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奥日光の冬 野鳥(1)

静かな雪の戦場ヶ原を歩く。
湯川や湿原を見ながら戦場ヶ原の遊歩道を北に進むと70mの岩壁を流れる湯滝や自然林に囲まれた湯ノ湖につながり、風景が刻々と変化して楽しい。
戦場ヶ原は400ha(東京ドーム約85個分)の広さを誇る湿原で、湯川沿いにあるズミの木は赤い実を付けて野鳥を呼び寄せる。ズミの花や結実が多い年か少ないかは毎年気になるところだが、奥日光の野鳥の数も減少傾向にあるのだろうか──、レンジャク(緋連雀、黄連雀)の大群が戦場ヶ原を飛びまわった光景が懐かしい。ずんぐりとした体のレンジャク(全長18cm程度)が群飛する様子は迫力があった。
鳥の大きな群れは数年に一度やって来るとも言われている。楽しみに待っていよう。


2017年冬〜18年、200羽を超えるキレンジャクの大群が戦場ヶ原に飛来し、ズミの実や湿原のツルコケモモの実を食べた。 ©nishiki atsushi
レンジャクの群れの繊細な鳴き声は、鈴の音が折り重なるように風に流れて来る。自然と共にある心地よさを感じる瞬間だ。 ©nishiki atsushi

カケス(懸巣)は全長30cm程の鳥で、飛ぶと青や白の羽が見えて美しい。鳴き声はジェージェーとしわがれたように響き渡る。そのために英名が、jayになっているのも面白い。

戦場ヶ原をカケスがふんわりと飛んで林に消えた。 ©nishiki atsushi
雪の中から食べ物を探すカケスの顔に愛嬌を感じてしまう。他の小鳥の鳴き声を真似る習性もあるし、イタズラが大好きな目をしているな〜、と私は思う。 ©nishiki atsushi
カケスはドングリが特に気に入っているようで、冬に備えて樹木の隙間に隠しておく。 ©nishiki atsushi

春に子育てをしていたアカゲラ(赤啄木鳥、全長24cm程度)やオオアカゲラ(大赤啄木鳥、全長28cm程度)は、セミ類や青虫などを食べていたが、冬には枯れ木を突いて幼虫を取り出して食べる。幼虫の潜む場所を特定し必ず掘り当てる技に感心する。

オオアカゲラはアカゲラと違って、この写真のように、下腹部が淡い赤色で、白い胸には黒く細い縦斑がある。横から見ると個性的なファションだが、背中には白黒の不規則な紋様があり樹皮に同化する。オスのオオアカゲラは頭頂が赤く、オスのアカゲラは後頭部が赤い。 ©nishiki atsushi
オオアカゲラとアカゲラのメスの頭頂は、共に赤ではなく黒い。 ©nishiki atsushi
枯れ木に大きい脚爪でガッチリとつかまり、尾羽も木に付けて、頭を反り返らせた反動を使って長い嘴で強烈に何度も突く。その衝撃が強烈すぎるのか、飛び散る木片から目を守るためなのか、この写真のように、突く瞬間は必ず目を閉じている。 ©nishiki atsushi
キツツキ類が徹底的に枯れ木を崩し幼虫を取り出した跡がある。野鳥たちの冬に生きる厳しさを感じる。 ©nishiki atsushi

ツグミ(鶫、全長24cm)もスズメよりもかなり大きく感じる鳥でよく見かける。日本では冬鳥なので、クワッ、クワッと地鳴きは聞くが、春先以外はさえずりを聞くことが少ない。その様子から、口をつむぐ→ツグミ、と名付けられた説がある。

ツグミは胸から腹にある黒い斑が美しい。冬はズミの実を丸呑みして食べる。 ©nishiki atsushi
翼の茶褐色も美しい。地上の虫やズミの実の他に、ナナカマドの赤い実を食べることがある。 ©nishiki atsushi
ツグミは雪の上でも、特徴的な跳ねるような動きをして食べ物を探していた。 ©nishiki atsushi

ツグミの仲間では、ハチジョウツグミやノハラツグミなども奥日光で見られることがある。

ハチジョウツグミ(八丈鶫)はツグミよりも体色が淡い、または赤茶色になる。 ©nishiki atsushi
ノハラツグミ(野原鶫)は迷鳥で珍しい。奥日光のズミ林で飛来したことがあった。頭から背中、腰にかけての青灰色が美しい。 ©nishiki atsushi

戦場ヶ原の冬は訪れる人が少なくなり、キリッと引き締まった空気に魅了される。

空nyan!
雪の上を歩いた動物の足跡🐾を見るのも面白い。冬の奥日光が好きだ、という人も多いよ。

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