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[ ものしりのママとパパ ]:シロクマ文芸部(夏の雲)
↑こちらの企画に参加しました。
ショートショートで、フィクションです。
シロクマさん、久しぶりの参加です😊♪
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[ ものしりのママとパパ ]
「夏の雲だよー、大きいねぇ」
白く聳え立つ大きな雲を指差しながら、ママが言ってる。
「にゅうどうぐも、って言うんだよ、スゴイよね」
にゅうどうぐも?
にゅうどう、ってなんだろー、ってボクが思ってるとね、すぐにママはね、
「にゅうどう、ってね、」
いつも意味を教えてくれるんだ。
「お坊さんのことなんだけど、あー、お坊さんは分かるかな?」
おぼうさん?
「お寺なんかにいて、お経を読む人なんだけどね」
あ、見たことある。
「大きなお坊さんの妖怪がいてね、妖怪は分かるね」
うん、こないだのおはなしに出てきたから分かるよ。
「大きな妖怪、大入道に似てるから、入道雲、っていうんだって」
ボクのママはものしりなんだ。
でもね、すぐにこう言うんだよ。
「パパに教えてもらったんだけどね」
コレを言うときのママは、いつもニコニコなんだ。
「パパは、ホントーに、いろんなことを知ってて、すごいんだよー」
うん、知ってるよ、ボクにもいろんなこと教えてくれるもんね。
ママもパパも、ボクにずっと話しかけてくれるよね。
でも、返事ができなくてごめんね。
ちゃんと分かってるし、返事もしてるよ。
ボクは、体が動かない難病、っていうものなんだって。
ママの話も、パパの話もちゃんと分かってるのだけれど、返事はできない。
伝えたいけど、伝える方法がないんだ。
でも、ママもパパもそれを分かってくれていて、いつだってボクに話しかけてくれるんだ。
すごく嬉しい。
「じゃぁ、そろそろ、おうちに帰ろうか、明日はパパとおさんぽの日だね。またいろんなことを教えてもらえるといいね」
うん、おさんぽ大好き。
ボクはいつもベットの上だけど、こうやって少しでも外に出られる。
ママ、パパ、いつもありがとう。
「それにしても、暑いね」
そう言って、傘で日陰を作ってくれる。
大好きだよ、ママ。
傘の隙間から、大きくて真っ白な夏の雲が見えた。
おしまい。
↓以前、シロクマ文芸部に参加したお話はこちらから
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