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京都信金、職員の起業を後押し 「復職可」で7人独立
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京都信用金庫(京都市、榊田隆之理事長)は、職員の起業を後押ししている。起業を理由に退職した場合、5年以内であれば元の役職で復職できる「アントレ・サポート」制度を2017年に創設。顧客の課題解決などに携わるうちに、自分でも起業したいと考える職員が出てきたことを受け、「失敗してもやり直せる。チャレンジしたい気持ちを応援する制度」(ゆたかなコミュニケーション室)を始めた。
これまで7人が利用し、貿易関連事業や飲食店、美容クリニック、社会保険労務士などで独立・起業を果たしている。男性5人、女性2人で、年齢は20代後半から40代後半。
廃業した和菓子店再興
辻山由紀子さん(51)は、23年に49歳で同信金を退職、起業した。曽祖父から4代続き約20年前に廃業した家業の老舗和菓子屋「辻山久養堂(つじやまきゅうようどう)」を再興するためだ。退職時は課長職を務めていた。
きっかけの一つは、支店の窓口担当だった時の来店客とのやりとり。名札を見た顧客から「辻山久養堂」の店名と銘菓「源氏巻」が話題になった。「また食べたいなあ」と言われてうれしかったが、「子育てしながらの起業には踏み切れなかった」(辻山さん)。
数年後、制度を利用して起業していた元職員と話す機会を得た。「目がきらきら輝いていて、うらやましかった」。同僚に相談すると、「挑戦してみたら」と背中を押してくれたこともあり、「源氏巻を覚えている人が元気なうちに復活させよう」と決心した。
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