つみたてNISA“初めての暴落” やってはいけないことは?
株式相場、なかなか落ち着かないですね。さて、つみたてNISAが始まったのが2018年の初め。これをきっかっけに投資、資産運用を始めた方もいると思います。そういう方にとっては今回の新型コロナショックは“始めての暴落”です。不安に思うことも多いかもしれません。16日(木)日経CNBC朝エクスプレス、「マーケット・レーダー」にご出演いただいたMoney&You代表、マネーコンサルタントの頼藤太希さんのお話しをもとに注意点をまとめてみます。
上のグラフは、仮に2018年の1月から、S&P500指数に毎月1万円ずつ積み立てた場合を頼藤さんが試算した損益グラフです。ついこの間まで絶好調だった米国株式ですが、ぞっとするような暴落。足元では初めて“含み損”状態になっていると思います。「株は怖い!」と感じたかもしれません。
次のグラフは、ではリーマンショックから同じS&P500に毎月1万円つみたてていたら?という資産です。もちろん足元の暴落はきついのですが、積立元本と比べたらはるかに儲かっている状態です。何が違うのか――。
頼藤さんは「長期でコツコツと積み立てを続けることの大事さ」を強調します。株式相場にはいろいろなことがありますが、長い目で見ればどんなひどい暴落からも戻ってくる。これが経験則。ピンポイントで底値を当てたりするのは難しいですが、毎月コツコツ積み立てている力は時間が長ければ長いほど威力を発揮します。とういことで頼藤さんが指摘する「やってはいけないこと」は、ずばり「つみたてNISAをやめる」こと。
やってはいけないことは……
つみたてNISAをやめる
・積み立てている資産を売る
・積み立てを止める
・積み立て金額を減らす
つみたてNISAを始めた時のことをよく思い出してください。まるまる20年かどうかは人によって違うかもしれませんが、遠い将来のために、余裕のあるおカネの範囲内で積み立てを始めたはずです。「積み立てを(一時的に)止める」とか「積み立て金額を減らす」のは「いいじゃないか?」と思うかもしれませんが、積み立て投資の一番の武器になるはずのドルコスト平均法(相場が下落して購入単価が安くなったときほど多く買うことができる)を放棄してしまうことになります。
ではつみたてNISAでこれからべきことは?頼藤さんの指摘は以下の通りです。
つみたてNISAでこれからすべきこと
① 下落に焦らず淡々と積み立てを継続
② 国際分散投資を行い、バランス型は継続
③ 下がったら積立金額を増やすのもあり
④ 資産全体の無リスク・リスク資産のバランスをとる
⑤ つみたてNISA内でリバランスしたい場合は毎月の積み立てて時間をかけて調整
積み立て継続は大原則。何度でもドルコスト平均法のことを思い出してください。②国際分散投資。確かに一時的にあらゆる世界の株が下がることはあります。今回のように時には債券や金までも。しかし今回もほんの一時期を別にすれば米国債券や金は上昇。そして長い目で見れば株式の持つ力も健在です。個人的にはどこの国がいいかは長期的には分からないと思っているので、分からなかったら全世界株式を含むバランス型が望ましいと思います。ちなみに③は余裕資金があればという話です。ドキドキしない範囲で。
④「無リスク・リスク資産」はちょっと難しいかもしれません。前提として改めて確認しておく必要があるのはつみたてNISAの場合、その枠の“範囲内”で商品を入れ替えたりするスイッチングが難しいのです。何かを売却して別の商品に乗り換えると、本来20年まで使えるはずの税制メリット枠を使ってしまうことになるからです。ですから株の下落で現金や国債などの無リスク資産と株式などのリスク資産の比率を見直す場合、つみたてNISAの枠の“範囲外”も含めて考えます。例えば枠外の株式を売却して無リスク資産のウェートを高めておくとか。
そしてこの際資産のバランスを修正したい場合、時間をかけて枠内、枠外を使って増やしたい部分の資産を増やしたりします。例えばこの際、海外株の割合を増やしておきたいとか、枠外も考えるなら、債券やREITなどを増やしておきたいなどのニーズはあると思います。
頼藤さんはできれば「つみたてNISAで投資している資産のことは忘れてしまおう」と言います。始めた時のことを思い出してください。かなり遠い将来のためのおカネのはず。そんなことでドキドキする方が損というものです。意外とこの“心のコントロール”が一番難しかったりするのですが、何度か暴落や好景気を経験しているうちに慣れてしまうと思います。
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