営業は知性と技術の世界へ。疲弊とサヨナラするためのスマートな営業スタイルのはじめ方。
私は10年前、いわゆるゴリゴリのセールススタイルを行っていました。
基本的に新規営業はアウトバウンド中心。
1時間に架ける電話の数は40コール数。それを9時間(汗)サイクルを廻すので
1日360コールを行っていました。
そんなリストの数を担保するのは難しく、チームの仲間とはリストの奪い合い。とある企業に電話を架けた時に「あなたでセレブリックスさんは9人目です」と怒られたこともありました。
しかしそんなゴリゴリ営業を行っていると様々な問題が発生します。
・ リストが足りないため、毎晩、異常な時間までリストをつくる
・ 営業の仕方や受注の仕方も強引になり、結果として長続きしない
・ 営業パーソンは疲弊して退職者が増える
もしかしたら、こんな経験がある企業も多いのではないでしょうか?
また、こんなスタイルを"営業のプロ"を名乗る私たちがやってしまうと、営業職のイメージはどんどん悪くなり、「気合と根性があれば誰でもできる」という仕事から脱却できません。
わたし達自身が変わる必要があったのです・・・。
あれから10年。
わたしのチームが取り組んでいる営業スタイルは、創造性と技術を駆使した非常にインテリジェンス(知性的)な取り組みになったと自負しています。
このスマートセールスを実現している方法のひとつが、Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)”です。
Account Based Marketingとは何か?
アカウントベースドマーケティングとは、『特定のターゲット顧客(企業)を選び、その顧客からの売上を最大化することを目的とした営業・マーケティング活動』である。
私たちセレブリックスでは、アカウントベースドマーケティングをこのように定義しております。
※詳細は弊社のコラムをご覧ください
難しいのをなしにすれば、数うちゃ当たるの発想を辞めて、付き合いたい企業を狙い撃ち!!しようという取り組みです。
ABMを始めるために必要なもの
ABMを行う上で重要となるのが「ホワイトリスト」と呼ばれるターゲットリスト(データベース)です。ホワイトリストなくしてABMは“絶対に成功しない”と考えてください。
ではホワイトリストの作り方について考えていきましょう。
このホワイトリストを作る上で大切になるのが、「リストに入れる企業、入れない企業の判断軸を誰が作るか」という点にあります。
この判断軸の設定方法は2つです。
・ システム(専用サービス)に任せるか
・ 人がやるか
これだけです。
前者のシステムを活用するという点であれば、有名なサービスがFORCASです。
受注企業のEXCELデータを取り込むだけで、FORCASの持つ企業データと照合し、独自のアルゴリズムやロジックで、優先的に営業した方が良い企業をピックアップしてくれるのです。
こうしたサービスが利用できるのであれば、とても効率的で人に依存されないリストが作れるのでGoodです。
でも、うち、買えないし。。。
そこのあなた。ご安心ください。
もう、FORCAS使ってますし。。。
そこのあなた。リストだけでABMは完結しませんよ??
そうです、今日はABMのホワイトリストの作り方から、アプローチの方法まで"ちゃんと"解説したいと思っています。
ホワイトリストの精度の高め方
さて、ホワイトリストを作る上で先ずやるべきことはABMの「A」。
すなわちアカウントを定めることにあります。
要は、狙う企業をどこにする?という話です。
ABMの場合は、企業データベース会社から闇雲にリストを購入すれば良いわけではありません。
「選定基準」を設けてホワイトリストを作っていく必要があります。
その基準が下図になります。
図のように、「受注後・導入後も顧客に価値や満足を提供できる」ことが前提になる企業をリストアップする基準を持ちます。
それに加えて、さらに詳細に選定基準をわけると
①勝利しやすいリスト群 ②ブランド作りリスト群 ③効率重視リスト群
となります。
①勝利しやすいリスト群
先ずリストに入れる基準は、勝てるリスト群を意識します。
・提案をすると競合に勝利できるリストか?
・すぐに退会、解約されないリストか?リピートされるか?
