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「防げ 介護離職」(下)急がれる「自分ごと化」
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約8割が5年以内に介護する可能性がある――。みずほフィナンシャルグループ(FG)が2023年度、約1万3000人の管理職に調査した結果だ。差し迫った介護問題。支援制度の整備は進むものの、周知不足から十分に活用されないケースが少なくない。
「啓発がまだまだ足りない」。三菱UFJ銀行人事部ダイバーシティ推進室の米田龍介調査役は危機感を露わにする。5月、家族の介護に必要な準備と同行の制度をまとめた資料を40歳の全行員にメール送信した。25年度から改正育児・介護休業法で求められる対応を前倒して展開。さらに、キャリア研修では親の介護も含め「ライフキャリア」と向き合う機会を提供した。米田氏は「40歳はかなり早めの動きだが、初動対応が一番大切」と語る。
野村ホールディングスはあらゆる階層の理解浸透で、「〝お互い様〟の文化の醸成」(DEI推進室)を目指す。社員の自主運営による介護関連イベントを定期開催しているほか、24年3月には介護の動画学習コンテンツを導入。公的介護保険制度や遠距離介護など10のカテゴリー別に計44本の動画を配信する。DEI推進室の中西康恵室長は「介護のパターンや悩みは人それぞれ違うため、誰もがいろんなことを相談できる場を広く網として設けることが大切」と語る。
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