です。

また、いつもであれば、曲が完成してから動画を作って投稿するまでに1日もかからないことがほとんどなので、そもそも「完成してしばらくして作曲時の熱が冷めてから公表される」ということ自体が新鮮でした。

あと、期間中は(匿名性のため)反響に対していいねを押したりできないというのが大変にもどかしかったです。
コメントのニコるは匿名ですが、一応「自分の動画でニコりまくる」という私の特徴を出さないためにこちらも控えていました。
(期間終了後にめちゃくちゃいいね・ニコりに行きました)

全体の印象として、「くりたしげたか」は本当に予想以上の伸びでした。
(最終日18:30頃: 13,497再生, 636コメ, 1,186いいね, 350マイリス)
「音楽・サウンド」ジャンル24時間ランキングでは最高13位でした。
前述の「素人質問で恐縮ですが」(ネタ曲投稿祭2021秋)は最高16位でしたが、当時の再生数は3000前後だったと記憶しているので、ここからも無色透名祭全体の再生数が非常に高い水準だったことが窺えます。
コメント・Twitterでも好意的な印象を多くいただけて、有り難い限りです。

一方、これに比べると「遺構」のほうは予想通りというか、無難な伸びに落ち着いた感があります。
(最終日18:30頃: 404再生, 12コメ, 33いいね, 12マイリス)
とはいえ、全体平均程度には伸びたと言えるし、コメント・Twitterでの反応や、いいね率も上々であったと思っています。
特に、反響が少ないだけに何か言ってもらえたときの喜びは一入でした。
初心に返って、コメントのありがたみを改めて思い出す、良い機会をもらえたと思っています。

他でも散々言われていることですが、今回は本当に再生数の「底が厚い」、不思議なお祭りでした。
再生数の少ない順に見ていくと、同一の再生数の曲が何ページにもわたって並んでいる、というのはなかなか見られるものではないと思います。

頂いた反響について①:遺構

繰り返しになりますが、こちらは反響が少ないだけに、特に一つ一つ噛みしめて読ませてもらいました。
なぜか中国語のコメントがあったのは興味深いポイントですね。

「ジブリで流れてそう、すき」「歌声がまっすぐ聴こえてきていい」
「かなりいい曲だと思います」「めっちゃいいやん…」
「いいワルツ」「キレイ」「GJ」「8888」「好喜欢这首…」

ニコニコでのコメントより

Twitterでも多くの反響をいただきました。
というより、Twitterのほうが長文で熱量のあるコメントを書いてくださる方が多かった印象です。
「涙が出る」とまで言ってもらえていて、こちらこそ一つ反響が来るたびに涙しそうだったくらいです。
あとこちらにもなぜか中国語のコメントが。bilibili動画とニコニコのことを何か言っているように見えるのですが……

「この #知声song 涙出るよ、ハンカチ準備して聴いてほしい!」
「RPGやん。知声ちゃんの声って雰囲気出ていいなぁ。旅する情景が浮かぶ感じ」
「この曲、かなり好きです。はじめからおわりまでメロディーが良いと思います。」
「3拍子の民族調いいぞ……いいぞ……。知声なのもいい。」
「静かな、でもある種決然とした道行きが伝わってきて聴き応えがある…ラスサビがとてもきれい…」
「我可终于寻着您嘞😇😇🙏🙏b站上那么好找,在nico就划来划去,最后还是搜知声翻了几页找到的,离谱」

Twitterでの反応より

また、ネタ曲投稿祭2021秋で「あなたに会いたくて あと、CMが多すぎて」という曲を出していて「ガチ曲調とネタ曲調が織り交ぜられてる上にどっちもしっかり書かれてて天才だなぁ……」と思っていたでんの子Pさんに、「好きな曲調」と言っていただけたのが本当に光栄でした。

頂いた反響について②:くりたしげたか

こちらは本当に多くのコメント・反響をいただきました。
ここでは特に印象に残ったものだけ。

「匿名の暴力」「匿名だからってさぁ…」「名前出せよ(迫真)」

出しましたが……(そもそも匿名でなくてもこういうことやる人です)