このような対象です。
この場合、既に受注している企業やリピートしている企業の属性を調査して、横展開できる切り口をリストの選定基準にしていきます。
例えば、属性でいえば
企業規模/業種大分類/業種中小分類/営業品目/商圏/本社所在地/拠点数/売上/上場区分/人数/レガシーorベンチャー/設立年数・・・
このようなものが挙げられます。
一方で、ニーズやタイミングの切り口で言えば
業績良好or不良/人数増員or減少/売上拡大ニーズorコスト削減ニーズ/市場拡大or市場縮小/規制緩和or規制強化/事業が追い風or向かい風/テクノロジー対応/エンゲージメント/ブランディング/トレンド・・・
代表てきなもので言えばこのような選定基準を設けられる筈です。
②ブランド作りリスト群
ブランド作りリスト群とは「獲得出来たらその後の営業が有利になる」企業群のことです。
有名な企業や業界のトップ企業など、この企業をオトすことが出来たら、同業界や同ニーズの顧客群を芋づる式で受注できるような影響力を持ったリストです。
こうした企業は、省労力で効果を最大化する<スマートな>営業のために絶対に押さえておきたいリストだと言えます。
③効率重視リスト群
最後の選定基準が「効率」です。
当然、新規で縁もゆかりもない企業に営業するよりも、接点のある企業に営業した方が労力をかけずに成果を出せる可能性があります。
対象リードの一例は下記となります。
過去取引顧客(休眠顧客)/過去のWEBリード(問合せor資料DL)/過去名刺交換リード(商談した企業/展示会やセミナーなどのイベント)
こうした、データは効率的にリストアップできますし、濃淡はあるものの一度は自社に興味やゆかりを持った企業なので、商談の決着は早い可能性があります。
ただし、③の効率を判断基準としたリストや、それ以外でも言えることは、営業活動を繰り返す中で、失注したり商談が進まなくなったときに、しっかりとその理由と向き合い、ホワイトリストから除外する選定基準もブラッシュアップをすることが重要です。
このように、正しいターゲットにリーチできるようにリストを精査していくことを、リストの精度を高めると呼んでいます。
ホワイトリストの絶対数
下記は本当に参考程度ですが、セレブリックスが営業代行でターゲットに営業する場合のホワイトリストの企業群を記載しています。
弊社の場合、1人のBDR(アウトバウンド営業専任者)がABMの活動を行っているため、リストは300~500になるようにメンテナンスをしています。
この数は企業によっても異なると思いますが、多すぎるとメンテナンスできなくなり、少なすぎるとやることがなくなります。
ABMの秘伝のタレ。具体性と鮮度
ABMを成功させる重要要因のひとつがリストの「具体性と鮮度」です。
作成したホワイトリストに、具体的なペルソナ情報(=具体性)を加えることで、接触率やアポイント獲得率を高めます。
鮮度というのは、旨味のある旬な情報のことです。
この2つを効果的にリストに付与することができるのが、snsです。
例えば用意したホワイトリストに、Eightという名刺管理アプリを活用し、役職情報や横展開したい部門名を入れていくこともできます。
また、Twitter等で実名アカウントをフォローして、その企業やプロダクトの情報や困りごとを仕入れるのも一つの手です。
こうして、リストの味付けを行っていき具体性と鮮度を保っていくのです。
アプローチの訴求力を高めるタイミングの捉え方
リストができたら具体的なアプローチの説明に入ります。
ABMのアプローチで大切なことは、「リストを絞り込む代わりに、ターゲット攻略にベストな機会を絶対に見逃さない」ということです。
では、ベストなタイミングとはどのように仕入れるのでしょうか?
一つは、直接的なコミュニケーションです。
営業パーソンが商談した時の対話内容、以前の電話で聞いた内容など、直接顧客とやり取りした、再アプローチの時期があるのであればそれに従います。
それ以外ですと、企業の変化をウォッチ&キャッチする仕組みを整えることです。代表的な取り組みが下図となります。
例えばGoogleアラートやSansanでニュース配信時にアラートが来る仕組みを整えられれば簡単です。
また、特定のリリースサイトにチェックに行ったり、ブランドになるリスト群の企業については、対象のWEBサイトを見に行ってしまうのが良いでしょう。
こうしたリストの下地作りがあってABMは成功に近づきます。
まとめ
ご覧の通り、ABMのアプローチは闇雲にアプローチする旧態依然の営業活動と異なり、非常にスマートで洗練された営業スタイルと言えます。
・・・と同時に、とても知性やテクニックが求められるポジションであり、仕入れた情報をもとに、高度な仮説を立て、企業を攻略するというクリエイティブさも求められます。
しかし、仕組みとオペレーションと攻略方法が整えば、ライバルよりも早く真のターゲットに出逢え、有利な条件で商談を進めることが出来るでしょう。リードが多様化し、競合が増えた現在だからこそ、求められる取り組みなのかもしれません。
是非、ABMをはじめる際は、
ホワイトリストの、精度/絶対数/具体性/鮮度
を意識して取り組んでい頂ければと思います。