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記憶に残る8月の市場振り返りーー日経平均は過去最大の値幅に

大荒れで始まった8月の市場。長く市場をみる仕事をしてきた身にとって、2024年8月は記憶に残る、そして記録的な1カ月だった。日経平均株価は月間の値幅(高値と安値の差、終値ベース)が過去最大の7189円となった。振り返ると、日米の金融政策の“逆”方向性が、背景のひとつだったと思う。7月末の日銀金融政策決定会合で日銀が“ややサプライズ”の利上げ。植田和男総裁は会見で今後も利上げを継続する姿勢を鮮明にしたと受け止められた。一方、8月2日に発表された7月の米雇用統計をきっかけに米景気後退への警戒感が急速に高まり、一時は臨時会合での0.5% 利下げが取りざたされる事態となった。

日経平均、最大下げ幅、最大上げ幅が連日で


日経平均株価は8月5日に過去最大の下げ幅、翌日6日には過去最大の上げ幅と乱高下が続いたが、これほどの変動があった割には意外なほど落ち着きを取り戻しつつある。結局8月月間では454円(1.2%)の下落にとどまった。とはいえ厄介だったのは為替市場での円高進行。短期間に1ドル20円あまりも円高が進行する場面があり、「業績予想の前提が置きにくい」(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林 千紗ストラテジスト)という不透明感が市場を覆った。8月月間では円高メリット企業の象徴、ニトリが22%上昇するなど、小売りや電力などの内需系が堅調だった。一方で輸出関連や銀行、そして半導体関連の重さが目立った。

米国ダウ平均は月末に向け最高値最高値更新!


さて、一方の米国。ダウ工業株30種平均の8月月間の値幅は859ドル。1年10カ月ぶりの大きさではあるが、月間では720ドル(1.8%)の上昇と、波乱の大きさという観点では日本市場とかなり印象が異なる。ただ、日本と共通しているかもしれないのは、市場の中心的なテーマの転機かもしれないことだ。8月28日に5-7月期の決算を発表したエヌビディアは、実績、見通しともに市場を上回る好決算だったにも関わらず、決算を受けた翌日は6%あまり下落。AI半導体、ハイテクジャイアントけん引相場の踊り場を象徴する動きとなった。米国では8月、小売り最大手のウォルマートが決算を好感して12.5%高、コカ・コーラが8.6%高など、消費関連の上昇が支え、ダウは8月29日、30日と、連日で過去最高値を更新したが、ナスダック総合指数は8月に0.6%の上昇にとどまり、相対的に戻りが鈍い。

物色先、中心的なテーマは転機の可能性も

日本市場は「日銀の動きが円高を招きかねず、引き続き重しとなる懸念がある」(大和証券の木野内栄治チーフ・テクニカルアナリスト)という不安を抱えている。だが、日米ともに、物色の矛先、中心的なテーマを変えながら、堅調さを保っている点は、相場の腰の強さを感じさせる。とはいえ、米国は9月の利下げがほぼ確実視される一方、日本は利上げ(もしくは金融政策正常化)の途上――。もちろん米大統領選を控える時期でもあり、まだまだ、波乱があってもおかしくない展開が続きそうだ。

(おまけ)実は現場にいなかった自分 久し振りの海外で買い物にいそしむ……


「長く市場をみてきた身として記憶に残る」などなど、それっぽいことを書きましたが、実は記録的な変動のとき、現場にはいなかったのでした……。8月上旬、まさにその期間に夏休みを取り、久しぶりに海外旅行(ロンドン)を楽しんでいたのです。もちろん、海外にいても市場、特に日本市場が大変なことになっていることは分かるのですが、何せ時差もあるし、「まあ、海外から自分が何かできるわけでもないし、みんなお疲れ様――」みたいな気分だったわけですね。ごめんね、大事な時に役に立たないやつで(笑)……。

映画“ハリポタ”の聖地、キングス・クロス駅にて

8月5日なんか、その瞬間にスタジオにいたら震えるような日だったと思いますが、遠くから眺めていたせいもあって、「きっとつかの間の円高に違いない。買い物しちゃおう!」みたいな気分でした。

ロンドンブリッジ。天気よかったけど涼しくて過ごしやすい!

その割に、それこそ久し振りに積み立て以外の買いを投信に入れたりして、「ああ、何かたまには市場と距離を置くのもいいこともあるよなぁ」みたいな気持ちもありました。いや、まあその場にいなかった残念さと、大変な現場を支えたみなさんにはごめんなさいね、という気持ちはあるのですけれど……。


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