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[読書記録] 官僚たちの夏
1975年に新潮社から刊行された城山三郎原作の「官僚たちの夏」は、敗戦後の昭和30年代の通産官僚と産業界の奮闘を描いた感動作。 敗戦国の日本を、世界と肩を並べる豊かな国にしたいという使命感に燃える、熱き通産官僚たちの活躍を描いた物語。
[2010-06-01]
視聴率はあまりよくなかったようですが、政治や経済についてあまり詳しくない私はけっこう楽しめました。
物語全体が「夏」から「冬」という感じですが、その「夏」にあたる、国内産業派と自由貿易(国際)派の戦いが好きでした。キャラの作り方も一見、国内派が正義で国際派で悪というようにとれなくもないですが、どちらか一方だけが正しいのではないという作り方に好感が持てます。途中で寝返った牧と、業界に対して素人でありながら存在感を見せ付けるために省内をかきまわす古畑の存在だけはどうしても好きになれませんけどね。世間一般の人が思い描く典型的な官僚と政治家の姿とも見て取れますが、それはごく少数派であるということを示しているのでしょうか。
全体的に美化しすぎなところももちろんあるとは思いますが、白か黒で評価するのではなく、日本という国をここまでのものにした功績について評価をするという事と、それによって生み出された弊害を反省し道を正していくという事が必要だというメッセージがこめられているように感じました。今はそれが正しく行われていないような気がする、というか特に日本人は過去を客観的に振り返るのが苦手ですよね。
それにしても省内人事が頻繁に行われていく様は本当にすごいですね。そしてトップになって数年で退官&天下り。色々な局を担当して広い視野を持つ優秀な人材を次は民間で生かしたり、それまでやってきたように、同じところに留まらず次々に活躍していく場所を変えていくことは否定しませんし、それによってその会社が大きな利益を得るのであれば多額の報酬を得るのも納得はできます。本当に優秀な人材であるならば、ですけどね。
本来ならば、コネだって立派な能力のひとつであるべきなんですけどね。平等であるべきところを間違えなければ。その間違いを正すために優秀な人材を生かせないのであれば、それはそれで仕方がないことかなとも思います。
いつか原作を読んでみたいです。