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大富豪の錬金術を少し覗いた話
10年前の夜、ハワイのとあるリビングで
今から10年ほど前。
ハワイの友人宅でホームパーティーが開かれました。
参加者は、70代の友人と、ニュージャージー州から里帰りしていた娘さん、そして彼女のボーイフレンド。
さらに、母と私も加わり、ささやかな “お帰りなさいパーティー” が開催されました。
娘さんはニュージャージーで倉庫会社のマネージャーを務め、韓国人のボーイフレンドは学生時代からの付き合い。彼は元ハワイ韓国大使の息子で、現在は大学教授をしているとのことでした。
なるほど、なんというか、すでに私の世界とは異次元の匂いがします。
パーティーの間、飛び交う話題の多くは、私にはまったく縁のないものばかり。
終始「へぇ〜」と目を見開くことしかできませんでした。けれど、そんな中で最も興味深かったのは、娘さんと彼氏の大学時代の同級生にまつわる話でした。
その同級生というのが、世界的に有名な中国の某企業 ア○バ○の一族の御曹司。つまり、目も眩むような大富豪。
彼の学生時代の “アルバイト” は、普通の人間が一生かかってもできないレベルのものでした。
彼の手法はシンプルかつ豪快。新しくコンドミニアムが建つと、一棟まるごと購入(支払いは一括払いだったという話)し、数年間寝かせる。
ただし、法律上、購入後すぐに転売するのはNG。
さらに、実際に住んだ形跡がないと違法になるため、その間は親族や友人が遊びに来て滞在。
そして、寝かせた物件は数倍から数十倍の価格で売却。
1部屋 1億円 で購入し、それを 4億〜10億円 で転売。
しかも 一棟 丸ごと。
うん、なんというか、“スケールの違い” という言葉すら陳腐に感じる。
これを学生時代に、“ちょっとしたサイドビジネス” 感覚でやっていたらしい。
「金がある人の元には、もっと金が集まる。それが世界の摂理なんだよ」
——そう言ったのは、大学教授になった彼氏。
確かに、こういう話はよく耳にする。
けれど、それが実際に目の前のリアルな会話として語られると、もう羨ましいとか、すごいとか、そういう感情すら湧いてこない。
ただただ、“あ、これ凡人には一生関係ないやつだ” と悟るだけ。
この話を聞いて、私はそっとこのエピソードを自分の世界の “都市伝説フォルダ” に格納することにした。
引き寄せの法則では、「小さな目標ではなく、大きな目標を持った方がいい」と言われるけれど、いやいや、こんなこと 想像すらできない んだから無理でしょう。
この話を思い出すたび、自分のキャパの小ささを痛感する。
でも、まぁいいか。私には私の世界がある。
たぶん。
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