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ニケと歩けば soixante-quatre
市民になじみの神戸三宮阪急。旧駅ビルが阪神・淡路大震災で被災した時
崩れたビルの映像は夢ではなく、すぐ近くの見慣れた場所だっただけに
現実であることを突き付けられました。あの時映像から流れる誰かの口笛が
物悲しくもあり少し怖かったのを思い出しました。そして26年ぶりに新しいビルに生まれ変わりました。阪急ならではの一見地味に見える外壁の色です。
東京から来た友達の阪急電車を最初に見た感想が「どうしてあずき色なの?
」でした。長年見慣れていたのでかえってその質問が新鮮でした。
ビルも電車も地味!南を走る阪神電車とよく比べられますが、乗客のタイプが違う面白さもあります。甲子園で野球がある時の三宮や梅田は異様な雰囲気ですが阪急電車にはトラカラーで乗る人はめったにいません。
もちろん球場に隣接している阪神甲子園駅を利用するからですが。
阪急三宮駅辺りに話を戻します。
このビルの北側に昔バナナ専門店!がありました。道頓堀の「かに道楽」に負けないくらい大きなグローブのようなバナナが看板です。
当時はバナナも高級品。台湾バナナが主流でした。
毎日祖父に連れられて、たった1本のバナナを買いに行きました。
たたき売りではありませんが、ハチマキで威勢のいいおじさんが鋭いなたで
大きな房から一本スパっと切って私の手に載せます。
バナナよりその大きな刃物が怖くてその店は苦手でした。
ちょっと黒い斑点が見えたら食べごろ。その言葉を信じて今でもスイートスッポットのあるものを選びます。
それは痛んでいるように見えたり、ジャムになりかけている中身が気持ち悪いと敬遠されがちですが、毎朝の一本は健康に良いように思います。
父が「余命短い人がスイカを食べたいと言えばまだ大丈夫だが、バナナと言えばそろそろ」という変なあるあるを話していました。
小さな私はそんな時はスイカと言おうと心に決めましたが、
やっぱりバナナが好き。チョコレートとバナナは神戸で育った私のふるさとフードです。