ＴＲＡＩＮ ＴＶ感想（２０２４年5月）
電車の液晶広告を眺めていたらヒカキンが３つの小さなカップのひとつに赤い玉を入れてくるくると回し、どこに入っているか当てろという。わたしはくるくると回るカップを目で追った。しかし、カップをあけると赤い玉は入っていなかった。
「もう一度」
字幕がそう伝えるとふたたびカップはくるくると回りだした。わたしは同じように目で追ったが、やはり赤い玉は入っていなかった。「もう一度」字幕は言う。何度やっても結果は同じだ。
するとカメラはカップを回す手元から上部に移動し、顔を映した。そこにいたのはヒカキンではなくミスター・マリックだった。
「ざんね～ん。ミスター・マリックから挑戦状でした～」
われわれは日々、選択を迫られている。生きることは選択の連続だ。われわれは自分が選んだことは自分で決めたことだと思いながら、その選択の末の不都合も甘んじて受け入れている。
しかし、どうだろうか？社会が求めてくる選択とはヒカキンとミスター・マリックのやったことと同じなのではないだろうか？われわれは拒否する事もできず赤い玉の入ったカップを選ばされるのだ。いつの間にかすり替えられたカップを。
連休明け、電車に乗るとヒカキンがスマホの顔文字の真似をしていた。電車内を見渡すと人はみな、スマホに向き合っている。あたかも人生に向きあうことを放棄するように。ヒカキンはそんな現代社会に警鐘をならし、もはや喜怒哀楽すらスマホがなければ表現できない現代人を風刺しているのかもしれませんね。
電車内の液晶広報はもうすぐ母の日なので「母の日になにを贈る？」と消費を促している。○○の日が近づけば広告は本領発揮し、人々に消費を促すのだ。母の日、父の日。理由は何でもいい。商業主義の要請に従い、いつの間にか誕生した○○の日があたかも伝統ヅラして、われわれに「○○の日は贈り物をしましょう」と消費を促すのだ。今の時代、伝統を作るのは誰だ？それは広告代理店だ。
わたしは４月からずっとＴＲＡＩＮ ＴＶは虚無である。と投稿し続けている。
電車内広告がＮｅｗｓｐｉｃｓの頃は良かった。まだ、やつらが新自由主義の代弁者であるという立場を鮮明にしていたので、こちらも言及しやすかったのだ。
しかし、ＴＲＡＩＮ ＴＶで行われていることは、ヒカキンの顔芸、芸人の顔芸、つまらない大喜利だ。いったい彼らにどのような思想があるというのだろうか？なにも無い。無いものを無いと言及することはもはや哲学の世界だ。わたしにはもはや手に負えない。
ＴＲＡＩＮ ＴＶはどんな理屈や御託を並べても無を前にすれば、それを言葉にできる人間は少ない。そんなことをまざまざと見せつけている。
2024-05-12 10:27:13 日記といふもの nikitofu@toot.blue
ＴＲＡＩＮ ＴＶは虚無の広告だと思っていたけど、今日は液晶モニタが壊れているのか真っ暗で何も映っておらず本当に虚無。
ＴＲＡＩＮ ＴＶの企画担当者へのインタビューを読んでいたら、案の定あれは「若者向け」なんだそうだ。しかし、若者向けにしたとたん、天気予報とニュースが消えてお笑い芸人と恋バナになるの、若者舐めてません？とは思ってしまうな。
ところで駅や中吊りで「電車の中のテレビ局、はじまる。」と大々的に宣伝していたり、あちこちのメディアでＰＲ記事を出していたりと力の入れ方は相当みたいね。自分の観測範囲では「前の方がよかった」という意見が多いようだけど、大丈夫なのかしら？
コロナを機に、だったと思う。電車内の広告スペースに空白が目立つようになった。場合によっては中吊りすらないときがある。そう考えるとＪＲの広告収入が減少しているというのも納得である。そして起死回生の策としてＴＲＡＩＮ ＴＶを立ち上げたということなのだろう。電車内の広告、駅の構内の広告、各種メディアへのＰＲ記事とどれだけ力が入ったコンテンツなのかがわかる。
