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ソフトバンクGの株価を考える――とどのつまりガバナンスの混乱では?

今週はソフトバンクGの株価が乱高下しました。23日(月)、24日は(火)、25日(水)は急騰。3日間で1483円上昇しました。基本的には23日午後、取引時間中に発表した「4.5兆円の資産売却と最大2兆円の自社株買い」が好感されました。その後英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道で、ソフトバンクGがこの売却プロジェクト直前に非上場化を検討していたことが明らかになりました。SBGに投資するアクティビストのエリオット・マネジメントとアラブ首長国連邦(UAE)アブダビの政府系ファンドも議論に加わったものの、計画はすでに白紙になったということです。この件については、SBG、エリオットの広報担当者もコメントを拒否したようです。

局面が別の展開を見せたのは25日でした。格付け会社のムーディーズ・ジャパンがSBGの発行体格付けを「Ba1(ダブルBプラス相当)」から「Ba3(ダブルBマイナス相当)」に引き下げたと発表したのです。ムーディーズは、不安定な株式相場でSBGが保有資産を最大4.5兆円売却し、相場が下がるなかで割安な価格で現金化されることを懸念したため、といいます。これに対してSBGは同日、ムーディーズに依頼していた格付けを取り下げると発表しました。26日(木)は全体の相場の地合いもありますがSBGの株価は392円の大幅安。ちなみに27日(金)は109円高と反発。連日の大商いです。

あるファンドマネジャーは「株式の投資家か債券の投資家か。どちらを尊重するか問われている」と表現してみました。分け入っていくと、いろいろと複雑な感じです。ちょっと関係者を整理してみましょう。

まず格付け会社。S&Pは4.5兆円の売却計画を格付けに対して好意的とコメントしていますので、格付け会社間でもS&Pとムーディーズで意見が真っ向分かれています。そして株主。4.5兆円売却を好感した買いが3日間続いたわけですから、基本的に好感なのでしょうが、昨今の信用力が問われる相場展開では、格付け会社の動向を株式市場も気にします。一概に好感とは言えないところがあります。株主の中でもエリオットのようなアクティビストと一般の株主は違うかもしれません。またビジョンファンドに関わる中東系マネーの存在感も大きいですね。さらには銀行。繰り返しますが、格付け会社でも真っ向立場が違ううえに、株主もいろいろ、そしてビジョンファンドなどの関係者、銀行。

白紙になったという非上場化計画も含めて、SBGのこのところの動きが迷走しているように見えるのは、これらのステークホルダーを巡る調整の混乱、全体としてのガバナンスの混乱と言えるのではないでしょうか?個人的には投資会社を標ぼうするのであれば、可能な範囲内でステークホルダーを少なくして非上場化を目指すのがベターだと考えています。簡単ではないのでしょうけれど。

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