
いつもの散歩道 ニケと歩けば
今朝はすっかり秋の風。日の出前ですが、何とも坂を上がっていくニケの足取りの軽いこと。明るくなるのが遅くなった分、そのひと時の空気は凛として気持ちまで洗われます。
神戸は南北を海側、山側と呼びます。手が届きそうなところに三宮のビル、その谷間から海が見えて時折黒くて大きな船が行きかいます。たまにドスの利いた汽笛がボーっと。
近くの少し色が落ちた山々が昨夜の雨で鮮やかです。町の道路沿いにはオリーブの花やダリアが可愛くて季節の移り変わりを知らせます。
ニケの散歩は山側が多いのですが2歳までは毎日のように川沿いを下って海まで行くことがありました。さすが犬の鼻。43号線を渡るころから潮風になっているのでしょう。小さな黒い鼻をせわしなく動かして探索していました。
そんなこともあったよね!と一人思い出しながら草の中、枯れ葉が公園の端にすでに集まっている風景がニケとの9度目の秋であることを知ります。
あんなに小さな体のニケもスッカリおばさん。同じように年を重ねて毎日毎日飽きもせずですが、それを楽しんでいるのが分かるぐっると巻いた尻尾です。
いつもの帰り道、野性のコスモスを見つけました。
お花屋さんのよりぐっと小ぶり、花は可憐と言うより気丈な感じ?
まだ子供たちが小さな時、旅先の高原でコスモス畑に赤とんぼ。夕暮れ時だったのでしょう。赤く染まった空とその群れが今でも心の奥底に残っています。
とんぼは宙で止まったり、また群れになってすいすいと泳ぎそれを追っかけて楽しそうな父子の姿が夕日に映えて絵本の中のような風景でした。
一番好きな花はコスモス。と言っていた主人はその花の咲く秋の終わりに逝きました。私にとってもコスモスは特別な花。好きと言う範疇を超えたものになりました。
数年前「河原にコスモス畑が出来てすごくきれいよ!」と友達から聞いて孫たちとドライブしたそこは鮮やかなピンクや白の絨毯でした。
孫たちは飛んだり跳ねたり、隠れたりと無邪気な様子でしたが、きっと主人が一緒なら同じようなことをしたであろうとおかしくなったものです。
傍らには母親の顔がすっかり板についた娘、同じようにしていたあの時のことはすっかり忘れているでしょう!
なんだか今朝はしっとりとした気分になりました。
この秋にはどんな風景を見ることが出来るか楽しみです。
今朝のカフェオレはいつもより甘く切ない味がしました。
今日もいい日にしましょう!