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伊予銀、方針管理への移行6年 目的意識向上、幅広い提案

本部目標や業績表彰に依存しない真に顧客本位の営業体制を構築――。伊予銀行が業績表彰制度を取りやめ、方針管理を軸とした体制に移行してから6年。金融界で先駆けた取り組みは功を奏し、業績は好調に推移。組織内での定着化に成功した方針管理の実情を追った。

経営陣の〝覚悟〟必須

「表彰制度が軸の営業活動では、お客さま本位の営業を実現できない」。こういった危機感を背景に、当時の大塚岩男頭取(現会長)が英断を下した。体制移行後の業績を懸念する声もあったが、強いリーダーシップと覚悟で先導。ノルマの歴史が色濃い金融界にあって、2018年度に営業店総合表彰制度を廃止した。

顧客目線で目標設定

同行は1984年から取り入れてきた管理手法「TQC(トータル・クオリティ・コントロール)」を発展させた形で、方針管理が軸の体制を構築。営業店が期待される役割や顧客ニーズを起点に目標設定し、自律的に取り組む仕組みとした。

方針管理は、銀行の中期経営計画をもとに部店長が中・短期的に目指す姿や方針を掲げ、達成するための施策を半期毎に策定。特に力を注ぐ施策については方針書に展開し、実行手順まで組み立てる。この計画をさらにブレイクダウンして、各行員が取り組み内容や目標を設定する。

営業店の目標設定をサポートするために導入したのがBIツール。各計数やマーケットデータなどの情報をもとに分析でき、計画策定に生かせる。過去の実績にとらわれず、市場や人員といった環境を加味して策定。営業本部の推進役とすり合わせながら調整する。

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