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タクシー乗務日記~1年を振り返って印象に残ったお客様~
ご乗車ありがとうございます。
日本交通(株)の川口 莉奈です。
新卒で日本交通(株)へ入社し、タクシー乗務員として様々なお客様をお乗せする日々を日記にしてみました。
この記事では、タクシーという仕事の面白さや奥深さ、そして私の仕事の基盤になったお客様の言葉などをご紹介します。
キッカケ
noteを書こうと思ったキッカケがある。先日先輩から「現場に異動してきて1年経つね。振り返りも兼ねて少し話そうよ。」とLINEが届いた。
このLINEで「もう1年が経ったの?!」なんて時の速さを感じつつ、なんとなく区切りもいいし整理するために書いてみようかなと。
気になったら読んでみてほしい。
私はあの「桜にN」のタクシー会社で働いている。
新卒で入社して、今年で4年目。
2種免許の要件を満たすまでの2年間は新卒採用担当として働いていた。新卒採用担当の(※)リンクを貼っておくので、気になったら見てみてほしい。
(※)新卒採用担当時代の関連投稿
・日本交通(株) YouTube公式チャンネル
【一問一答】新卒2年目 川口さんの仕事のやりがいとは?
https://youtu.be/K8RFjTCbRlA?si=LPM-A_czK8fDCTUS
・日本交通(株) Instagram公式アカウント
「YOUは何しにタクシー会社へ?」社員ファイルNo.11:川口 莉奈
https://www.instagram.com/p/CY_QiUVLSxV/?utm_source=ig_web_copy_link
タクシー乗務員というお仕事の魅力
2022年6月、私はタクシー乗務員となった。
最初は右も左も分からず、何もできない私には元気しかない!と思い、接客だけは元気に頑張っていた。実際、今もそうである。
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お客様をお乗せしていく中でよくいただくご質問。それは「どうして若いのにタクシー運転手になったの?」というもの。
その質問に、私はお客様の年齢や雰囲気を見て都度言葉を変えて話す。
「隣に上司がいないってとても気楽です」や「タクシー代をお支払いするので密着させてくださいという、某番組を私がまさに体験してるみたいだからです。」など。
前者は冗談だとしても、後者はわりと本当。日々いろんなお客様と出会う中で、車内で繰り広げられる人間模様が本当に面白い。
こういう言い方はどうかと思うけれど、お金をもらって人の人生を覗くことのできる仕事、といえようか。最高に人間臭い仕事である。
この仕事を通じて、仕事への向き合い方や人としての在り方等をたくさんお客様から教えてもらった。なんなら、話の流れで人生相談をお客様にしたことだってある。
だから私も「今日乗ったタクシー、なんだかすごく心地よかったな。」とか「楽しかった!」とか、そう思ってくれたらいいなと、そうであってほしいなと考えながらお客様と向き合っている。今までお乗せしたお客様と会話した中で、私の仕事の基盤になった言葉を紹介していく。
お客様からいただいた言葉
①タクシーに乗ることは誰かにとって勝負前なんだ。
五反田からコリドー街にお送りしたお客様のお話。
「五反田から汐留まで高速、御門通りからコリドーね。」
ご指定のルートで走っていると、お客様から
「タクシーの仕事はどれくらい?」と話しかけていただいた。
「まだ1年も経っていないです」と伝えると
「タクシーに乗ってる時間ってさ、営業マンにとってはすごい重要な時間なんだよ。俺はタクシーに乗って営業先に向かうことが多いんだけどさ、タクシーの乗務員によって本当にモチベーションって変わるんだよね。タクシーに乗ってるこの時間は誰かにとっての勝負前なんだよ。」
なるほど。誰かにとっての勝負前という言葉がすごく響いた。
そんな風に思って乗ってくださるお客様に、気持ちの良い接客ができたのだろうかーー。
「君の接客は素晴らしい。これ、名刺。あげる。あと、俺の会社で作ってる商品サンプルあげるね。頑張ってね。」と降車されていった。
いただいた名刺は大切に釣り銭バッグにしまってある。
私の接客とそのあり方を改めて考える機会をいただいた。
②自分の仕事に誇りを持って研究しなさい。
日本橋から入船までのお客様。
ぽつり、と以下の話をしてくださった。
「私はね、昔記者をしていたの。その中で自分がやっている仕事をいかにこだわるか、ここにすごく重きをおいて働いてたのよ。あなたも、今やっている仕事に誇りを持って、こだわって研究しなさいね。」
タクシーはある種、職人気質な面を持つ。
A地点からB地点への抜け道や、時間帯によって渋滞する道しない道、地元の人しか知らないような裏道……
それらを網羅してスムーズに安全に送ることが求められる仕事だ。
これらを全て網羅し適切な道の提案ができるようになるところまで、興味を持ち「こだわり」なさい。それがあなたの仕事なのよ、と教えてくださったような気がした。
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私にとってタクシーとは
振り返るとこの1年、自身の未熟さ故にお叱りを受けたことも勿論あったけれど、それ以上に“人生の先輩”から、人として学ばせていただく事が多かったように感じる。
タクシーとは、本質的には安全にお客様を目的地にお送りする、というものである。
しかしいざハンドルを握ってみると、それだけでは語りきれない沢山の出会いとドラマが車内で起こる。これは決して綺麗事ではなく、事実。
お客様の前で運転席にあるスライドドアボタンを押し、扉を開けた瞬間からそれは始まっていくのだ。
1回の営業は一瞬かもしれないが、今まさに目の前にいるお客様に何ができるのかを思考し、尽力する。それがもしかすると、お客様にとっても私にとっても一生心に残る体験となるかもしれない。
そういった思いを胸に、今日も私はハンドルを握り街へ繰り出すのである。
Text:Rina Kawaguchi