大学生が13000円のメシ食いに行った話 【前編】
0. その始まり
ずっと思いを馳せていました。
ハ〜〜〜〜高っけぇメシ食いてえ〜〜〜〜
と。
美味しいごはんを食べたら人は笑顔になる。これには多くの人が同意してくれるはずです。
ごはんは人の心を揺さぶります。時にはほっぺただけでなく涙が落ちることさえあるでしょう。
私たちは何も生命維持活動のためだけにごはんを食べているのではありません。その先にある感動や喜びを期待してごはんを食べているのです。
ある時ふと考えてしまったのです。
「高いごはんってどんな味すんのかな」
経験上、金額が高ければ高いほどごはんは美味しくなります。1000円のランチも美味しいけど、1800円のランチはもっと美味しい。
じゃあ、今まで私が自分で支払ったことないような、もっと高い金額のごはんはどれだけ美味しいのか?
例えば10000円を超えるようなごはんはどんな驚きをもたらしてくれるのか?
というわけで、大津市の「寿司ふじ」さんにて贅の限りを尽くしてきたので、そのレポートです。
1. いざ行かん
1週間前に予約し、共に行く友人とソワソワしながら迎えた当日。
先方から一本の電話がかかってきました。
「申し訳ありませんが鮎がお1人分ご用意できませんでした。」
「脂の乗ったのどぐろが入ったのですが代わりにいかがですか?」
何コレもうわくわくするんだけど!!!
『俺たちのためだけに食材を吟味し、妥協しない仕入れを行なってくれてる感』たまんね〜〜〜!!
ウンウン大丈夫です、お願いします、と言われるがままに相槌を打ちます。
ウチらには強いこだわりは無いんで、大将の好きなようにやってくだせぇ…という気持ちです。
革靴でも履いていくか…?と要らぬ心配をしつつも、財布に多めにお金を入れて出発。
JR石山駅からてくてく歩いて15分ほど、住宅街の中に「寿司ふじ」はありました。
2. 初っ端からかますぜ
この日はラッキーなことに私たちの他にお客さんがいませんでした。職人さんを独り占めできるッ!!
席に着くと「お酒はいかがされますか?」と尋ねられました。
メニューを見ると日本酒がズラリ。
お酒の仕入れにも力を入れていることは事前の下調べで知っていましたが、なにぶん私は普段お酒を嗜まないので何が何やらさっぱりです。
こんな時は魔法の言葉を。「おすすめってありますか…?」
すると職人さんが「このメニューには書いてないですが、とっておきの日本酒が最近入ったんですよ」とにっこり笑います。
一度は言われてみたかったセリフ!!そんなの頼むしかないじゃん!!
後から伺うとこの方がお酒の仕入れ担当だったそうで、学生だからと邪険にせず料理の説明もとても丁寧にしていただきました。
そして出てきたのがこちらの「七水」
栃木の日本酒で「袋吊り」という製法が特徴だそうです。
お酒の素を麻袋で包み、そこからゆっくり滲み出た分を集めることで雑味のない仕上がりになる。
なんかわからんけどすげぇ酒だ!!ひっ捕らえろ!!逃すな!!
さっそく一口いただくと…あ!これいくらでもいけちゃうやつだ!!!
すっきりした口当たりですが、しっかりと主張もあって物足りなさは感じません。きっと万人受けする日本酒なのではないでしょうか。これから出てくる料理を引き立たせてくれる予感がします。
そしてお酒と一緒に出てきたのがこの「鯨の頬肉のたたき」
1品目から鯨って…!しかも頬肉って…!!
お腹の肉ですら定かでないのに、より少ない頬肉が出てくるとは。
そないなことされたらウチかなんわぁホンマ。
鯨を食べるのは小学校の給食以来です。あの時は竜田揚げだったかな…?
生姜醤油っぽい味付けで、今でも覚えているぐらいにはメチャ旨でした。
いざ、10年振りにぱくり。
こんなん美味しいに決まってますやん!!
マグロの赤身とはまた違う、しっかりした歯応え&舌触りです。
ほんでポン酢とネギもウマッ!!夏っぽくさっぱりいただけました。
1枚1枚切り身をめくりながら大事に食べます。
もちろん忘れないように日本酒も合わせてゴクリ。
この組み合わせあかんやつや〜〜〜!!
