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日銀再利上げ 賃金・物価上昇へ手応え 進む不確実性の定量化
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1月23、24日に開いた金融政策決定会合で、半年ぶりの利上げに踏み切った日本銀行。植田和男総裁は会見で、消費者物価の見通し全期間(2024~26年度)で「2%以上」が並んだ日銀の展望レポート(経済・物価情勢の展望)を踏まえ、「私ども(日銀)の見通しにおおむね沿って推移している」とし、「『2%物価安定目標』の持続・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切」と語った。
今後の金融政策運営に対しても、「極めて低い実質金利」を念頭に、展望レポートの実現度合いに応じて「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との姿勢を前面に出した。
政策金利の水準は「一段階」上がったが、2024年7月末に講じた前回利上げ時と「全く同じ表現」(日銀幹部)を声明文に書き込み、総裁会見でも繰り返し強調。「まだ相応の距離がある」中立金利圏に向けた段階的利上げの構えを保つ。
政策判断の焦点だった米国の金融市場動向については、経済政策の方向性を訴えたトランプ米大統領の就任演説後も「全体として落ち着いている」との現状認識を述べた。
国内の注目点の25年春季労使交渉(春闘)も、日銀支店長会議の報告内容や民間アンケート結果を受け、「しっかりとした賃上げの実施が見込まれる」と分析。中期経営計画に賃上げを盛り込む企業が広がるなどノルム(社会通念)の変化を語り、「我々(日銀)の(2%)目標に収束していく可能性が非常に高まる」と展望。賃金と物価が中長期的に上昇していく構造的な変化への手応えを示した。
1月で「リスク」に
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