昭和の師走
今年もあと少し。一年を振り返ってさてどんな年になったでしょう。
一年がどんどん早くなる。小さなころはなかなか夏休みが来なくて、衣替えで出してきた白いワンピースを早く着たいと思ったものです。
次はクリスマスにお正月。冬には冬の楽しみがあって、山が雪をかぶるころ、坂では段ボールに乗ってスキーをしたり、あの当時はそれなりに雪も積もったのでしょうか。必ず雪だるまを作ることが出来ました。
食べることが大好きな私は、何しろ近所の人たちが集まってお餅をつくのを見るのが好きで、もち米を炊く赤々と燃える焚火や、何段にも重ねられた大きなせいろからあがる白い煙。
おばさんたちは糊のきいた白い割烹着に頭には日本手ぬぐい。チームワークのいいこと!指揮官は祖母です。
お餅をつく様子や、手際のいいおとなたちのしぐさが今思うと生き生きとしていたように思います。その様子を図工の時間、版画にしたのを思い出しました。
新しい年を迎える喜びが今より素直に表現できたような…。
祖母や母、叔母たちが台所でお節料理を作っている。何か忙しそうですが楽しそうで、その料理は三が日、女の人が一年で三日だけは台所に立たなくてもよいということらしく日持ちのいいものがたくさん作られました。と言ってもそんなに座ってくつろいでいる姿は見なかったような気がします。
庭の枯れ葉を熊手で集める祖父は几帳面な人柄どうり丁寧に掃きます。
時折縁側でひと休み、大きな湯飲みにたっぷりのほうじ茶を美味しそうに飲んでいました。庭師のおじさんが大きな門松を運んで、玄関の両脇に飾ると祖父は手招きして縁側でお神酒を振る舞い、今年一年をねぎらっていました。
父と叔父は障子の張り替え。その前に古いのはここぞとばかりに穴をあけて楽しむのは子供たち。その年生まれた従兄まで参加して賑やかな作業です。
時折小腹がすくと、こたつでミカンをほうばったり、一段落した祖母が、大きな火鉢でつきたてのお餅をさっと焼いてくれました。お餅が膨れると順番にお皿に乗っけてもらいます。
黒マメやエビの入ったナマコ餅は正月前に無くなるくらい人気がありました。今でも和菓子屋さんで見つけるとついつい買ってしまいます。
もう半世紀以上前の事なのに、今でもその風景は鮮明ですが、
その時のおとなたちはもういません。
今度はこどもや孫たちが師走の様子をどのように思い出すのか?
形は変わっても新年を迎えることは幸せなことです。
今日は延び延びになっている台所周りの…。とは思っているのですが…。
今日もいい日にしましょう!