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奥日光の面白い昆虫

奥日光はイロハ坂の上の標高1400m以上の地域に位置し、ブナやミズナラなどの広葉樹、カラマツなどの針葉樹、川や湖、湿原など、多彩な自然がある。季節の美しさを感じながら散策していると、新しい風景や様々な生きものに出会える。野鳥や昆虫の種類も多く、それぞれの習性に驚かされたり、健気な行動に心打たれることもある。

標高の高い奥日光でも、今までにない暑い日が続いている。愛すべき昆虫がこれからも命を繋ぐことが出来るのだろうか、心配になる。

1.アトコブゴミムシダマシ
初めて遭遇すると、朽ちた木の破片が動いているとしか思えない。
昆虫の名前に、……ダマシ、……モドキ、ニセ……などと付いていると戸惑ってしまうが、膨大な種類の昆虫を名前で区別する難しさからきているようだ。

アトコブゴミムシダマシは、名前のとおり後方にコブ状の隆起がある。 ©nishiki atsushi
独特な質感と形状、上翅にある縦の隆起や荒い凹みなど、どう見ても木片だ。体長2cm程度。 ©nishiki atsushi


2.ラクダムシ(キスジラクダムシ)
長い前胸部と頭を立ち上げて脚で立った印象をラクダになぞらえたと思われる。砂漠を歩くラクダに似ていると考えた発想に拍手したい。名前のおかげで特異な姿なのに親しみを覚える。

よく見ると、胸の上部がコブ状に小さく膨らんでいる。これもラクダに似ているところかな? ©nishiki atsushi
羽化したばかりのラクダムシがいた。翅が伸びてきたが、まだ透明にはなっていない。 ©nishiki atsushi


3.ゴミを背負う幼虫(クサカゲロウの仲間の幼虫)
5mmほどの小さな体にゴミを乗せた変身で、動いていなければ誰も虫とは思わない。

ゴミの下、向かって左側に幼虫の大顎が見える。よく見ると、幼虫はゴミの色に似た脚で立っている。 ©nishiki atsushi
前から見ると、鋭い爪のような大顎が出ている。この幼虫は肉食で、顎でアブラムの体液を吸い、その殻を背中に乗せる。 ©nishiki atsushi
ゴミを背負った幼虫は、このクサカゲロウのような成虫になる。 ©nishiki atsushi

他の種類では、下の写真のように、ゴミではなく地衣類をまとってカモフラージュする幼虫がいる。

蛾の幼虫で、動かない限り見つけることは困難だ。©nishiki atsushi


4.ヒメツチハンミョウ
藍色の体は丸みをおびて輝き、太く曲がった触角に独特な印象を受ける。オスとメスでは触角の形が少し違う。
翅が退化して飛べず、身を守るために猛毒のカンタリジンを出すことがあるから要注意だ。
生態も特異で、幼虫のときに花の上で待ち構え、飛んで来たハナバチにしがみつき、移動先の巣の中で成長する、と言われている。

ヒメツチハンミョウの体長は2cm位、独特な形の触角を動かし濃紺色に輝いて山道を歩いている。見るとドキッとしてしまう虫だ。 ©nishiki atsushi
ヒメツチハンミョウの幼虫は、このようなヒメハナバチにしがみつく。黄色い花は、トモエソウ。 ©nishiki atsushi
奥日光や日光白根山、那須岳などで見かけるミヤマハンミョウ。同じハンミョウという名前で混同されやすいが、全く違う仲間になる。 ©nishiki atsushi


5.ミミズク
一般的には鳥の名前だが、昆虫にもミミズクがいる。体長が1.5cm程で小さく、ヨコバイの仲間なので弾けるように一瞬で姿を消す。

頭が扁平で胸部に耳状の突起があってかわいい。体は暗褐色でムラがあり、目の位置がよく分からない。 ©nishiki atsushi
正面から見ると歩く様子が少しユーモラス。ヨコバイやセミと同じような針状の口を持ち、樹木や植物の汁を吸う。 ©nishiki atsushi
こちらのミミズクは、耳状の突起がほとんどない。まだ成虫になっていないのかもしれない。体の横にきちんと密着する後脚のデザインに魅力を感じる。 ©nishiki atsushi


6.ハバチ類の幼虫
正面から見ると丸い顔をしていて、一部の人に人気がある。

人気者は足を動かしてもかわいい。 ©nishiki atsushi
横から見るとこんな感じ。やはり、正面から見るに限るかも…  ©nishiki atsushi


7.ハナムグリの飛翔
ほとんどの甲虫は固い鞘翅(ショウシ、サヤバネ)を開いて下翅を動かして飛ぶ。ところがハナムグリの仲間は、鞘翅の横から下翅を出す方法で、通常の姿のまま飛んでいる。

ハナムグリの仲間のオシャレな飛び方。下翅を横から出して悠々と飛ぶ。このような飛び方をするのは、何か特別な理由があるからだろうか? ©nishiki atsushi
たとえば、オオトラフコガネの飛翔を観察して比較してみよう。甲虫はこのように、外側の固い翅を跳ね上げて飛ぶ。また、後脚も振り上げて飛ぶから、見ると力感を感じる。 ©nishiki atsushi


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