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実像 勃興ディープテック融資(上)3メガ、新産業を共に創る
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宇宙やエネルギーなど「ディープテック」と呼ばれる先端技術領域のスタートアップ融資がメガバンクグループで勃興している。数十億円以上の案件組成が目立ち、リスクテイク姿勢が変わり始めた。研究開発や事業化・社会実装に長時間を要するものの、実現すれば大きな社会変革をもたらす可能性を秘める。各社は新たな産業の共創に挑む。
月面へ再チャレンジ
1月15日、15時11分。三井住友銀行本館3階に設けられた応援会会場で宇宙新興企業「ispace(アイスペース)」のランダー(月着陸船)の打ち上げを同社関係者や株主など約300人が見守った。打ち上げられたロケットからランダーの分離に成功すると会場は歓喜に沸いた。
アイスペースにとっては2回目のチャレンジ。三井住友銀がオフィシャルパートナーとしてプロジェクトを支える。22年に実施した民間月面探査プログラムのミッション1では、月面での着陸に失敗した。現在進行中のミッション2では打ち上げから月面着陸までの10段階のマイルストーンのうち、5段階まで完了している(2月15日時点)。
SMBCグループ一体でアイスペースの研究開発に伴走してきた。融資面では三井住友銀がアレンジャーとなり、22年7月に中小企業基盤整備機構による債務保証制度を活用した計5行の金融機関が参加する50億円(うち保証金額は25億円)のシンジケートローンを手がけた。24年7月には参加行を7行に拡大し、融資額は100億円に上った。
上場相次ぐ宇宙スタートアップ
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