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マーケットニュースで振り返る2024年
12月30日(月)大納会の朝の番組で、「マーケットニュースで振り返る2024年」という短い解説、コメントコーナーを改野キャスターと放送しました。そのエッセンスをお届けしつつ、ゆく年くる年を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
日経CNBC視聴者の投資家アンケートーートップは「8月の過去最大幅の株価暴落」
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まずはこのところ年末恒例となっている投資家サーベイのアンケート。今年は10個ちょっと、選択肢をこちらで用意してひとつ選んでいただきました。自分には正直ちょっと意外だったのですが、「8月5日、過去最大幅の日経平均株価暴落(4451円)」を選んだ方が全体の31.2%に上りトップでした。2位の「トランプ氏の米大統領選勝利、上下両院共和党勝利」の20.1%を大きく引き離しました。詳しい結果や回答いただいた方のコメントや感想はHPからご覧いただけます。
市場関係者の10大ニュースーー「トランプ氏勝利」続いて「マイナス金利解除」
続いてはQUICKが12月に実施した調査です。証券、銀行、保険、資産運用などの金融市場関係者、いわゆるプロの人たちへのアンケートですね。こちらでは「米大統領選でトランプ氏が勝利」がトップ、僅差で「日銀、マイナス金利を解除」が続きました。前述の投資家サーベイはまあ個人投資家さんがほとんどですから、個人とプロの意識のギャップみたいなものがうかがえます。
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自分自身はというと、どちらかというと(いい悪いはまったく別にして)感じ方はプロの人たちの回答に近かったなぁと思います。トランプさんと共和党の勝利が、経済やマーケットに大きな影響をすでに与え、しかも来年以降も続く? まあ、何度も言っているのですが、たまたま8月の暴落の時、夏休み中でスタジオにいなかったので、今一つあの凍り付いたスタジオの印象を、自分では感じていないということもあるのですが……。ちなみに改野さんは投資家サーベイと同じで「8月の暴落」が強烈な印象とのこと。「マーケットキャスターになったころに、軽々に暴落という言葉を使わないように」という注意を受けたそうですが、「初めて暴落という言葉を使った。本当にこんなことがあるんだ……」と振り返っていました。
この手のアンケートを見る際、ギャップとか違和感みたいなものを感じるとき、何かしらのヒントや示唆が得られることが多いと考えています。そして往々にして個人投資家の素朴で素直な感じ方がその後の動きを示唆していることも……。実際、この暴落は、当時は比較的すぐに収束するようにもみえたのですが、2024年を振り返ってみると、日本市場ではかなり尾を引いたと思います。為替市場も含めたぶれやすさが意識され、結局、年後半は上昇トレンドを取り戻すことができませんでした。海外投資家や機関投資家にも慎重姿勢というか、様子見姿勢みたいなものが広がったように見えます。日本銀行も「ややサプライズだった7月末の利上げ」が、大きな市場変動のきっかけと見られてしまったこともあり、その後の金融政策の変更に慎重さをもたらしたようにも思えます。
日経MJヒット商品番付では「新NISA」が西の横綱に!
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さて、コーナーではもうひとつ、日経MJの年央・年末恒例、ヒット商品番付も改めて振り返りました。これは株式市場とは直接関係なく、マーケティング、消費者目線の話題性といった観点から新聞社が選んでいるものです。
東の横綱は「大谷50-50」で、これは納得!オオタニさんの活躍は世界を熱く盛り上げました。で、特筆すべきはオオタニサンに並ぶ西の横綱が「新NISA」なことです。投資家サーベイとも、プロへのアンケートともまた違う傾向です。日経CNBCの視聴者様はまあベテランの投資家が多いでしょうから、NISAはもともとやっていて「新NISA」は当たり前かもしれません。またプロにとっても市場のなかのある一部分の話なのかもしれません。しかし、一般的な消費者の間では「新NISA」が劇的なインパクトを持ったのではないでしょうか?初めて証券口座を開いたという人を何人もみましたし、いろいろな相談を受ける機会も多かった。今まで資産運用なんて何の興味もなかったような人たちから……。初めてのひとにどこから何を伝えるのか、なかなか難しいものだとも感じています。
始まったばかりの制度ですが、大きな転機です。個人投資家の動向が相場動向や物色にも影響を与えていて、従来のプロの人ほど、この辺を軽く見ているような気さえします。一方で、新しく、十分な知識もないままに証券市場に参入してきた人が多いということは、心配のタネでもあります。なるべくならオーソドックスで奇をてらわない資産運用をしてほしいですし、すごい勢いで広がっているようにもみえる投資詐欺にも気を付けていただきたいと……。そんなこともこれありで、2025年は金融教育とか金融リテラシーがますます大事なポイントになると考える次第です。
みなさんは2024年をどのように振り返り、2025年をどう考えていますか?