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「防げ 介護離職」(上) 在宅勤務と行内SNSが支え


介護で悩む行員の助けになればとSNSへの投稿を心掛ける渡辺さん

「入居金で1人1000万円するのか」――。三菱UFJ銀行本部に勤務する渡辺紀子さん(仮名、50代)は東京都内の老人ホームを見学し、呟いた。2人の妹は遠方で暮らし、最も近い自分が「両親を介護する」と決めた瞬間だった。2020年から約3年間、働きながら介護した渡辺さん。両立できたのは、銀行による柔軟な働き方支援と、行員が介護の悩みを共有できる社内SNSの存在が大きかった。

コロナ感染が広がった20年。買い物を控えた80代の母は足が衰え、認知機能も低下。渡辺さんが実家に通い、朝昼晩の食事など日常生活を支えた。当時は企画系の部署で管理職。上司に相談すると「家族を優先してほしい」と、テレワークを認めてもらった。

90代の父は週2日デイサービスに通ったが、母は拒んだ。在宅勤務場所を実家とし、頻繁に両親の部屋へ行き体調を確かめながら、業務を行った。会議以外は柔軟に時間を選べ、早朝や夜遅くに作業することもあった。

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