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落ちるナイフをつかめるのか?その2――原油暴落で一段の不確実性

新型コロナウイルスの世界的な広がりへの懸念から急落過程にある世界株式相場。先週から今週にかけては原油価格の暴落という新たな要素が加わり、不確実性のステージが一段と上がっている印象です。9日のNYダウ平均株価は何と2013ドル(7.8%)の下げ。もちろん下げ幅は過去最大ですし、市場の認識としてもリーマン・ショック時との比較感が当たり前に語られるようになってきました。

さて、その急落を受けての10日の東京市場は波乱の展開。朝方急落した始まった後はじりじりと下げ渋り、結局は上げに転じて終えました。終値の168円高の1万9867円。上下の値幅が約1080円という激しい動きです。この日はアメリカ株の先物上昇や為替の円安進行(円高一服)もほぼ同時に進んでいますが、今一つ背景ははっきりとしません。強いて言えば「トランプ大統領が給与所得減税を含む対策に言及した」ことが伝わったことなどで政策に対する思惑が広がったことですが、実際に市場が動き出すまでにはいささかのタイムラグもありました。

ある証券会社の情報担当者は「要は安くなり過ぎたということ」とみていました。この日の業種別騰落率の上昇セクターを見ると、証券が36業種中トップで3.94%上昇したほか、鉄鋼や銀行など、まあとにかくこのところ下げがきつかったセクターが目立ちます。もちろん、ハイテクセクター、電子部品などで比較的底堅い動きを見せているものもあるわけですが、激しい動きを主導したのは「短期的に売られ過ぎた」という感覚ではないでしょうか?

米国の長期金利が一時、過去最低の0.31%まで低下し、今後も一段の金融緩和が予想されている中で、金融セクターの持続的な上昇を見込むのはなかなか難しいと思います。では、誰がどんな気持ちで買ったのか?

なかなか難しいところですが、買戻しの動きだけではないようにも感じます。何しろ商いが多い。10日も東証一部の売買代金は3兆8000億円強でした。普通に考えても年金などのリバランス(相場下落によって下がり過ぎた株式のウェートを戻す動き)はあっておかしくないと思います。その他に、機関投資家でも個人投資家でも“落ちるナイフ”をつかみに行っている動きがあると思われます。この荒々しい局面では完全に底入れを確認するまでは、ナイフをつかみに行けば怪我は避けられません。ただ、長い時間軸で考えるならば、株価純資産倍率(PBR)1倍を下回る銘柄が半分以上あるというのはそうはない場面だと思います。しっかりしたビジネスを展開できる企業、景気の振れに左右されにくい構造を持つ企業も実態以上に売られ過ぎているのでは。。。市場を眺めるうえでは興味深い局面です。

まあ、そうは言っても「怖い」という気持ちが強いならば、特に個人投資家は無理をすることはないと思います(売らなくてもよいはずの資産を売らないで!)。こんな時は証券界のマスコット、とうしくんの顔でも眺めて一休みしておきましょうか。

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