「和音気持ちよすぎだろ!」「ハーモニーきれい」「ハモリが綺麗なのずるいww」「ふざけ倒してるけど和音がちゃんと実力者なんよ」
「上手いから腹立つw」「メロとハマりすぎて好きww」「メロディーめっちゃ好きwww」「メロディーめちゃいいの腹立つwwwww」「いい感じのアカペラっぽくて腹立つ」「無駄に美しいのしんどいwwwwwwww」
「調教上手くてワロタ」「無駄に調教の精度が高い…」

こういう、純粋に曲として褒めてもらえているコメントが多かったのは意外で嬉しかったです(腹が立っている人が沢山いるのも面白ポイント)。
ただ、実は調声はそんなに頑張っていないので、NEUTRINOがすごいんだと思います。
(いつもは使わないパラメータを使って高音が苦しそうな声にならないように調整はしましたが)

「たべるんごアレンジ思い出した」

カノンごのうた」と比べている方もいましたね。たしかに形式としては近いです(ちなみに、実は「カノンご」より前にたべるんご×NEUTRINOで動画出してたりします)。

「くりたしげたかでこんなに笑う日が来るとは」「このおかげで笑顔になりました」
「感動した」「やべえ涙止まんねえ」「泣けるなこれ…」「人生観変わる」

「笑った」より「泣いた」「感動した」のほうが多いのが面白ポイント。
Twitterとかでも「元気出た」みたいな反応が結構あったのは嬉しかったですね。

「くりかえしげたか」「くりたしげたかだけだったか」「くびかしげたか」「くさが はえたが」
「歌詞に共感した」→「ひとりしか共感できねえだろ」→「栗田はこれに共感できるのか……」

他にも天才的なコメントが多かったです。
コメントなしではあそこまで面白い動画にはならなかったと思います。

「全国のくりたしげたかさんの顔写真と共に聴きたい」「全国のくりたしげたか大歓喜」

全国のくりたしげたかさん、2人以上いたら私は謝らないといけないかもしれない。

「これ作者くりしげ?」「作詞作曲:くりたしげたか」「栗田も参加したかったのか」「もう、くりたしげたかが作ったってことで」

それでも良いかなと思っている自分がいる。

「作詞:くりたしげたかの両親」

真理。

「作業用BGMで流してる」「頭の中で無限ループして寝られなかったwww」「巡回中たびたび来てしまう」

何を隠そう、私もいまだに結構聴いてます。
というか私がネタ曲を作るときは、だいたいまず頭の中でメロディを思いついて、数日しても頭の中にこびりついていたらそれが世に出てくる形なので、結果的に頭に残る曲が世に出やすいんですよね。

「今夜はくりたしげたかにしよう」

いや確かに、広告とかで食べ物を刷り込まれて「今夜は〇〇にしよう」みたいなやつあるけど。しげたか食うんか?

「手口がはゆ茶のそれ」「はゆ茶このやろう」「はゆ茶だろお前」「はゆ茶にしては安直だな」
「どんなやつかは分かるのだが誰かまでは絞り込めん…くっ…」「くっそ、誰なんだ!誰なんだよ!」
「1番わかりやすいwww」「なんかこういう作風の人知ってるぞ…」「絶対いると思った」「もうわかるの草」「すごくこの曲調聴いたことある…」
「週ニコの私物化Pかこれ?」

まあ間違えられるならはゆ茶だろうなと思ってました。
それにしても、思ったより当てられていないのは、それだけ広い層に聴いてもらえたということだと思っています。
そもそも「くりたしげたかって誰?」みたいな反響もTwitterとかでちらほら見かけましたし。


その他、Twitterでも多くの反響をいただきました。
こちらも一部をご紹介します。

なんといっても、ファンアートがもらえたのが嬉しかったです。2年間の活動で初めてです。ありがとうございました。

あの「じゃがいもHOTEL」のキテさんに曲の面を褒められたの、ほんとに嬉しいです。

お前が言うな感満載(ネタ曲投稿祭主宰)ですが、このツイートのお陰で波に乗せてもらった感じがあります。

はゆ茶、正解。

ご本人も当然のように的中されていました(24:20頃~)。

ヒエッ

おわりに

今回は結果として、「めちゃくちゃ伸びたネタ曲」と「ひっそりと評価されたガチ曲」両方の投稿者として、終始二面性のある不思議な感覚で無色透名祭を楽しむことができました。

お聴きくださった皆様、コメント等反響をくださった皆様、
そして何より運営チームの皆様、ありがとうございました!!
また、note読者の方も、ここまで長々と読んでくださりありがとうございました。


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