奥日光のノイバラ、クガイソウ
今年は奥日光の戦場ヶ原に来ても暑い。しかも、標高は約1400mになるから、太陽光が届くまでの大気の量やオゾンが少ない分だけ紫外線も強くなる。
戦場ヶ原はやはり朝早く訪れて、爽やかな風にふかれて野鳥のさえずりを聞いていたい。時には朝霧が立ち込めた淡い景色に驚くこともある。7月上旬はノイバラ(野薔薇、野荊、バラ科のつる性低木)の優しい花の香りを楽しむこともできる。
ノイバラの香りに惹かれるのは私だけではなく、ハチやハナカミキリ類も飛んで来る。それぞれ違う目的で寄ってくるが、なんとなく仲間のようで愛着が湧く。
戦場ヶ原の木道に入って行くと、ミヤマイボタ(深山水蝋、モクセイ科の落葉低木)が咲き始めていた。この花の香りには、イチモンジチョウとフタスジチョウが緩やかに飛んで吸蜜を繰り返していた。どちらもタテハチョウ科のチョウだ。
空nyan! 虫たちが花に来て花粉を運ぶ役割になったり、チョウの幼虫が植物の葉を食べたり、森で私たちが守られたり、自然は何処かでみんなが繋がっている。
かつてこんなことがあった。
──奥日光小田代ヶ原に咲くクガイソウ(穂のような花序に青紫色の小さな花がたくさん咲く)が絶滅したことがあって、コヒョウモンモドキ(タテハチョウ科、開張4cm前後、黄褐色の翅に豹紋模様のチョウ)もいつの間にか奥日光から姿を消してしまった。
コヒョウモンモドキの幼虫はクガイソウの葉が大好きだから、クガイソウがいない奥日光では、命を繫ぐことができなかったようだ──
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