次に出てきたのがこちらの「揚げ出しハモのお吸い物」
いやいや、「揚げ出しハモ」って…。
俺の今までの人生やと豆腐しか揚げ出したことないんやが????
ハモも揚げ出して良かったんや…先言うといてくれよそんなん…。
聞くと、一度揚げることでハモがよりふんわりし、衣もお出汁を吸って一石二鳥だと。ごたくはいいからさっさと食おうぜ!!
ズズッ……
ドラえもん〜〜俺この出汁毎朝飲みてぇよ〜〜〜この出汁で四次元ポケットびちゃびちゃにしてくれよ〜〜〜。
当たり前みたいにハモもふわふわだぁ。ほんでネギとみょうがも旨。
序盤からかましてくれた「寿司ふじ」
私と友人は目の前の料理にニヤニヤしながら、これから来たる料理にも思いを馳せてニヤニヤする「ダブル・ニヤニヤ」の状態で食べ進めます。
何と言っても幸せな時間はまだ始まったばかりなのですから…!
3. ついてこれるか…?この世界のスピードに
刺身が来たぞぉぉぉぉぉ!!
「脊髄反射で旨い料理」をコンセプトとしている寿司ふじ。
「鯨の頬肉のたたき」「揚げ出しハモのお吸い物」と序盤のジャブで既に私は食らっていましたが、さらにギアチェンジされた感じがします。
まずさ…わさびが明らかに違うじゃん…。
この粒々の感じとかさ…俺の知ってるわさびじゃねぇよ。
せっかくなのでいつもより多めにわさびをつけて、ぱくり。
うめぇ…噛み締めるごとにうめぇよ…。
前提として、私はスーパーの半額のお刺身盛り合わせも大好きです。
だって美味しいし。お得感あるし。
喜んでパクパク食べますし、1日漬け込んで漬け丼にもしちゃいます。
でも鮮度が違うんでしょうね、きっと。細かいことはわかりませんけど、明らかにいつも食べているお刺身と違いました。わさびもツーンと鼻に抜けるのが気持ちよかったです。
もちろんどれも旨かったけど、特に印象的だったのがイカのお刺身。
一度噛んだら舌の上で甘く溶けて無くなっちゃいました。
このイカのお刺身味のハイチューがあったら私は買います。
なんかもう全部美味しくてテンション上がったので、「この葉っぱも食えんのかな??」とか言いながら噛んだら食べちゃダメな味がしました。
寿司ふじと言えど、飾りの葉っぱは食べれません。
また一つ賢くなりましたね。
次の料理は「うなぎの白焼き&蒲焼き食べ比べ」
目の前で何が起きているのでしょう??
この「うなぎの白焼き」が寿司ふじさんイチオシの食べ方だそうで、いつもは蒲焼きで食べるうなぎを、あえてそのままいただきます。
白焼きの方が、うなぎ本来の風味や脂を楽しめるとのこと。
白焼きと蒲焼きを食べ比べできる、という何ともゴージャスな料理。
しかも、あらかじめ火を通したものに、七輪で最後の仕上げができるという至れり尽くせりっぷり。自分で好きな焼き加減に調節することができます。
美味しいものを食べ過ぎて、この辺りから「俺がこんなものをいただいていいのかなぁ…」という躊躇いのフェーズに突入しました。
何つーかこう、俺の心の中にいる中間管理職が、『キミにはまだ早いよ!引っ込んでな!』と叱咤してきます。
でも一応バイトして貯めたお金を握りしめて来ているので、胸を張って食べることにしましょう。
白焼きも蒲焼きもとても、とても美味しかったです。
初めて食べた白焼きはあっさりした味わいで、タレを塗っていないからこそ、炭火の香りも楽しめました。
蒲焼きは思わずごはんが欲しくなりますが、白焼きはそのままでも満足できる、といったイメージでしょうか。
どちらも皮と身の間にある脂がたまらなくって、もしかするとあの脂がうなぎをうなぎたらしめている要素なのかな、と思ったり。
実はうなぎ料理はこの後にももう1品控えており、この日だけで1年分のうなぎを食べた気がします。許して神様!
前編は以上となります。
既に開けてはいけない扉を開けてしまった気がしてなりません。
でもまだこれが折り返し…!この後もどんどん続きます。
後編も乞うご期待〜
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