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ニケと歩けば cent dix-sept
何を思ってかジーと見つめる先は孫が忘れていった小さなおもちゃがあります。ニケは孫たちの帰った後も時々玄関からにぎやかな声が聞こえないかと待つそぶりを見せます。
民族大移動の荷物は続々と車に運ばれて、残すは靴を履いて待機する末娘一人になりました。
するとニケはそーっと近寄って顔に冷たい鼻をチョンチョンと付けました。
母親が「気を付けてね!」と言うような自愛に満ちた目で見ています。
漆黒の瞳は名残惜しそうです。こんなことを書くとまた犬バカと笑われそうですが…。
動画などで赤ちゃんをあやす犬や、老人を癒す犬などニケには関係のない、こんな行動はしないだろうと思っていましたから、ピッタリ寄り添う様子は家族を驚かせました。立派なホスピタリティ精神です。
いなくなった夕方は長めのいつもの散歩になりました。
風邪は冷たく山々の稜線はくっきりとしていて青い空を際立たせています。
今日の足取りが少し早いのは数日間、孫の歩調に合わせていたのでしょう。
二人?の後ろ姿は年々差がついて途中でリードを放棄していたころと違って友達同士のようです。
たまに顔を見上げるニケは嬉しそうでした。
途中のコンビニでお菓子とお水を買うのが恒例になりました。
一緒に入れないニケは外から心配そうにのぞき込んでいます。
こんな風景もあと何年続くでしょうか。
何年後にはきっと末っ子が…。
今年の6月には8歳になるニケですが、いよいよシニアの仲間入り。
この日がいつまでもと願うのは飼い主みんな同じです。
孫たちには忘れられない思い出の一つになればいいなあと思います。
私もなんて事のない秋田犬フジとの思い出がたくさんあります。
あの撫でた時の手触りや冷たい鼻、ピンと立った耳。犬と一緒に大きくなったことは大切な経験です。今を精一杯生きる犬、明日のことを考えない生き方もあり!かもしれません。
帰宅して暖かい部屋でくつろぐニケはすやすやと早くも寝息を立てています。
今夜は久しぶりの一人。さて冷蔵庫に少し残っているスモークサーモンとチーズでワインのような日本酒をいただくことにしましょう。