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ムササビの親子

ムササビはリスと同じ仲間の哺乳類で、日が暮れてから活動し、木の葉や新芽、花、果実、球果などを食べている。夜行性動物だから日中は樹洞の中で静かに寝ている。
明るい時間帯に樹洞を観察しても、夜行性のムササビの姿は見られないはずだが、その予想に反して、眠そうな顔で外の様子を覗うムササビに出会うことができる。観察してみると、樹洞から顔を出す時間帯は午前中が多いようだが、全く顔を出さない日もある。行けば確実に出会える、というわけではない。
雨の日も顔を出すことがあると聞いたので、雨がなかなか止まない日に森に行ってみると、ムササビの困ったような顔が樹洞の奥に見えた。樹洞の上の隙間から雨の雫が落ちてくるようで、ムササビの滑らかな毛はボサボサだ。

小雨の日、身動きひとつしないで外を見ていたが、すうッと中に姿を隠した。

何日か観察すると、この樹洞には母親ムササビと2頭の子どもムササビで棲んでいることが分かった。

子どもが顔を見せた。
母親のムササビ。尾はとても長い。
長いカギ爪。飛んで木に張り付くときに使う!
あどけない丸い目、丸く潰れた薄橙色の鼻、長いヒゲも付いている。
子どもは好奇心旺盛で、昼でも外に出ることがある。もうすぐここから離れていく。

ムササビは前足と後ろ足と尾につながる皮膜を広げて、紙飛行機が飛ぶように、木から木へと滑空・移動して活動している。同じように夜に滑空するモモンガもいる。不思議な動物たちだ。
飛び出しのときは相当強い力で蹴り出し、空中でバランスをとる技術も身につけているのだろう。

ムササビの飛ぶ姿は、古墳時代の素朴な動物埴輪にも見ることができて興味深い。千葉県成田市の古墳時代後期の遺跡から出土した日本で唯一の「ムササビの埴輪」で、ムササビが耳を立てて音を聞き、力を込めて飛んでいる姿が形づくられている。空中姿勢をとるムササビが生き生きと表現され、被葬者への温かな思いが込められた貴重な造形だ。
古代人は、羽のない動物が夜中に飛びまわるムササビを見て何を思ったのだろう? 親しみを覚えたのか、それとも畏怖の念を抱いたのだろうか。

「ムササビの埴輪」 成田市教育委員会提供


──空nyan! へ 
今から約1500年前に作られた「ムササビの埴輪」は上手にできているね。もしかしたら、空nyan! みたいな子が手伝って作ったのかもしれないョ。
・一緒に見に行こう!
・粘土で動物埴輪を作ってみようか?
2024年8月7日 15:00 編集


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