だとするなら、虚無、つまらないなどと批判してばっかりいるのも悪いなと言う思いも少なからずわいてきます。つまらないものをつまらないとつまらなく言うことは簡単なので、これからわたしはＴＲＡＩＮ ＴＶ非公認応援団として、ＴＲＡＩＮ ＴＶの魅力を発信していかなければならないような気がしてきた。今、天啓がきました。
ＴＲＡＩＮ ＴＶ、今週の放送からＢｕｓｉｎｅｓｓ Ｉｎｓｉｄｅｒ Ｊａｐａｎの記事を紹介する枠ができたみたいなので、少しずつ虚無の放送ではなくなっていくのかも。しかし、今のところメインコンテンツであるヒカキンとチョコプラ、大喜利の虚無力が強いので、ブラックホールの近くの光は誰にも気づかれることはない。
わたしが誰よりもＴＲＡＩＮ ＴＶを観てると思う。
今日は客先に行くので京王線を使ったのだけど、京王線の液晶広告は延々とＣＭを流しているだけでフックになるようなコンテンツがなく、語るべきところが無いのかもしれない。そう考えるとＪＲのＴＲＡＩＮ ＴＶは虚無ではあるけれど「虚無である」と語らせているだけ、成功なのだろう。京王線の方はニュースも天気予報もやるので情報量の面では圧倒的にあちらよりも役にたつのだが。
今週はヒカキンが変顔をしつつ、どちらの値段が高いかを当てるクイズに興じている。この国は数年前、国民に「人命」「経済」どちらの値段が高い？というクイズを出題した。どちらが選ばれたかは言うまでもない。
ＴＲＡＩＮ ＴＶの今週の大喜利で「電車をはじめ見た人の反応は？」のお題に対して、答えが「ぶっとい木の幹？」なのがよくわからない。何が木の幹？電車が？それとも線路の枕木のこと？そうやって答えのない問題を考え続けるということが哲学ということなのかもしれません。
「自分へご褒美ランキング」なるものがやっているのだが、その１０位が「休む」だった。この世界では休息はもはや褒美として与えられるものなのか。
めっちゃニヤニヤしながら電車の液晶広告の方を見ている若い子がいたので「ＴＲＡＩＮ ＴＶ、ちゃんと伝わってるよ！！」と自分ごとの喜んでいたのだけど、よく見たらとなりの友達と小声で話しているだけだったので、画面に映るチョコプラのように渋い顔芸している。
食費が高いので安い鶏胸肉のレシピを紹介していて、鶏胸肉の梅ソース和えとかやってるんだけど、梅干しがまず高いっていう。
今週のＴＲＡＩＮ ＴＶはヒカキンが左手で絵を描いて「何を描いてるかあてろ」と言うものだが、わからない。わたしはＪＲがどういう絵を描いてＴＲＡＩＮ ＴＶなる放送をしているのかわからない。
電車内の液晶広告みてたら女の子たちが「初デートはどこがいいか」についてはなしあってる。これはあれだ。「サイゼリア」って言わないとツイッターで炎上するやつだ。
ＴＲＡＩＮ ＴＶのつまらなさってなんか内容がすべて安直なのよね。ランキング系ふたつは「○○に聞いたおすすめコスメ」と「○○に聞いた○○ランキング」とかぶっているし、お笑い系は結局すべて顔芸だ。（音が出せないから？）
まあ、コンセプトは「電車の中のテレビ局」だから、テレビの安直さをそのまま持ち込みましたといわれればコンセプト通りなのだろうけど、もうすこし「面白いとはどういうことか」を考えた方がいいんじゃないかな。
電車の液晶広告みてたら「字がきれいだといい印象が残りますね」と言っていて、それはそうなんだけど字が汚い人間を平気で人格否定してくる連中の多さに「字はきれいでなければならない」圧力を、字の汚いわたしは感じてしまうのだった。ときどきＳＮＳでは政治家の汚い字を取り上げて「政治家の字が汚い＝心が汚いからだ」みたいなやつがバズるけど、普段、政治家を口汚く罵っているわたしも自分事として「ほっといたれや」と思ってしまう。人間とは勝手なものだ。
＊投稿内容は一部、加筆修正しております。