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沖縄、栄町市場の餃子とビール・一番餃子屋

沖縄は餃子がおいしい。
ゆいレール安里駅から15分ほど歩くと栄町市場にたどり着く。
戦前に県立女学校(ひめゆり学徒隊)があった場所で栄えるようにとの思いを込めて栄町市場と命名されたそうだ。

栄町市場で食べる餃子は世界一うまい。

嘘ではない。
誇大広告でもない。
誇張でも何でもない。
本当においしい。

沖縄と餃子とは、また変わった組み合わせだなと思ったが、栄町市場で堪能する餃子とビールのおいしさは語彙が少なくなるくらい脳を占領し麻痺させる。
餃子に酔う、この言葉がよく似合う。

栄町市場の入り口近くに「一番餃子店」という店がある。店内と店先にテーブルがあって、大抵の場合は外のテーブルに陣取る。秋が深まる時期に亜熱帯地域の沖縄は夜も暖かい。
乾いた風が肌に気持ちの良い夜を運んでくる。

注文は餃子と瓶ビールだけだ。隣のテーブルの客が注文した黄金色のチャーハンも非常に気になるが、餃子とビールで満腹にしたくてここに来たのではないか、グっとこらえる選択が大正解だと知っているだろうと自分を諭す。

ほどなく運ばれてきたこんがり、ふっくらと丸みを帯びた餃子の行列は美しく、屋外ならではの解放感に餃子から立つ湯気は街灯の光に敏感に反応してキラキラ舞う。
適度に厚い餃子の皮を噛み締めると「スーッ」っと鼻から平和な空気入ってくる。旨味の詰まった肉汁が、そのあとを楽しそうに追いかけてくるので「ほっー」と平和を逃すまいと口をすぼめて一人占めするのだ。
食べなれた定番の餃子ではないが、これこそ餃子だと思わせる味わいは他にはない。

ビールでゴクリと喉を鳴らし空を仰ぐ。
ネオンで星は隠れているが、沖縄の夜に雑踏を聞きながら、星が見えない空を眺めるのも旅の楽しさだと発見した。
まだまだ沖縄の餃子とビールの夜は終わらない。
次の店が待っている。

つづく